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国立科学博物館の「未来技術遺産」に、オリンパスOM-1などカメラ3機種が登録
2020年9月8日 18:44
独立行政法人国立科学博物館は9月8日、令和2年度の重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)として新たに16件を登録したと発表した。
「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」および「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学技術史資料」の保存と活用を図るために平成20年度から実施。合計301件の登録となった。
カメラ製品では、令和2年度に以下の3つが登録された。各機種の概要や選定理由は以下の通り(引用。登録番号順)。
トプコン REスーパー
「TTL開放測光露出計」を初めて内蔵した一眼レフ
・所有者(管理者):一般財団法人 日本カメラ財団 日本カメラ博物館
・製作者(社):東京光学機械株式会社(現:株式会社トプコン)
・初出年:1963年
選定理由
電気式露出計を組み込んだ一眼レフは1960年頃には存在したが、被写体像を直接観察できる一眼レフの特徴を活かすには、撮影レンズを通った被写体光を測るTTL(Through the Lens)測光が理想である。本機は、ミラーにスリットを設け、その裏に特殊な測光素子をおいたミラーメーターを開発しTTL測光を初めて実現した35mm一眼レフである。さらにレンズに絞り値情報をボディーに伝える機構を設け、開放測光を実現するなど先駆的な機能も搭載した。この方式は有力な特許となり追随したほとんどのカメラメーカーは許諾を得てこの特許を使用することとなった。同時期にシステムの一環として製品化された300mm/F2.8レンズやレトロフォーカス広角レンズ等も高く評価された。優れたシステム性と先進的な機能を独自の技術で実現したカメラとして重要である。
オリンパス OM-1(発売当初の名称は「M-1」)
一眼レフの小型・軽量化をリードした革新的設計のシステムカメラ
・所有者(管理者):オリンパス株式会社
・製作者(社):オリンパス光学工業株式会社(現:オリンパス株式会社)
・初出年:1972年
選定理由
ボディー単体で1972年当時の平均的な一眼レフカメラの2/3(体積比)という小型化を実現した一眼レフカメラ。小型軽量化による機動性を実現するために、大胆にパーツレイアウトを変更し、フィルム感度切替ダイアルを 従来のシャッターダイアルの位置に移し、比較的大型な測光用メーターをその下に備え、シャッター機構をミラーボックス底部に移すなど小型化を図った。また、ピントグラスの上に必須とされていたコンデンサーレンズをペンタプリズムと一体化し、ビス材質を真鍮から鉄に変更するなど軽量化も進めた。一眼レフの欠点の一つであったミラー駆動時のショックを軽 減するダンパーの装備なども含め、その後の一眼レフカメラの流れに大きな影響を与えた機種として重要である。
ミノルタα-7000
本格的オートフォーカス一眼レフの先駆者
・所有者(管理者):コニカミノルタウイズユー株式会社
・製作者(社):ミノルタ株式会社(現:コニカミノルタ株式会社)
・初出年:1985年
選定理由
1980年代前半、多様なレンズ交換ができるという一眼レフの特徴を維持したまま、自動焦点を実現する方式の開発において、既存レンズの存在が大きなネックとなっていた。カメラ本体に焦点検出機能を装備しても、フォーカスエイドと呼ばれる焦点ずれを表示する機能は持てるが、レンズとの機械的連動はできず、フォーカス駆動機構を組み込んだ限られたレンズでしか自動焦点機能は実現できなかった。本機はシステム全体を根本から見直し、焦点検出機能はボディーに設け、ボディーとの連動機構を組み込んだ新開発レンズ群を揃えて、自動焦点機能をほぼ完全に実現した。その後の35mm一眼レフカメラの流れを一気に変え、現在のデジタル一眼レフカメラシステムにもつながる革新的製品として重要である。
9月15日からパネル展示
そのほか2020年度の登録には、「薄型エアコン 霧ヶ峰 MS-22RJ」(薄さのインパクトでスペースを確保。三菱電機・1975年)、「ドンカマチック DA-20(国産初のリズムボックス市販機。現コルグ・1963年)、「MIDI 1.0 規格書」(電子楽器間の接続を統一し世界的普及をもたらした標準規格。ヤマハ、カワイ、コルグ、ローランド、シーケンシャル・サーキット・1983年)などがある。
国立科学博物館では9月15日から9月27日かけ、日本館1階の中央ホールでパネル展示を実施する。なお、入館には事前予約が必要。