ニュース

5月のデジタルカメラ市場は世界的に大きく落ち込み

中国のみ回復基調に CIPA5月の統計より

一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)が2020年5月のデジタルカメラ生産出荷実績(同工業会統計)を公開している。

5月の概況

公開された統計のうち、「デジタルカメラ生産出荷実績」によれば、5月のデジタルカメラの総出荷台数は、レンズ交換式とレンズ一体型を合わせて計36万9,730台(前月比67.1%)。同じく総出荷台数の金額では182億309万4,000円(4月比87.7%)を記録した。

出荷数量に関する月間の推移状況をみると、2020年1月の80万4,646台から継続して減少傾向を示しており、50万台を維持していた3、4月から一転し、約37万と大きく減少した。

5月は、政府による緊急事態宣言解除が延長されたことをうけて、ゴールデンウィーク明けに各社で一時帰休や部分休業が発表されるなどしていた。この感染拡大防止に向けた各社の動向がどこまで影響を与えているのか、また与えていないのかは不明ながら、少なからず部品調達に関して影響が及んでいたことは、各社製品の発売延期で報じられていたとおり。これら状況が少なからず、出荷数量に影響を与えていると考えることはできそうだ。

国内市場の状況

国内向けの出荷数量に目を移すと、総出荷台数は5万5,376台となっている。このうち、一眼レフカメラは5,686台で、4月の5,484台から微増しているものの、金額では2億2,536万2,000円と、同じく4月との比較で9,223万1,000円のマイナスとなっている。

ミラーレスカメラでは、1万4,118台だった4月から一転し、5月は8,405台に。前月比で59.5%に減少した。金額では7億3,491万4,000円を記録。こちらも4月から2億7,366万9,000円のマイナスとなっている。

またレンズ一体型でも同じく減少傾向となっており、数量は4万1,285台、金額では7億4,883万8,000円を記録した。4月比でみると台数は約72%、金額は約80%ほどの落ち込みとなっている。

国外市場の状況

国内向けは大きく落ち込みを示していたが、国外向けも同様の傾向を示している。まず台数をみると31万4,354台で、4月の47万4,238台から約66%減少。金額面でも164億9,398万円に。4月比(184億9,227万1,000円だった)では約89%の減少となっている。

内訳をみていくと、日本・中国以外のアジア地域とアメリカ、その他の地域で一眼レフ、ミラーレスが、台数・金額ともに減少。欧州地域では一眼レフカメラが台数ベースで前月比で5割を割りこむ一方で、ミラーレス機の台数では前月比約109%を示しており、金額面でも落ち込みは前月比約92%と緩やか。

ただ、アメリカでは一眼レフカメラの台数が1万8,802台(金額は9億5,838万円)で、台数の前月比は約39%、金額も約47%と、ともに5割以下に落ちこんでいる。ミラーレスカメラでも傾向は同様となっており、台数では1万521台(金額は6億3,569万7,000円)に。前月比でみると、台数・金額ともに約37%と、4割以下となっている。

各地域で厳しい状況がみられる一方で、中国ではミラーレスカメラの伸長が著しい。まず台数でみると、5万9,736台で前月比171%、金額でも53億6,433万4,000円で、こちらも前月比約170%を記録している。一眼レフカメラでは、台数・金額ともに減少(前月比)はしているものの、減り方は緩やかな傾向を示している(台数は約74%、金額は約93%)。

本誌:宮澤孝周