イベントレポート

東京銀座で「第40回世界の中古カメラ市」が始まる

フィルムカメラの人気が上昇 限定ノクトンは初日に完売

東京・松屋銀座8階イベントスクエアにて2月27日(火)まで「第40回世界の中古カメラ市」が開催されている(入場無料。10~20時、最終日は17時閉場)。ここでは初日の2月22日(木)の会場の様子と、筆者がピックアップしたカメラや交換レンズなど紹介していきたい。

この中古カメラ市は、輸入カメラ協会(I.C.S.=Imported Camera Society)が主催するイベントで、有名カメラショップが一堂に会し、中古カメラ、交換レンズなど即売する。

ちなみにI.C.S.は、都内のカメラショップが多数加盟する協会。年3回このような中古のカメラ市を開催しており、本イベントは2018年第1回目となる。

今回同協会に加盟する16店のカメラショップのほか、ライバルとして切磋琢磨しあっている写真機商振興会のカメラショップが協賛としていくつか出店しているのは興味深い。

フィルムカメラ人気が上昇

I.C.S.代表で株式会社秀光の高井秀二氏に、今回の中古カメラ市の様子をうかがったところ、「フィルムの人気がこのところ上昇しているため、昨年よりも来場者が多い」とのこと。

中古カメラ市で忘れてならないのが、初日早朝の店頭の行列だが、今回もデパート開店前の朝9時過ぎには200人以上の行列となったという。

午前中にくらべ、午後は客の入りが比較的落ち着ついていたようだが、それでも写真愛好家で会場はたいへんな熱気である。「若い人に加え、相変わらず海外からのバイヤーや写真愛好家も多い。すっかり海外でも知られたイベントになったようだ」と話す。

来場者の声

初日午前中の会場の様子は、朝からみぞれまじりの冷たい雨の降るウィークディーとは思えないほどの人の入り。来場者が1つ1つ丹念にショーケースを覗く姿や、商品を直接手に取りショップ店員とホットに商談する様子など多数見受けられた。

MMさん

前からマミヤ7 IIを狙っていたのですが、状態のよいものをカメラのアルプス堂で見つけ購入しました。フィルムでの撮影は以前から35mmカメラで楽しんでいます。このカメラで人物やスナップなどカラーネガフィルムで撮るのが楽しみです。

ミムラさん

今回の中古市で買ったのは、テッサー45mm F2.8です。ツァイスの色が好きで、コンパクトなこのレンズが特に気になっていました。フィルムは写ルンですをきっかけに6年ほど前から親しんでいます。現在のカメラはコンタックスAriaです。

モリタカオさん

ショップをいくつか見てまわり、価格や状態を吟味してようやく自分好みのライカMDaを見つけることができました。シンプルなカメラが好みです。普段は低速シャッターやセルフタイマーの省略されているライカIIfでスナップを楽しんでいます。

こさかさん(左)、ともさん(右)

中古カメラ市には、いろいろカメラがあると聞いて初めて来ました。カメラよりもまず目に付いたのが中古のフィルターです。ケンコーのPLフィルターとスカイライトフィルターを安く手に入れることができました。父親のミノルタXDを愛用しています。(ともさん)

均一コーナーや理由ありセールも

毎回「特別企画」と称する特設コーナーを設けているが、今回も多彩だ。

まず23日(金曜)から価格帯別コーナーとして1万円均一、2万円均一、3万円均一を会場入り口で開催。三脚やカメラバッグなどの大物アクセサリーの展示販売も行う。

24日(土曜)には「理由ありセール」として掘り出し物を各ショップで販売するほか、25日(日曜)には16時から18時までタイムサービスを予定している。

また、各ショップの常連向けとして、23日(金曜)~26日(月曜)の間に本イベント案内ハガキを持参した人に買い物券の当たる抽選会も実施する。

限定ノクトンは即日完売

さらに世界の中古カメラ市40回開催を記念して、コシナの「NOKTON 40mm F1.2 Aspherical VM」を限定50本用意。

レンズ前枠とマウント部はニッケルクローム、鏡筒は黒塗りの特別仕様のモデルで、価格は税込み10万5,000円。初日の14時頃には完売。人気のほどが伺える。

実に盛りだくさんの中古カメラ市と言える。この週末、気になった写真愛好家はぜひ銀座まで足を伸ばしてみていただきたい。

会場で気になった商品

ズノーペンタフレックス

当時としては最先端の機構を満載した一眼レフカメラ。たいへん貴重なカメラで中古市場では通常100万円以上の値がつけられるが、写真の個体はペンタ部にアタリがあるため、この値段。1958年発売。(アカサカカメラ)

マミヤ6MF

スクエアフォーマットの中判レンジファインダーカメラ。マミヤ7シリーズと比較されることが多いが、マミヤ6MFのほうが沈胴式とするため収納時はよりコンパクトに。絞り優先AEモードでの撮影も可能。(カメラのアルプス堂)

ミノルタNew MDフィッシュアイ7.5mm F4+MD 2×テレコンバーター

ミノルタで唯一の円周魚眼レンズである。写真のNew MDのほかMCとMDにもあるが、光学系は同じ。写真の個体には装着すると対角線魚眼レンズとなるという純正の2倍テレコンバーターが付属する。(ペンギンカメラ)

ツァイスBiogon 35mm F2.8(左)、ミノルタスーパーロッコール50mmF2(右)

マウントアダプターを介してミラーレスカメラで楽しんでも、Lマウントのレンジファインダー機で楽しんでも、いずれも美しい描写の得られるレンズ。この年代のレンズで純正のフードが付属するものは特に狙い目だ。(スキヤカメラ)

キヤノンEF 100-200mm F4.5A

FD時代の100-200mm F5.6を彷彿させるAFズームレンズ。EFレンズ黎明期とも言える1988年に発売されたもので、特徴としてはAF/MFスイッチが付いておらず、常にAFで使用する割り切った設計というところだろう。(ユー・シー・エス)

タムロンSP 350mm F5.6

タムロンのミラー(反射望遠)レンズというとSP500mm F8があまりにも有名で、若かりし頃愛用したひとも少なくないことだろう。本レンズはその350mm版で、市場ではなかなかお目にかかることの少ないレンズの1つ。(ジェイダブリュー)

SIGMA sd Quattro+30mm F1.4 DC HSM

ユニークなボディシェイプを持つシグマの現行ミラーレス機。撮像素子はもちろん同社独自のフFoveon X3 ダイレクトイメージセンサーだ。圧倒的なシャープネスと、独特のコクのある色調を楽しんでみたい。(スズキカメラ商会)

【注意】掲載した商品は全て取材時のものです。すでに完売や予約済みになっているものがあることをご承知置きください。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。