【CP+】光ガラスからシャッターまで、コンポーネンツ&デバイスプラザ編


 CP+2012の会場には、「コンポーネンツ&デバイスプラザ」と名づけられた一角がある。

 前回のCP+2011では「ビジネスミーツ」として商談の場が設けられ、デバイスメーカーなどが出展していた。そのビジネスミーツの今年版ともいえるのが、コンポーネンツ&デバイスプラザだ。

 前回と異なり、今回はビジネスユーザー以外も入場が可能。普段目にすることのないデジタルカメラ用のデバイスがを見ることができた。

 株式会社ニコンの完全子会社である光ガラス株式会社は、主に光学ガラスプレス部品などを手がける秋田県のメーカー。交換レンズで使われる非球面レンズを得意とし、溶解からモールド加工までなどを請け負う。ニコングループ入りは2004年。ニコン以外のメーカーからの受注もある。

非球面レンズのプレス品そのカット展示
加工するとこうなる実際に使われているレンズのカットモデルも展示

 会場では光学ガラスのプリフォームや、同社が加工したプレス品を出品。その後ニコンの加工による仕上げ済みのレンズもあわせて展示されており、レンズ製作の一端がうかがえる内容だった。AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8 G EDのカットモデルもあり、レンズについての興味がかき立てられる。

 近年レンズ製作においては、従来の硝材に加えて、モールドレンズ用の光学ガラスが幅を利かせている。比較的安価な製品にも非球面レンズが使われるようになり、性能が飛躍的に向上した背景のひとつに数えられる。モールドを得意とする同社も、そうした光学ガラスを15種類取り扱っているという。

 日東光器株式会社は、光学プリズム、ミラー、フィルターなどの加工専門企業で、工場は秋田県、静岡県など。中国広東省中山市にも工場を持つ。CP+2012では、プロジェクター用プリズムなどに加えて、一眼レフカメラ用のペンタダハプリズムを出品していた。

 展示品は、反射素材など蒸着する前の素の状態ものなど3種類。カメラファンにとってカタログなどでおなじみの部材だが、実際に見るとその美しさに息をのんでしまう。

 光ピックアップで使われるダイクロイックプリズムなどと異なり、ペンタダハプリズムはほとんど納入先にあわせた専用設計。また、カメラメーカーのうち大手は自社で生産することがあるため、同社の主力製品に比べると生産数は少ない。それでも、数多くの一眼レフカメラでの採用実績があるという。

日東工器のペンタダハプリズム

 セイコープレシジョン株式会社は、APS-C用やマイクロフォーサーズ用などのフォーカルプレーンシャッターを展示していた。シャッターといえば日本電産コパルが有名だが、セイコープレシジョンも服部時計店(現セイコーホールディングス株式会社)の頃を含めれば、1930年よりカメラ用シャッターの生産に関わっていることになる。

シャッターユニット。左が高速タイプ。右は上からマイクロフォーサーズ用、APS-Cサイズ用

 また、レンズ交換式カメラ用の交換レンズで使われる絞り機構も出品していた。いわゆる円形絞りの構造を紹介。実際の部品も見ることができた。

絞りユニットの例絞りユニットの分解展示

 コネクタメーカーのイリソ電子工業株式会社は、デジタルカメラの内部接続で用いられるコネクタ類を展示していた。バッテリーターミナル、FPCコネクタなど。

 近年、FPC/FFCコネクタは省スペースのための小型化が求められ、現在0.3mmピッチまで薄型になっている。同社ではさらに奥行きを2.9mmまで短くした製品を開発。作業効率を向上させるため、ロックカバーをなくしたタイプも用意しているという。

FPCコネクタの例バッテリーの接点

 また、デジタルカメラは直接手で触れる箇所が多く、もともと静電気対策が求められる製品。さらにタッチパネルの採用例が増えることで、よりESDプロテクティブデバイス(静電気対策)の需要性も増しているという。会場ではレンズ交換の接点部、メモリーカードなどの信号ラインなどへの採用を提案していた。

 製品化が待たれる新しい技術としては、テキサスインスツルメンツがワイヤレス充電製品「bqTESLA」のデモを行なっていた。WPC(Wireless Power Consortium)に準拠したもので、受信側はデジタルカメラ、スマートフォンなどの携帯機器を想定。送信側はオフィス家具、自動車のダッシュボード、喫茶店や駅構内などの施設を想定している。

 受信側デバイスを送信側でバイスに近づけると充電を開始するもので、現時点は5Wまでをサポート。WPC加盟社は他にも数多くあり、開発と普及を進めているところという。

送信側。コイルの上に受信側の機器を載せる。このサンプルでは機器の位置合わせのために磁石を内蔵していた受信側はiPhone用のボディジャケットに内蔵。iPhoneとの接続にはドックコネクタを利用している
充電しているところ。5Wと電力が少ないものの、サービス産業での普及がすすめば、休憩中などでのちょっとした充電が可能になりそう

(本誌:折本幸治)

2012/2/13 00:00