ライカ、「Mモノクローム」「X2」など新製品の国内発表会
ライカカメラジャパンは14日、ドイツ・ベルリンで10日(現地時間)に発表した新製品の国内発表会を東京・銀座のライカプロフェッショナルストア東京で実施した。
ライカプロフェッショナルストア東京で発表会を実施 | ライカMモノクローム |
まず独ライカカメラAGのセールスディレクター、ステファン・カイル氏は、先週土曜日に海外オークションで1925年製の“ヌル・ライカ”と呼ばれる試作機が200万ユーロ(2億円以上)で落札されたことに触れ、ライカブランドの持つ高いイメージを喜ばしく感じると話した一方、「そのカメラが2億で売れたからといって、ほかのカメラを値上げすることはしない」と語り、会場の笑いを誘った。
ステファン・カイル氏 |
続いてプロダクトディレクターのステファン・ダニエル氏が、M型ライカの新モデル「ライカMモノクローム」について紹介した。
ステファン・ダニエル氏 | Mモノクロームの概要 |
Mモノクロームは、ベイヤー配列のカラーフィルターを持たないCCDセンサーを搭載し、モノクロ専用機としたカメラ。“サングラスのような”というカラーフィルターを持たないことから「2倍シャープ」な画質が得られるとし、M9およびM9-Pより1.5〜2段ほど高いISO感度が使えるという。
同じ被写体で解像感を比較。写真はライカM9の等倍表示 | こちらはライカMモノクロームの等倍表示。「次元の違う解像度」としていた |
ライカMモノクローム | |
製品名をM9のバリエーションとしなかった理由については、Mモノクロームが「ライカMP」(フィルムカメラ)のような位置づけで、M9よりロングライフとなる可能性があるからだと言う。
同機種にはモノクロ写真を作り込むソリューションとして、Photoshop Lightroomに加え新たにNik Softwareの「Silver Efex Pro 2」をバンドル。あらゆるフィルムの粒状感などをシミュレートできるとしていた。
また、Mモノクロームのユーザーに向けたサービスとして、Whitewall社と提携し、バライタの感光紙にレーザー露光を行なうプリントサービスを提供する。加えて、同サービスのクオリティを知ってもらうためとして、Mモノクローム本体に同サービスのプリントによるJ.A.Sobol氏の作品コピーを1枚同梱する。
同時発表のライカMレンズ新製品「アポ・ズミクロンM f2.0/50mm ASPH.」は、「新しい写真レンズの基準」と同社が自信を見せる。シャープさを狙ったレンズだが、ボケの美しさにもこだわったという。フードは回転するとせり出す機構になっており、同社双眼鏡のものと近い仕組みだという。
アポ・ズミクロンM f2.0/50mm ASPH.をMモノクロームに装着 | アポ・ズミクロンM f2.0/50mm ASPH.の概要 |
フード使用時。レンズ銘の文字の向きがこれまでと逆になった |
レンズのフロントキャップ・リアキャップはいずれもブラス削り出し。パッケージも通常のモデルと異なる特別な箱になるという。
コンパクトカメラ「ライカX2」は新しいCMOSセンサーの採用でAFを高速化。レンズスペックは35mm判換算36mm相当で「ライカX1」を踏襲。新センサーの恩恵は、解像度以上に高速読み出しによるAFの高速化に現れているという。本革のケースも用意した。
ライカX2(ブラック) | |
ライカX2(シルバー) |
ライカX2の概要 | 紹介しようとしたカメラが見つからずカイル氏とダニエル氏が慌てていると、自転車チームが登場し、バッグの中からライカX2を取り出し届けるという演出も |
20年前からドイツ移民の足跡を求めて世界を旅しているという自転車チームのメンバー。このうち3名がライカカメラAGの社員。ドイツの国営放送が取材についているという | 今回は日本に秘められたドイツ史を発見するという趣旨の旅 |
ブラックにEVFを装着。画素数は144万ドット | EVFと液晶モニターの表示切り替えはEVF本体のボタンで行なう |
上90度のチルトが可能 | 端子部 |
ライカX2用の革ケース。左が縦型、右が速写タイプの横型。いずれもショルダーストラップが付く |
20倍ズームコンパクトの「V-LUX 40」は、AF高速化、3型タッチパネル液晶モニター、GPS機能、フルHDのAVCHD動画機能などが特徴としていた。
V-LUX 40 |
V-LUX 40の概要 | V-LUX 40を手にするステファン・カイル氏 |
ライカSシステム用のハッセルブラッドHレンズアダプターや、ライカSレンズのセントラルシャッター(レンズシャッター、CSレンズ)搭載モデルも紹介した。
ライカSシステム用Hアダプター | 電子接点を備え、S2との通信でハッセルブラッドHレンズのAFなど全機能が使えるという |
HレンズをS2に装着したところ。レンズシャッターの速度はレンズに依存する | ライカSシステム用Hアダプターの概要 |
ライカS用CSレンズのシャッター。100%内部開発で、1/1,000秒までシンクロする。レンズシャッターの上限を超えると自動的にフォーカルプレーンシャッターに切り替わる仕様 |
CSレンズの優位性を示す作例を紹介。CSレンズ(左)では被写体を写し止めつつ背景も飛んでいないが、右では被写体がぶれ、背景も露出オーバーになっている |
続いて限定モデルのM9-Pエルメスエディションについても紹介。M9-Pをベースにフォルクスワーゲンのデザイナー、ワルテル・デ・シルヴァ(Walter de’Silva)氏がデザインしたボディに、エルメスのレザーを用いた貼り革やストラップが付属するモデル。
背面もボタンやダイヤルの形状が変わった | 各セットの内容 |
2010年5月に亡くなったエルメス前社長のジャン・ルイ・デュマ氏との友好を記念したモデルで、同氏はステファン・ダニエル氏いわく“ライカの恩人”で、ライカカメラ社が2002〜2003年頃に経営難に陥った際、エルメス社として出資の決断を行なった人物だと言う。
同氏はライカファンかつ写真家でもあり、氏がライカM6で撮影した写真を集めた写真集が、100セット限定の「ライカM9-Pエルメスエディション - セリエ・リミテ・ジャン・ルイ・デュマ」に付属する。カメラボディに「ズミルックスM f1.4/50mm ASPH.」を同梱したシンプルなセットも300台用意する。
同セットにはレンズ3本とエルメス製の「リポーターバッグ」も同梱し、リポーターバッグはステッチひとつまで職人の手によるハンドメイドで、100セット分の生産には2011年10月から2012年4月末までかかったという。
パリで手作りされたリポーターバッグが付属 |
ドイツとフランスのクラフトマンシップによる製品という |
最後に、2012年9月にドイツ・ケルンで開催するフォトキナ2012について言及。これまで同社は500〜600平方mというブースを用意していたが、今年はさらに拡大し、ある一つのホールを丸ごと使用するのだという。
ステファン・カイル氏は、「(そのホールを埋めるには)もう少し商品がいるかもしれない」と含みを持たせ、今回の発表会を締めくくった。
2012/5/15 00:00