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EIZO×SILKYPIXセミナーが大阪で開幕
カラーマッチングの重要性とは? 27型の新「ColorEdge」の展示も
Reported by 本誌:折本幸治(2013/11/13 17:04)
全国4カ所で行なわれる「EIZO×SILKYPIXセミナー」の第1回が11月9日、大阪梅田で開催された。会場には11月7日発表の新製品「ColorEdge CG277」「ColorEdge CX271」の展示もあった。
このセミナーはその名の通り、EIZOのカラーマネージメント液晶モニター「ColorEdge」を使った、カラーマッチングおよびRAW現像についてのセミナー。RAW現像ソフトには、市川ソフトラボラトリーの「SILKYPIXシリーズ」を例として使用する。
まず市川ソフトラボラトリーの営業部 第一営業課の横山崇課長が、RAW現像について解説。RAWで撮影することのメリットに始まり、実際にRAW現像のデモをしながら説明を行なった。
RAW撮影のメリットとしては、「撮影に集中できる」、「高画質な写真に仕上がる」、「表現方法も自由自在」といった3つを強調。JPEGとRAWの違いにとどまらず、12bit RAWに対する14bit RAWの優位性を紹介。また、色再現のテクニックなどを披露した。
続いて、EIZO株式会社の営業1部 パートナー営業課 フォト・コンシューマーグループの木田守都係長が登壇。会場で配布された「デジタルフォトをもっと楽しむためのEIZO読本」をもとに、ColorEdgeを使ったカラーマネジメントについて解説した。
木田氏が最初に強調したのは、カラーマッチングの必要性だ。カメラ、モニター、プリンターそれぞれで色が異なる状態だと、ストレスが生じる上に、何度もプリントすることによるインクや用紙の費用も馬鹿にならない。
そこでカラーマッチングが必要になるのだが、結論としては、ColorEdgeのようなカラーマネジメント対応のモニターを使うことが早道だという。画像編集ソフトとプリンターの設定も重要だが、まずはモニターの色を正確にすることが大切となる。
セミナーでは、専用ソフトColorNavigator 6を使ったColorEdgeのキャリブレーションが実際に行なわれた。キャリブレーションといっても基本的には、「調整目標を選ぶ」「センサーをモニター前面に設置」「調整実行」で終了。数分待っていると調整が完了し、その後、モニタープロファイルも自動で作成される。
ただし、こうしてキャリブレーションを行なったモニターといえども、使った時間によって暗くなったり、色味が変化してしまう。そこでEIZOは、ColorEdgeシリーズのうち、ColorEdge CXシリーズにはコレクションセンサーを搭載した。これはモニターの上に仕込まれた小さなセンサーが、一定期間で自動で色を補正してくれるという機能だ。
もちろん汎用のキャリブレーションキットを別途用意することで、カラーマネジメント非対応の一般的なモニターでもキャリブレーションは可能だ。ただし、調整に時間がかかる上、そもそも色調整機能がモニターに備わっていなかったりするため、最後までたどり着けず行き詰まりやすい。ノートPCのモニターや、PCとセットのモニターはほとんどがそうだという。
ちなみにEIZOでは現在、ノートPCをお持ちの場合は、外付けモニターとしてColorEdgeをつないでプリント作業を行うことを勧めているとのことだ。ノートPCのモニターの質が悪くともColorEdgeをつなぐことで、カラーマッチング環境が完成する。さらに広い環境で快適に作業できるというメリットもある。今回の会場についても、ほぼすべてのモニターがノートPCにつながれていた。
本セミナーで興味深かったのは、代表的な現像ソフトにおけるカラー設定の方法。SILKYPIX Developer Studio Pro、Adobe Photoshop Elements、CANON Digital Photo Professionalについて、実に細かい説明が行なわれた。
なかでもユーザーが多いCANON Digital Photo Professionalは、カラーマネージメントを実践するために、初期設定を変更する必要がある。環境設定の「カラーマッチング」を「OSの設定に従う」にしておかないと、せっかくのキャリブレーションが反映されないので注意が必要とのことだ。
こうしたセミナーの進行にあわせ、設定項目を実際に反映させ、プリントするデモも行なわれた。プリンターはキヤノンのPIXUS PRO-10、用紙は最新の微粒面光沢(ラスター)を使用。細かな設定を実演しながらプリントを行ない、最後にはキャリブレーションで得られたモニタープロファイルとの差を埋めるため、ColorNavigator上で、手動での微調整の方法も披露された。
セミナー終了後は、展示されたColorEdgeシリーズを前に質問タイム。その中でも会場の目玉ともいえるのは、11月22日に発売される「ColorEdge CG277」「ColorEdge CX271」で、いずれもAdobe RGBカバー率99%を誇る27型のハイエンドモデルだ。
ColorEdge CG277は、本体にキャリブレーションセンサーを内蔵。パネル左下からスイングして現れる。自動での再キャリブレーションも可能だ。直販価格は19万9,800円。
一方ColorEdge CX271はキャリブレーションセンサー非搭載。キャリブレーションには別途EX2などのキャリブレーションセンサーが必要になる。ただし、画面情報に備えられたコレクションセンサーによる自動再調整には対応している。
ColorEdge CX271は、付属品により3つの商品構成を用意。ColorNavigatorと専用キャリブレーションセンサーが付属するCX271-CNX(直販価格15万9,800円。以下同)、センサーをすでに持っているユーザー向けにColorNavigatorのみ付属するCX271-CN(15万4,800円)、無償ソフトColorNavigator Elementsで簡易なカラーマッチングを行なえるCX271(14万9,800円)。
従来の27型ColorEdgeと見た目はほぼ変わらないものの、今回からバックライトにLEDを採用したとのこと。LEDを避けて蛍光管にこだわっていたColorEdgeにしては大英断といえるが、これは、LEDがようやくColorEdgeで使えるクオリティに達したとの判断からだ。
LEDになったことで、バックライトも表示のちらつきが気になりにくい高速PWM調光方式に進化した。確かに目に優しく見やすい印象。低温での駆動が可能になったことで、排熱用のファンもなくなった。標準消費電力は従来比、約40%減。
色再現も強化された。Adobe RGBカバー率は、従来の97%から99%に向上している。パネル解像度は引き続き2,560×1,440ドット。
その他会場には、現行の24型「ColorEdge CG246」や23型「ColorEdge CS230」などが並んでいた。それぞれのサイズ感や品質を確かめるのに、大変都合の良いイベントといえる。
また、蛍光灯スタンドの「Z-208-EIZO」も展示されていた。演色性が高くて色再現に優れ、写真の仕上がり確認に便利というふれこみの製品。セミナーの中でもキャリブレーション後の微調整で、この蛍光灯スタンドが活躍していた。
店頭で見かけることの少ないアイテムなだけに、質問をする来場者を良く見かけた。EIZOの直販サイトでモニターとセットで購入すると、少し安くなるという。
同セミナーは、大阪会場に続き、福岡(11月16日)、名古屋(11月23日)、東京(11月30日)の順に開催される。
各講座とも1日2回。受付は10時〜、14時30分〜。定員は各回50名で予約制。申し込みは専用フォームから。
地域 | 開催日 | 会場 |
---|---|---|
大阪 | 11月9日(土) | TKP大阪梅田ビジネスセンター9F会議室 |
福岡 | 11月16日(土) | 福岡フコク生命ビル9F会議室 |
名古屋 | 11月23日(土) | 日銀前KDビル6F会議室 |
東京 | 11月30日(土) | マルイト銀座第3ビル1F EIZOガレリア銀座 |
協力:EIZO株式会社