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FUJIFILM X-S10詳報

小型ボディに“X-T4並み“の贅沢仕様

富士フイルムは、ミラーレスカメラ「FUJIFILM X-S10」を11月19日に発売する。ボディ単体の希望小売価格は税別12万円。同カメラが発表されたライブ配信「X Summit OMIYA 2020」の様子とともに、Xシリーズミラーレスの新たな“S”ラインについてお伝えしていきたい。

ミラーレスの新たな“S”に込められた意味とは

APS-Cセンサーを採用するXシリーズ全ラインアップの中でも中級機に位置づけているというX-S10は、小型軽量ボディに握りやすい大きなグリップ、わかりやすいモードダイヤル、さらには最大6段分の補正効果を持つボディ内手ブレ補正機構を搭載している。撮影面においても静止画、動画ともに上位機種のX-T4に迫る高性能を実現しているという。

X-S10は同社Xシリーズミラーレスカメラの新ライン“S”シリーズとして定義しているという。この“S”という文字には、「Small&Slim」(小型軽量)、「Secure」(握りやすいグリップ)、「Stabilization」(手ブレ補正を搭載)、「Simple」(シンプルな操作性)の4つの意味が込められている。

同社は、X-S10をユーザー拡大のための戦略モデルだと説明。Xシリーズに興味があるが、まだ体験をしたことがないという人に向けて訴求していきたいとしている。

IBISの小型化

Xシリーズで最初にボディ内手ブレ補正機構(以下IBIS)が搭載されたのはX-H1(2018年発売)。その後X-T4(2020年発売)に続いて、X-S10が3機種目のIBIS搭載モデルとなっている。

X-S10が搭載するIBISユニットのサイズは59×52×12mm、重量55gで、X-H1(70×69×16.5、92g)、X-T4(60×61×15mm、73g)のそれと比較しても大幅なダウンサイジングを実現している。これは各機種の構造や、培ってきた経験を採り入れながら、徐々に改良を重ねてきた結果だという。

左がX-T4、右がX-S10のIBIS

IBISの小型化実現に向けて、一つの部品に複数の機能を持たせる“シェアリング”という発想のもと設計を行ったという。IBISの部品と、カメラボディの部品を共有することで部品数を削減。またそれによってIBIS自体が小さな力で駆動できるようになるため、アクチュエーターなどのパーツの小型化にもつながっているのだと説明した。

広角から中望遠域ではXF16-55mmF2.8 R LM WRをのぞいて6段の補正効果

シンプルな操作性

操作部で特徴的なのが、モードダイヤルを採用している点。ボディ内手ブレ補正を搭載し、性能もX-T4に匹敵する中級機であるX-S10の一等地に、モードダイヤルを配置したのは新しい試みだったという。X-T4では露出補正ダイヤルを配置していた場所にリアコマンドダイヤルを、ISO感度ダイヤルを配置していた場所にファンクションダイヤルを配している。ファンクションダイヤルはデフォルトでフィルムシミュレーションを瞬時に切り替えられる設定がアサインされているという。

動画RECボタンは独立でシャッターボタンの脇に配置された。これまでのXシリーズでは、動画モードに切り替えなければ動画撮影ができなかったが、X-S10ではRECボタンを押すのみで瞬時に動画撮影が可能になるという。

X-S10はX-T4と同様の有効約2,610万画素のX-Trans CMOS 4センサーとX-Processor 4の組み合わせを採用。画質に関してはX-T4と全く同じであるという。ユーザーからの反響も多いというフィルムシミュレーションについても、同じく18種類の使用が可能。

フィルムシミュレーションには興味があったが、今までXシリーズとは縁がなかった人にも馴染んでもらえるように各設定の効果を説明する機能を搭載した。これにより、各フィルムシミュレーションのイメージをつかみやすくなり、実際にフィルムを入れ替えるかのように選択していく楽しみを味わってほしいと説明した。

「AUTO/SP(シーンポジション)」モードについては、場面に合わせて「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」から自動で状況にあわせたフィルムシミュレーションが選択される。また、従来機では対応していなかったRAWデータ記録や、AFエリアの選択も可能になっているという。

本誌:宮本義朗