イベントレポート

ライカ大丸東京店セミナー「Leitz Phone 1が受け継ぐM型ライカのDNA」

今後も少人数制で開催 “ライカのスマホ”で興味を持った人へ

M型ライカとLeitz Phone 1

ライカ大丸東京店は、10月23日からセミナー「Leitz Phone 1が受け継ぐM型ライカのDNA」を開催している。予約制で、2組4名を定員とした少人数制。参加は無料。

ライカ大丸東京店(東京駅直結の大丸東京店10階)

「Leitz Phone 1をきっかけにライカへ関心をお持ちいただいた方」を対象に、ストアスタッフが自ら講師を務める90分の無料セミナー。ライカが写真の歴史においてどのように特別な存在であったのか、そのライカの代表機種であるM型ライカからLeitz Phone 1に受け継がれている要素とは何か、といった話題を中心に、ライカM型デジタルカメラの実機体験も交えて実施する。

筆者は初開催となる10月23日14時の回を見学。2組4名の定員に対し、2組2名が参加していた。どちらもLeitz Phone 1のユーザーで(セミナー自体はLeitz Phone 1を持っていなくても参加OK)、他社ミラーレスカメラもしくはライカのコンパクトカメラを愛用しているという。カメラ経験は豊富ながら「ライカ」というと格式高く感じており、その歴史や、特にM型ライカについて知りたいというのが参加の動機。Webで検索すればライカのストーリーは沢山ヒットするものの、ライカスタッフから直接聞ける点を魅力に感じたそうだ。

まずライカ誕生の背景として語られたのは、「現代におけるカメラの原型」であるという点。当時のカメラとしては画面の小さな映画用35mmフィルムを用いたことで、画質的に不利な小型カメラでありながら、光学性能と機動性の高さで多くの名作と呼ばれるスナップショットや報道写真を生み出したことで広く認められたというストーリーが紹介された。

ライカの成り立ちを語る上で必ず紹介される“洪水の写真”。ライカ誕生の地で起こった洪水の様子を、ライカを設計したオスカー・バルナックが写したもので、その機動性を象徴する1枚とされる。このような書籍や写真集の紹介も交えながらセミナーは進行した。

そんなライカがスマートフォンを生み出す理由として、歴史との繋がりを感じられるのが「技術的イノベーションの追求はライカの伝統の一環」という言葉だった。最新技術を使いながらポータブルで高品位なカメラを作ること自体が伝統で、それがかつては小型カメラ(ライカ)であり、2020年代ではスマートフォン(Leitz Phone 1)だという。

また、全体的なスタイリングが昔から変わらない点もM型ライカの特徴として説明された。現在の「ライカM10-P」「ライカM10-R」は1954年に登場したフィルムカメラ「ライカM3」から通じるデザインで、60年以上も全体的な見た目が(中身がデジタルになっても)変わらない。これはカメラにおいてはとても珍しいことだと強調された。

その伝統に連なるLeitz Phone 1も、「M型ライカ譲りのシンプルで意味のあるデザイン」を取り入れ、手にする人に“いい写真が撮れそう”と思わせる感覚をスマートフォンでも味わってほしいと企画された。

今回見学した際には、上記のほかにも以下のような話題があった。

・35mmフルサイズは“ライカ判”
・ライカは人物を撮りやすい?
・「ライカ=モノクロ」と言われる理由
・どうしてM型ライカは高価なのに人気?
・ライカ本社のある「ライツパーク」ってどんな所?
・ライカMレンズに見る持続可能性

M型ライカは撮影操作が独特だが、そのあたりも少人数開催のため、気兼ねなくじっくりとスタッフに教えてもらえる。レクチャーは参加者のカメラ経験や興味関心によって進行するため、「ぜんぜん話についていけない!」ということはないだろう。セミナー終了後に、そのまま何かを買わせようというムードもない。「よろしければ今後もイベントなどをご案内させていただきます」といった形で、引き続きライカに興味があれば連絡先を記入する程度だった。

ライカの買い方もいろいろあるが、筆者の私見ではライカストアやライカブティックは「カメラと一緒に、写真生活の楽しみも用意してくれる場所」という印象だ。カメラの購入後もストア主催イベントの案内が届いたりと、周りに“カメラ仲間”がいなくても、写真のことに詳しくなくても、馴染みのストアスタッフがもてなしてくれるから安心というわけだ。雑な表現かもしれないが「高いだけのことはある」と言えるのではないか。もちろん、どこでどんな買い方をしても、ライカ製品に惚れて購入するにあたり上下はない。既に多くの選択肢がありながら、より幅広い人に親しんでもらいやすい場を提供しようというライカストアスタッフの熱意をお伝えするのが、この記事の真意だ。

「セミナーという形でお話するのは、緊張します」と語りつつ、入念なスライド資料と熱のこもったトークを披露したのは、本イベントを企画したライカ大丸東京店の金田真国氏。

なお、本セミナーは今後も継続開催予定。次回は11月3日を予定しているという。決まった開催日での参加が難しければ、可能な範囲で予定に合わせて個別に開催するため、今後の開催予定も含め、まずはライカ大丸東京店まで問い合わせてほしいとしている。

セミナー「Leitz Phone 1が受け継ぐM型ライカのDNA」

会場:ライカ大丸東京店(東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店10階)
問い合わせ/申し込み先:電話(03-5220-3322)または店頭

本誌:鈴木誠