イベントレポート

リコーGRのファンイベント「GR meet」がオンラインで初開催

“Street Edition”の背景、写真家2名のトーク、機能追加の予告も

リコーイメージングは7月17日、リコーGRシリーズのファンイベント「GR meet」を同社初の試みとなるZoomウェビナーを利用したオンラインイベントとして開催した。その様子をお届けする。

リコーGRシリーズといえば、1996年にフィルムカメラの「GR1」が発売されてから、2005年に「GR DIGITAL」でデジタルカメラに移行して今日に至るまで、大きく変わることのないデザインと、一貫したコンセプトでファンを増やしてきた。「高画質」「携帯性」「速写性」「深化」というキーワードは、GRが長く守り続けてきたコンセプトだ。

GR meetは、GRシリーズ開発担当者とユーザーが直接コミュニケーションをはかれる場として大事にされてきたイベント。東京をはじめ各地にて開催されてきたGR meetも、昨今の情勢を鑑みてのオンラインでの開催となった。事前に申し込みをしておけば、参加費無料でだれでも視聴可能だった。

視聴者は画面越しに登壇者の話を聞くだけではなく、チャットシステムで常時コメントや質問を投稿できる仕組みがとられた。イベント参加者は約300名ほどだったという。例年のイベントでは、人数を多くても100名ほどに絞って実施していた。オンラインイベントとなったことで結果的に人数制限がなくなり、より多くの人と時間を共有することが可能になったことは、良かった点なのかもしれない。

GRの歴史は、写真を中心につながるユーザーと作り手の対話の軌跡だという。直接顔を合わせることがかなわなくても、時代に合わせたカタチでその文化を守り続けることは可能なのだと、今回のオンラインイベントは示してくれた。

左上:リコーイメージング株式会社 マーケティングコミュニケーション部 朝倉一平氏(司会)、右上:株式会社リコー 総合デザインセンター 稲葉利弥氏、下段:株式会社リコー カメラ事業部 商品企画部 荒井孝氏

GR III Street Editionのデザインについて

イベントの前半は、同日に発売された「GR III Street Edition」の開発コンセプトについての説明が行われた。

同機の外観上の特徴は、アスファルトを想起させるメタリックグレーと、差し色となる山吹色のリングだ。オリンピックを控えた東京が街の様子を大きく変化させてきたように、活気の在る街、そして変わり続ける街をイメージしたと、スライドを交えながら説明した。

GRシリーズは「ステルス性」という特徴にもこだわりがある。総合デザインセンターの稲葉氏は、差し色である山吹色を強くしすぎると、そのステルス性という観点から外れてしまうのではないかという懸念もあったという。同氏はつづけて、「しかし実はストリートというものは無彩色ではない。撮影者のファッションや周りの風景にも融合して同化する、ということも一つのステルス性の在り方だと考えた」と語った。アクセントに山吹色が選ばれた理由についての解説はとても興味深く、また納得できるストーリーだった。

ファームウェアアップデートの予告について

商品企画部の荒井氏からは、今後のファームウェアアップデートの予定について話が及んだ。更新内容としては、背面モニターのタッチ操作でもフルプレススナップに対応するという。GR III Street Editionにはプリインストールされており、GR IIIに向けた更新としている。公開日は近日中だという。

フルプレススナップとは、シャッターボタンを一気に全押しすると、予め指定しておいた撮影距離にフォーカスが移動し、シャッターを切る機能。スナップシューターたるGR DIGITALの個性を裏付ける速写機能だ。それが、背面モニターのタッチシャッターでも利用可能となる。

荒井氏は最後に、「目まぐるしく変わっていく街の景色であったり、二度と訪れない瞬間をとらえること。そしてそこに映る人々のファッションであったり、建物や看板などが、その後見返したときにその時代を象徴する貴重な記録になる可能性がある。それがストリートスナップの楽しみの一つである」と語った。そしてGR IIIで強化された「速写性」や「携帯性」という点がストリートスナップにおいて特に恩恵をもたらすものであり、そのような点に特筆した製品があってもよいのではないか、としてStreet Editionの商品企画に発展した経緯を紹介した。

安達ロベルト氏×Tomas H. Hara氏のスライド&トーク

「GR III Street Edition」の開発に関わる話の後は、GRユーザーの安達ロベルト氏とTomas H. Hara氏によるスライド資料のプレゼンと、両氏によるトークセッションが行われた。

安達ロベルト氏は自身のプレゼンで、「変化する時代の中で何にワクワクするか、どこに向かっていくのか」を視聴者に問いかけた。Tomas H. Hara氏は「決定的瞬間とは何か」を考える意義について視聴者に語った。両氏のトークは“GR”という枠組みにとらわれず、“写真を撮る”ということを愛する全ての人に向けて、その奥深さを改めて考えさせてくれるものだった。

左:安達ロベルト氏、右:Tomas H. Hara氏

プレゼンが終了したあとは両氏による対談が行われた。また、視聴者の質問に答えるコーナーも設けられ、「GRでよく使うイメージコントロールは?」「スランプはありますか?」「影響をうけたアーティストは?」などの質問が寄せられた。視聴者からの要望で作品の解説を行う場面もあり、オンラインイベントの双方向性を実感できるひとときだった。

オンラインイベントというカタチ

今年は様々な展示会や講演会が中止となっている。確かに直接顔を合わせて情報のやり取りをすることはとても意義の大きいものであると思うし、今回も多くのGRユーザーが「GR meet」で製作陣との対話を楽しみにしていたことだろう。

しかし同じ空間を共有できない代わりに、各メーカーが工夫を凝らし、動画配信などの方法でリリースを行う機会が増えた。今回のオンラインによるGR meetでも、開発担当者からの熱い思いは画面越しであろうと伝わってくるし、その気持ちに対して視聴者であるユーザー側もレスポンスを示すことが可能だ。

より多くの人が同じ時間を共有できるオンラインイベントは、メーカーとユーザーとの新しい対話のカタチとして今後も増えていくのかもしれないと、今回のイベントに参加して強く感じた。

本誌:宮本義朗