イベントレポート
新潟から始まる“GR全国行脚”。帰ってきたリアルイベント「GR meet 47」第一弾に密着
2022年5月10日 09:00
カメラ関連のリアルイベントが帰ってきた。リコーGRシリーズのファンイベント「GR meet 47」の第一弾が、去る4月23日に新潟で開催。本稿では、“GR全国行脚”の新たな船出をお伝えする。
リコーGRシリーズは、フィルムカメラ「GR1」(1996年)の登場から、デジタルに移行した「GR DIGITAL」(2005年)を経て、最新の「RICOH GR IIIx」(2021年)に至るまで、「高画質」「携帯性」「速写性」「深化」という一貫したコンセプトを守り続けてきたレンズ一体型カメラだ。かねてより開発担当者とファンとのコミュニケーションの場を大切にしてきたことでも知られる同機だが、昨今は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、その機会が“オンライン”に制限される期間が続いた。
ようやくリアルイベントとして復活した「GR meet」には、新たに「47(よんなな)」が付された。これには、今後日本全国を巡っていくという想いが込められているという。なお、第2弾となる京都開催についても4月30日から参加申し込みが始まっている。イベント参加については即日で定員が埋まってしまったそうで、いかにリアルイベントを待ちわびていたファンが多いかがよくわかる。1日カメラレンタルについてはまだ申し込みを受付けており、ぜひそちらの情報もチェックしてみて欲しい(概要は記事末)。
メーカーの熱意がカタチになった新潟
第1回の会場となった新潟。イベントとしては過去にGR tripという企画でも訪れたことがあるという、GRにとっても縁のある地域。そしてこの新潟にも、“GRに熱いユーザー”が多くいるのだそうだ。当日のイベント参加者は、20代から70代以上までの男女約40人。新潟県内からはもちろん、遠方からの参加者も多く、遠くは北海道や愛知県から訪れたという猛者もいたほどだ。
GR meetは、GRを持っていない人でも機材を借りてイベントに参加できるのが特徴のひとつ。今回も参加者の6割以上が機材のレンタルを希望したという。中には初めてGRに触るという参加者もいた。ある参加者は、「普段は他メーカーのレンズ交換式カメラを使っているが、“究極のスナップシューター”の実力を体験したみたかった」ためイベントに足を運んだのだと話す。話題の機種に直接触れる機会は誰にでも多くあるわけではない。こうしてメーカー自ら各地に赴き、その機会を提供することの価値の大きさがうかがい知れる。ちなみに機材レンタルの割合は、GR III(28mm相当)よりもGR IIIx(40m相当)の方が多かったそうだ。
参加者には1/47と記された缶バッジが贈られた。イベントの回数を重ねるにつれて、分子の数字が増えていくことが予想されるが、ここにもメーカーの“全国を巡る”という意気込みが感じられる。
いざ、撮影会へ!
新生GR meet 47の記念すべき最初のゲスト写真家は、新潟県出身の内田ユキオさん。イベントは内田ユキオさんとの撮影会、講評会、内田さんによるスライドトークショー、懇親会という流れで行われた。
撮影会のエリアまで、まずはみんなでバス移動。この日は朝から雨が降り出すあいにくの天気だったが、撮影会が始まる頃にはなんとか雨も上がっていた。
今回、撮影会の舞台となったのは新潟市内の「古町エリア」。かつては花街として栄えたエリアで、古くから残る老舗や、古い家屋をリノベーションしたという若者向けのオシャレなお店も立ち並ぶ。新潟県内組にはお馴染みの“撮影スポット”だという。JR新潟駅からバスに乗って10分程度の距離に位置する。
白山神社から日和山住吉神社を結ぶ古町エリアには、信濃川に沿うようにして設けられた2本の「堀」と、それに直交する5本の「横堀」や多くの「小路」がある。時代の移り変わりの中で、姿を変えた街並みもあれば、昔から愛着をもって名前を残してきた小路もあるという。一本脇道に入ると、趣のある路地も多く「ついつい縦位置で撮影したくなってしまうけど……」と、内田さんから参加者に向けて、提出作品が路地一辺倒にならないように促す場面もあった。
また、内田さんは納得のいく作品を提出するコツとして、「ここだ!」と決めた場所で何十枚も撮ってみることを参加者にアドバイスした。
午後は会場に戻って講評会。参加者全員の作品を順番にスライドに映し出し、そのすべてに内田さんがコメント。構図や露出の決め方など、実に細かくアドバイスを送った。同じエリアを撮影しても、撮る人によって全然異なる切り取り方がある。撮影会はそうした他の参加者の作品を見ることができるのも楽しい。
