イベントレポート

世界の名品・珍品が集合 第44回世界の中古カメラ市より

2月21日(日)まで開催中! 東京・松屋銀座8階にて

会場内の様子。会場入り口および各店舗にはアルコールの消毒液が置かれるなど新型コロナウイルス感染対策もしっかり施されている。「第44回世界の中古カメラ市」は東京・松屋銀座8階イベントスクエアにて21日(日)まで開催される。入場は無料

2月16日(火)より東京・松屋銀座8階イベントスクエアにて「第44回世界の中古カメラ市」が開催されている。

2021年の中古カメラ市の様子は?

この中古カメラ市は、輸入カメラ協会(I.C.S.=Imported Camera Society)が毎年開催しているイベントで、有名カメラショップが一堂に介し中古のカメラ、交換レンズなど即売を行うものである。ちなみにI.C.S.は、都内のカメラショップが多数加盟しており、創立は1972年の歴史ある協会だ。中古カメラ市は年数回開催しており、今回の松屋銀座でのイベントがI.C.S.として2021年の1回目となる。出店は同協会に加盟するカメラショップ13店舗のほか、協賛店舗として非加盟10店舗のカメラショップが名を連ねる。

新型コロナウイルスの感染拡大対策も万全だ。例年開催初日のオープン時は多数の来場者が列をつくるが、今回は抽選方式での入場となった。また、会場入り口および各ショップの店頭にはアルコールの消毒液が多数置かれるほか、密にならないよう各ショップの係員が対応しているなど、徹底した感染対策をした上での実施となっている。

なお、抽選方式による入場は初日オープン時のみで、そのほかの日時に関しては通常通りとなっている。ただし、混雑等の状況により入場が制限される場合もあるというので留意しておきたい。

いくつかのショップで初日の様子を伺ったが、ほとんどが例年と売り上げは変わらず、心配されていた売り上げの低下はないとのこと。実際、取材する横から商品が売れていく様子は中古カメラの変わらぬ人気を改めて知らしめるものであった。

筆者の気になったカメラたち

ではさっそく会場をぐるぐる回る中で、筆者が気になったカメラたちをお伝えしていきたい。なお、ここで掲載した商品は全て取材時のもの。完売や予約済みになっている場合があることをご承知置き頂きたい。

1980年に発売された120フィルムを使用するパノラマカメラ。フォーマットは6×17判で、1本のフィルムで4カットが撮れる。写真のモデルはニッコールSW90mm F8が付属。なお富山製作所は元々撮影用スタンドの製造会社だった。

トミヤマ(富山製作所):アートパノラマ170(ジェイダブリュー)

イギリス・Corfield(コーフィールド)社製のレンズ交換式35mmフィルムカメラ。シャッター幕直前に小さなミラーがあり、それをカメラ上部にあるピント合わせ用のファインダー(ペリスコープ:潜望鏡)で覗いて、ピントを合わせるという独特の機能を持つカメラだ。

Corfield:Periflex I(秀光)

専用のモータードライブを装着したニコンSP。本来ニコンSP用のモータードライブは極めて数が少なく、ニコンF用を改造して装着している場合が多いが、これは正真正銘のSP専用のモータードライブだ。バッテリーケースとSPメーターも付属。

ニコン:SPモータードライブ(アカサカカメラ)

世界初の市販オートフォーカスカメラ「ジャスピンコニカ」(C35AF)の100万台製造を記念して発売された限定モデル。スエード調の合皮をまとうのが特徴だ。C35AF自体は中古市場でさほど珍しくないカメラだが、これはレア。

コニカ:ジャスピンコニカC35AF(フォトベルゼ)

レンズ交換式の中判レンジファインダー機、マミヤ7IIのシャンパンゴールドモデル。写真のモデルは、専門の修理店でオーバーホールを行っており、とても状態のよい1台だ。他人とは異なるマミヤ7を持ちたい中判フィルムユーザーは必見。

