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広角端18mm相当になった1.0型コンパクト「VLOGCAM ZV-1 II」ハンズオンレポート

動画手ブレ補正や近接撮影を検証

VLOGCAM ZV-1 II(シューティンググリップキット)

ソニーが6月23日に発売するコンパクトカメラ「VLOGCAM ZV-1 II」のハンズオンレポートをお届けする。なお、5月27日からは全国5か所のソニーストアでも先行体験が可能(予約制)。

ホワイトボディも選べる

ソニーのVLOGCAMシリーズは、1.0型CMOSセンサーを搭載するコンパクトカメラである初代「ZV-1」が2020年6月に登場。いわゆるカメラ知識を求めないUIの採用など、Vlog撮影に特化したというシンプルなメッセージで人気を博し、EマウントAPS-C機の「ZV-E10」や35mmフルサイズの「ZV-E1」、1.0型センサーで単焦点レンズ搭載の「ZV-1F」もラインナップされた。

それに続いて登場した今回の新製品「ZV-1 II」は、1.0型CMOS搭載コンパクト(ZV-1)のアップデート版といえる内容。CMOSセンサーはZV-1と同じだが、コンパクトカメラのRX100シリーズにもなかった35mm判換算18-50mm相当の広角ズームレンズを新搭載しているのが最大の特徴で、Vlog用途には画角が狭くて物足りないと言われていた従来の35mm判換算24-70mm相当のレンズを置き換えた。

タッチ操作も可能なメニュー画面。
静止画RAW記録が可能なため、“広角ズームコンパクトカメラ”として写真撮影での活躍にも期待がかかる。
静止画撮影の例(広角端・JPEG・F1.8)

ほかにも、いまや古さを感じると言われるMicroUSB端子をUSB Type-C端子に刷新するなどのアップデートを盛り込んでいる。充電・給電はもちろん、UVC/UAC対応のためPCに接続してWebカメラとしても使える。シューティンググリップを装着したままバッテリー交換ができるよう、三脚ネジ穴もずらしている。

スタジオ内で撮影を試してみた

以下の動画で、ZV-1 IIのポイントとなる要素を紹介・試用してみた。

撮影を試していると、APS-Cやフルサイズに比べて小さな1.0型CMOSセンサーだが、広角端で被写体に寄ればボケ表現も狙える。スペック的には、レンズ前約5〜15cm(広角端〜望遠端)まで寄れるそうだ。明るすぎる場合は、3段分の内蔵NDが使える。

AFまわりも、動画でも動物AFに対応するなど、2020年のZV-1からは進化が見られる。特に「商品レビュー用設定」においては、AF設定変更の制約が減ったのもポイントだという。動画撮影中のAF乗り移り速度も変更できるようになった。

AF関連の設定。今回掲載している動画は、すべてこの初期状態で撮影

フルサイズ機のZV-E1に続いて搭載されたのが「シネマティックVlog設定」だ。撮影画面のタッチボタンでオン/オフでき、ワンタッチで“映画のワンシーンのような”と表現されそうな映像が撮影できる。アスペクト比が細長くなり、フレームレートも映画らしい24pになる。

動画の撮影画面。シネマティックVlog設定は「CineVlog」で呼び出す。主な機能は撮影画面にボタンが表示されており、直接タッチするだけ。

ソニー担当者によると、ZV-1 II発表後の反響では「光学式の手ブレ補正機構が非搭載」という点に不安の声があるという。ZV-1では光学式の手ブレ補正があり、さらに電子式のアクティブモードを適用できた。その点、ZV-1 IIは電子式のみに任せているため、効果が不十分なのでは、との不安視だ。結論を言うと、レンズが広角化しているため実用上は遜色ないとの見解だった。動画でも広角端の状態でオン/オフの違いを試している。

撮影画面を下からスワイプアップすると、ショートカットメニューが表示される
アクティブモードをオンにすると少し画角が狭まるが、自撮りの場合に腕を思いっきり伸ばさなくても、周囲の光景まで写しこみやすい。

動画を撮ろうとして最初につまづきやすいのが音声だ。本体上部の「インテリジェント3カプセルマイク」では、指向性を切り換えられる。オートの状態では、画面内に被写体があれば「前方」を収音し、被写体を認識しないと「全方位」になる。マニュアル操作であれば、「前方」か「後方」を選べる。

会場に用意されていたサンプル動画を見比べたところ、話者がカメラの前や後ろに移動した場合、ZV-1 IIではマイクの指向性が追従することで声の芯や明瞭さも変わらない印象。追従しないZV-1でも音声としては十分に聞き取れるが、より自然で高品位な仕上がりを得られそうだった。

VLOGCAM:VLOGCAM ZV-1 II 機能説明動画 インテリジェント3カプセルマイク【ソニー公式】

ZV-1 IIで動画撮影を始めようと思った場合、基本的にはオート任せで撮影できて、撮影者の慣れに応じて必要な部分をマニュアル操作していける懐の深さも持ち合わせていると感じた。繰り返しになるが35mm判換算18-50mm相当の広角ズームレンズと、待望のUSB Type-C端子の採用は魅力的。写真愛好家としてもメインの写真撮影用カメラに加えてZV-1 IIがあれば、便利に活用できるシーンは多そうだ。筆者自身、動画の知識も撮影頻度も少ないが、“VLOGCAM”という名前だけで見過ごしてしまうのは勿体ないカメラだと強く感じた。

またソニーとしては、2月にスタートした「Creator's Cloud」もあわせてアピールしている。撮影した動画ファイルの音声をAI処理で最適化できるアプリは、これも動画制作の心理的ハードルを低くしてくれる。

本誌:鈴木誠