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アドビの生成AI新モデル「Adobe Firefly Image 2 Model」…人の肌や髪など高品質に

Lightroom、Premiere Proなどもアップデート

アドビは10月11日、画像生成AI「Adobe Firefly」の新モデルと、Adobe Creative Cloudに含まれる各アプリケーションのアップデートを発表した。

Adobe Fireflyの新しい画像生成AIモデルとして、「Adobe Firefly Image 2 Model」「Adobe Firefly Vector Model」「Adobe Firefly Design Model」の3モデルをリリース。これらの機能が、各アプリケーションのアップデートにも含まれている。

Adobe Fireflyの新モデル

Adobe Firefly Image 2 Model

初代「Adobe Firefly」をベースに、より柔軟なクリエイティブコントロールと高い画像品質を実現したという新モデル。Adobe Firefly Web版に実装されている。

従来よりも高品質な画像やイラストの生成が可能になったという。特に人物においては、肌、髪、目、手、身体の構造を改善してレンダリング品質を向上。そのほかカラー表現やダイナミックレンジも改善しているという。

初代モデルと同様に、Adobe Stockが収録する画像やオープンライセンス画像、パブリックドメインコンテンツで学習しており、商用利用にも安心なコンテンツを生成できるとしている。日本語を含む100言語以上をサポートする。

このほか、4つの新機能を搭載した。

「生成Match」機能は、任意の画像のスタイルを生成画像に適用させられるというもの。提示された画像リストから選択、もしくは自身で参照画像をアップロードすることで、それらのスタイルに沿った画像が生成できる。手作業で希望のスタイルを再現する手間を減らせるほか、一貫したスタイルでアセットを作成できる。

「写真設定」は、カメラの手動設定と同様の写真設定を適用、調整できる機能。肌の毛穴や植物の葉などのディテールをより忠実に再現できるほか、被写体ブレや被写界深度などの調整により、フォトリアルな画像を生成できるという。

「テキストプロンプト機能の向上」により、より多くのランドマークや文化的シンボルを認識できるようになった。また、プロンプトの改善点や言い換えの提案が受けられるようになったことで、生成のやりなおし回数を削減(現時点では英語のみ対応)。Adobe Firefly web版の「テキストから画像生成」では、キーワード、カラー、形状など特定の要素を指定して生成画像から除外する機能も追加した。

「Adobe Fireflyからライブラリに保存して共有」機能は、生成画像とそのプロンプトをAdobe Fireflyのリンクとして共有できるというもの。その画像がどのように生成されたのかを他のユーザーも確認できる。

Adobe Firefly Vector Model

アドビ独自のベクターグラフィックス用の生成AIモデル。Adobe Illustratorの新機能「テキストからベクター生成」(ベータ版)に実装されている。

アイコン、シーン、モチーフ、パターンなど、編集可能で拡大縮小自在なベクターアートをテキストプロンプトにより生成できるようになった。

特定のスタイルに沿ったコンテンツを生成できる「生成Match」や、、ベクターグラデーションを編集可能な状態で生成できる「グラデーション」などの新機能も搭載している。

Adobe Firefly Design Model

Adobe Expressの新機能「テキストからテンプレート生成」(ベータ版)に実装。印刷、SNS、web広告などといった、Adobe Expressで編集可能な一般的なアスペクト比のあらゆるテンプレートを生成する。

各アプリケーションのアップデート(一部)

Adobe Lightroom

デスクトップ版およびモバイル版に、AI技術(Adobe Sensei)を活用した「ぼかし(レンズ)」ツールが追加された。任意の部分にボケ効果を適用できる。このほか、HDR写真の編集と書き出しに対応した。

デスクトップ版のみの対応として、Lightroomクラウド上のファイルだけでなく、ローカルに保存された写真や動画の編集が可能になった。編集した画像はローカルに自動保存される。フォルダーやお気に入りの作成などデータの整理にも対応している。

モバイル版では、機能ツールバーにプリセット、切り抜き、編集、マスク、修復のパネルが追加。合理化されたツールバーにより、写真編集がさらに効率的になったという。

Adobe Premiere Pro

タイムラインのパフォーマンスが5倍高速化した。スムーズな編集とトリミングが可能になったという。

カラー設定の簡素化とトーンマッピングの強化により、複雑な調整なしで綺麗なカラーを表現できるようになった。

「共有」ボタンをクリックするだけでFrame.ioへのアクセスが可能となる。

リカバリモードを使用したプロジェクトの復元が可能になった。アプリが予期せず終了した場合に、それまで作業していたプロジェクトの回復や復元が容易になったとしている。

このほか、テキストベースの編集機能、オーディオの自動タグ付け機能の向上などが含まれている。

Adobe Premiere Pro(ベータ版)では、Facebook、YouTube、TikTokに直接動画を公開できるようになった。SNSの投稿で一般的に使用されているテンプレートを収録しており、動画編集から投稿までが素早く行えるようになったという。

Adobe Photoshop

Adobe Photoshop(Web版)が、GoogleのChromebook Plusデバイスに対応した。

本誌:宮本義朗