イベントレポート

【CP+2019】佐藤健寿さん「α7R IIIと巡る真冬の中央アジア・奇界遺産の旅」

世界の美術を繊細に再現するカメラ&レンズ

佐藤健寿さん

CP+2019のソニーブースでは佐藤健寿さんのセミナー「α7R IIIと巡る真冬の中央アジア・奇界遺産の旅」が開催されていた。内容は、世界中の「奇妙なもの」を探し回って撮影を続けている佐藤さんが、α7R IIIを持って中央アジアを回った感想でまとめられていた。

イスラム文化圏をめぐる

中央アジアとは、ウズベキスタン、トルクメニスタン、カザフスタン、キルギスタンなど、「スタン」と名のつく国が多い地域だ。西アジアと東アジアの狭間にある地域で、さまざまな文化が入り混じっている地域だという。その象徴のひとつがアラベスク模様だ。

「アラベスク模様というのは、複雑な植物の柄などが混ざっている模様です。イスラム世界の宇宙観を表現したものだと言われていて、ひじょうに細かく描かれた模様です。イスラム教は偶像崇拝が禁止されているので、神様を模様で表現するしかなかったのだと思います。精細なパターン模様が綺麗に描かれています」

「イスラム教の国はいくつか回りましたが、そのほとんどが写真に撮られることを嫌う人々でした。イスラムの写真を堂々と撮れるのは、ウズベキスタンくらいかもしれません」

“繊細な装飾を描きたい”期待に応える

続いて撮影に持参した機材を説明。「α7R II」との比較も話してくれた。

「今回はα7R IIIを持っていきました。前機種のα7R IIから使用していますが、α7R IIはバッテリーの持ちが物足りなかったのです。α7R IIIはバッテリーが大容量になったので、念のために予備は持っていきましたが、ひとつのバッテリーで朝から晩まで撮影することができました」

「寺院などははるか昔に建てられた建物なので、照明は十分ではありません。さらに宗教施設なので、三脚を使用できない場所も多く、アラベスク模様も繊細。カメラにとってはチャレンジングといいますか、撮影難易度が非常に高い場所です。そういった場所ではカメラの根本的な性能が試されます。α7R IIIの常用ISO感度の高さや、ボディ内手ブレ補正機能がそれに応えてくれました」

この撮影に持っていったレンズのひとつが「FE 24mm F1.4 GM」。このレンズの性能の高さに、佐藤さんは驚いたようだ。

「24mm F1.4のレンズはいろいろな種類を試しましたが、歪みや周辺減光が必ず起こってしまいますし、絞り開放で撮影した時には解像感が落ちてしまいます。それらは明るい広角レンズの宿命でしたが、今回のレンズはそれをすべてクリアしたと思います」

「まずレンズ自体が非常にコンパクトで、周辺減光も抑えられています。絞り開放でもシャープに写り、旅に持っていくレンズとしては申し分ありません。昔は機材をたくさん持って行きましたが、多くのレンズでたくさんの画角をカバーできるメリットよりも、機動力が落ちて行きたい場所に行けないデメリットの方が大きいと気づいたんです。最近はできる限りコンパクトにするのがスタイルです」

寺院、市場、街のスナップ、さらに天然ガスのガスクレーターまで写真に収めた佐藤さん。単に作品的に美しいだけでなく、環境問題や宗教問題も含まれ、社会的に意義のあるレポートで感銘を受けた。CP+2019という場でこのプレゼンテーションが行われたことに大きな意味があったと思う。

最後にα7R IIIについてまとめ、佐藤さんはステージを降りた。

「α7R IIIになり、旅のカメラとしては申し分のない性能を持っています。どんなシーンでも対応できるので、『何か1台おすすめは?』と聞かれたらこのカメラをおすすめします。ほかのメーカーのレンズを、アダプターを介してα7R IIIに装着してみると、そのメーカーのカメラボディ+レンズという純正同士の組み合わせより、α7R IIIとの組み合わせのほうがいい写真になることもあります。それくらい圧倒的な性能があります。この1台は非常におススメです」

佐藤健寿さんをはじめとしたCP+2019ソニーブース スペシャルセミナー登壇者のトークイベントが、全国ソニーストア内にある「αプラザ」で開催されています。

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中村僚

編集者・ライター。編集プロダクション勤務後、2017年に独立。在職時代にはじめてカメラ書籍を担当し、以来写真にのめり込む。『フォトコンライフ』元編集長、東京カメラ部写真集『人生を変えた1枚。人生を変える1枚。』などを担当。