マミヤ:マミヤ7II シャンパンゴールド(新橋イチカメラ)

Meopta(メオプタ)社は旧チェコスロバキアのカメラメーカー。OPEMAはその35mmフィルムカメラである。OPEMA I(左)は距離計なし、OPEMA IIは距離計を搭載している。カメラ2台のほか、30mmから135mmまでの交換レンズ6本が付属。

Meopta:OPEMA I + OPEMA II(早田カメラ)

こちらも旧チェコスロバキア・Meopta社のカメラ。製造開始は1961年と言われている。写真の個体はビューレンズにテイクレンズと同じBelar 80mm F3.5を採用する後期型である。グレーの貼り革がお洒落な二眼レフ。

Meopta:FLEXARET AUTOMAT VI(ステレオカメラ)

Alpa(アルパ)はスイスのカメラメーカーだが、本モデルの製造は日本のチノンで行われた。発売は1976年でマウントはM42、絞り優先AEを搭載している。この後に発売されたSi3000も日本製で、共にとても珍しいカメラである。

Alpa:Si2000(スキヤカメラ)

EOS 7は2000年に発売された、キヤノンのミドルレンジフィルムAF一眼レフカメラ。4コマ/秒の連続撮影機能や視線入力AFを搭載していた。EF50-200mm F3.5-4.5Lは1988年の発売。プラスチッキーな鏡筒ながら、高い光学性能を誇る“Lレンズ”だ。

キヤノン:EOS 7 + EF50-200mmF3.5-4.5L(三共カメラ)

グリップを付けると一見ムービーカメラのようなSL 2000F。フィルムマガジンが交換できるなど独特の機構を備える。Planar 85mm F1.4というとヤシカ/コンタックスマウント用が有名だが、こちらはHFTコーティングを施したローライ製。

Rollei:Rolleiflex SL 2000F+Planar 85mm F1.4 HFT(千曲商会)

2焦点レンズを搭載するAFコンパクトカメラ。焦点距離は38mmと70mmをカメラ前面にあるスライドスイッチで切り換えることができる。ちなみに“MINI T”のTはテレ(望遠)のこと。1991年発売。

キヤノン:Autoboy MINI T(矢倉カメラ商会)

1978年に発売されたRolleiの35mmフィルム一眼レフカメラ。SL35シリーズとしては最後のモデルである。電子制御式シャッターを採用し、シャッター速度の無段階調節が可能。そのためシャッターダイヤルにはクリックを備えていないのも特徴。

Rollei:Rolleiflex SL35E(日東商事)

好評の特設コーナーも設置

毎回特別企画と称する特設コーナーをこの中古カメラ市では開催しているが、今回も多彩だ。

まず18日(木)の午後4時から6時まではタイムサービスとして時間限定のお値打ち品を各ショップで用意する。20日(土)は理由ありセールとして掘り出し物等を同じく各ショップで開催予定だ。それぞれのタイミングに合わせて会場を覗いてみるのもアリだろう。

さらに常連向けとして、20日(土)までに本イベント案内ハガキを持参した人に買い物券の当たる抽選会も実施している。会場内ではバルナック型ライカの愛好家グループ「バルナック会」による写真展も開催されており、メンバー自身の手焼きによる銀塩プリントは見応えあるものとなっている。

今回の中古カメラ市は、21日(日)までの開催だ。なお、開催時間は午前11時から午後7時まで(最終日21日は午後4時閉場)と、例年とは異なっているので、常連の方々は注意されたい。

最後に、中古カメラ市の会場をはじめ松屋銀座の入店の際はマスク着用が必須となっているので忘れずに用意して出かけてほしい。

第44回世界の中古カメラ市

会場

松屋銀座8階イベントスクエア
東京都中央区銀座3-6-1

日程

2021年2月16日(火)〜2月21日(日)11時〜19時
※最終日は16時閉場

タイムサービス

2月18日(木)16時〜18時

理由ありセール

2月20日(土)のみ

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。