講評会を終えた内田さんは、「皆さんの写真が抜群に良かった」とコメント。いずれも限られた少ない時間の中で撮ったとは思えない写真だったと、参加者をねぎらった。
なお、講評会では提出できなかった写真について、「#grmeet47」をつけてSNS上で共有できるようになっている。新潟県内組にはそこで作品を追加で提出するように、内田さんから宿題(?)が課される一幕もあった。
内田ユキオ流のGR活用術を紹介
内田さんによるスライドショーでは、自身が“GRを好きな理由”を解説。内蔵メモリーを搭載している点、サイズやデザインのこだわりなどに言及し、「散歩のつもりだったのに、作品撮りができる」として、内田さんが好きなカメラの条件がGRには備わっているのだと語った。
新たにラインアップに加わったGR IIIxについて、「少し硬めでシャープな、それでいてまろやかなボケを持っている」と、そのレンズの描写が従来モデルと同じ傾向にあり、見事に調整されていると内田さんは評価。さらに、28mmのGR IIIよりも様々なトーンに調整する楽しさがあるとも語った。内田さん自身、40mmはお気に入りの画角だという。
そんな40mmの画角も、「28mm(画角のGR III)があってこそ」だと内田さんは続ける。内田さんはGR III(28mm相当)とGR IIIx(40mm相当)に、自分好みに調整したUSERポジション(モードダイヤルのU1〜U3。旧マイセッティング)をそれぞれ3種類ずつ登録しているという。それはインスタグラム向け、散歩向け、ハイコントラストなモノクロなどがあり、「6人のパーティで一緒に歩いているような感覚」「被写体によって各キャラクターを呼び出すイメージ」だと表現。内田さん流のGR活用術を紹介した。
恒例の……
懇親会の前、スタッフの呼びかけで参加者が机の周りに集まる。GRのイベントでは恒例の「GR集合写真」の時間だ。「ロゴ黒く塗ってるじゃん」「リングの色がオシャレ」「案外太いストラップもいいね」など、同じカメラでもそれぞれに特徴のあるGR達を前に会場が盛り上がりを見せる。いずれも“世界に一台”のGRだった。
ポップアップスペースで製品体験
会場にはポップアップスペースも用意された。イベントに参加できなかった人も、期間中にGRを自由に触ることができる。カメラの一日レンタルも実施。Web販売限定の製品や、アクセサリーの組み合わせも実際に確認できる場となっている。こうした展示は、今後も会場の条件に合わせた形で工夫して実施していくという。
GR meet 47の今後
イベントを終えた内田さんは、自身にとっても久しぶりのリアルイベントで戸惑いもあったとしつつ、「みんなの手作り感と、熱い感じが、やっぱりイベントっていいなと感じた」と語ってくれた。過去のGRイベントにも負けないくらいの盛り上がりで、「リアルイベントにみんなが飢えていたんだな」と感じたという。こうしたイベントをオンラインで開催できるのも素晴らしいことだが、リアルイベントもできるんだということを示していきたいのだと話してくれた。
筆者が今回のGR meet 47に参加して感じたのは、メーカー・写真家・ファンが三位一体となって作るイベントの素晴らしさだ。もちろん企画自体はメーカーの熱意があってこそだが、それを受け取る側の想いもあってこうしたイベントは成立するのだと実感した。また、イベントの参加者層が老若男女に広かったことにも驚いた。ひとりで参加された人も多く見受けられ、イベント参加へのハードルが高くならない雰囲気も感じられたように思う。イベントの中で友達を作ってもいいし、作らなくても居心地の悪さはまったくない。
内田さん曰く「地方在住者にとって、メーカー側から自分の街にやってきてくれるなんて信じられないこと」だという。5月には京都と東京での開催が予定されている。GRファンに限らない“全国各地のカメラファン”にとって、より一層期待がかかるイベントになりそうだ。リコーイメージングは、GR meet 47について今後も定期的に開催していきたいとしている。
「GR meet 47」第二回(京都)開催概要
GR meet 47 in KYOTO(定員に達したため受付終了)
開催日:5月14日(土)
ONE DAY RENTAL
開催日:5月15日(日)
場所:「Bijuu Space B」(京都市下京区木屋町通四条下ル船頭町194 村上重ビル)
※申し込みはWebサイトの申し込みフォームを利用する。
※GR meet 47 in KYOTOに参加する人も申し込み可能。
※申し込み期間は4月30日(土)~5月15日(日)15時30分まで