DNPフォトルシオ、「PHASE ONE」フェアを開催


P40+

 DNPフォトルシオは11日、フェーズワン社のデジタルバック「P40+」と現像ソフト「Capture One 4.8」のセミナー「PHASE ONEフェア」を東京・五反田で開催した。

 セミナーではP40+の紹介とインプレッションに加え、Capture One4.8の使いこなし方などを紹介した。

 P40+は、有効4,000万画素相当のCCDセンサーを搭載。上位機種のP65+に引き続き、Dalsa社と共同開発したCCDセンサーを採用した。センサーサイズは44×33mm。レンズ比率は1.3倍相当となっている。

 また、画素混合技術「Sensor+」も備えている。隣接する4つのピクセルを1つのスーパーピクセルとして扱うことで、実効感度やダイナミックレンジの拡大を図る。P40+でSensor+を有効にすると、有効画素数が4分の1の1,000万画素相当になる。

 DNPフォトルシオ第2営業本部プロフォトソリューショングループエキスパートの小山秀一氏によると、「ピクセルサイズが6×6μから12×12μになることで、単純に受光面積が増えるため、感度の向上やダイナミックレンジの拡大が可能になる。また、フル画素ではCCDから取り込むときに4つのピクセルそれぞれにノイズが乗るが、スーパーピクセルでは4つ分のピクセルを1つ分として取り込むので、1ピクセル分のノイズで済む」という。そのほか、Sensor+を有効にする利点については、有効画素数の減少による連写速度の向上を挙げた。なおP40+では、フル画素時の連写速度は1.2コマ/秒。Sensor+を有効にすると、1.8コマ/秒まで速度が向上する。

小山秀一氏Sensor+の概要
機種ごとのセンサーサイズとレンズ比率デジタルバックを並べたところ。左からP65+、P45+、P40+

 P40+のファーストインプレッションは、有限会社Y2のフォトグラファー、湯浅立志氏が担当した。

 湯浅氏はP40+とP65+の関係を、キヤノンのEOS-1D Mark IIIとEOS-1Ds Mark IIIの関係に置き換え、「P40+は連写を売りにしているが、P65+に比べて画角が狭い。P65+がフルサイズだとすると、P40+はその周囲をトリミングした感じになる。それを考慮すると、P40+はモデルとかファッション撮りには向いていると思う。風景ならP65+を使うべきだろう」と感想を述べた。

 実際にSensor+モードでモデルのポートレートを撮影した一幕も見られた。その中で湯浅氏は、「1,000万画素でISO800まで感度を上げて撮影したが、フル画素と比べてもあまり劣化は感じられなかった。地明かりで撮る仕事の人には向いていると思う」とした一方で、「最近のデジタルバックにはオートホワイトバランスがついているが、オートホワイトバランスで撮っていると、色がころころ変わってしまう。このあたりは35mm(35mm判相当のセンサーを搭載するデジタル一眼レフカメラ)に比べると弱い気がする」と苦言を呈した。

 オートホワイトバランスについてはその後も言及した。「P40+はオートホワイトバランスを使うようなカメラではないが、いずれ実用になるくらいになってくれると、(デジタル中判カメラも)より一般的になると思う」と今後への期待を覗かせる場面もあった。

湯浅立志氏モデルの撮影を行なっているところ。カメラはPCに連結され、画像がスクリーンに投影されている

 また、センサーの違いによる長時間露光時の特性についても言及。P40+とP65+にはDalsa製のCCDセンサーを搭載している一方、旧機種のP45+ではコダック製のCCDセンサーを使用していることを踏まえ、「長秒はP40+とP65+が1分、P45+が1時間と、センサーによる性能差が大きい。P40+やP65+では、ずっとシャッターを開けっ放しにして何かの軌跡を撮るという用途には厳しいと思う」と話した。

 Capture One 4.8の使いこなし講座では、Capture One独自の「セッション」について解説した。セッションでは画像ファイルや各パラメータなどをフォルダ単位で管理できる点を挙げ、「それ1つで仕事が完結しているので、目的のセッションを開けば、たとえ半年後にでも前回の状況を復元できるところにある。設定ファイルの入っているフォルダを外部に移しておけば、環境の移行が簡単にできるのもポイント」(湯浅氏)とセッションの利点を説明した。

 このほか、他社の現像ソフトと同じ感覚で作業するため、パラメーターウィンドウを再配置したり、ショートカットキーを他社の現像ソフトに対応するように再設定するなどの使いこなしなども紹介していた。

レイアウト変更例。左がキヤノンのDigital Photo Professional、右がCapture One 4ショートカットキーの変更例。DPPに近づけている


()

2009/6/11 22:20