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Xperia1 IIの深化した撮影性能に迫る
写真撮影に特化した製品説明会レポート
2020年5月1日 00:00
ソニーは、ZEISSレンズを採用したスマートフォン「Xperia1 II」のカメラ性能および、カメラアプリ「Photography Pro」の詳細内容について、オンラインで説明会を開催した。説明会では、カメラ概要のほかに、AFの精度など、撮影性能について踏み込んだ紹介があった。発売を間近に控えた同スマートフォンのカメラ性能について、お伝えしていきたい。
スペックをおさらい
Xperia1 IIは、Xperiaシリーズのフラグシップとして位置づけられているスマートフォンだ。画面比率21:9のディスプレイの搭載や、5G対応など、意欲的なスペックが採り入れられている。
そのカメラ性能にフォーカスしてポイントを整理すると、大きく分けて2つの魅力が浮かび上がってくる。1つ目は、ZEISSレンズの採用だ。メインカメラである24mm F1.7(12MP)のみだが、これまで同社デジタルカメラや交換レンズに見られた「ZEISS T*」のマークが、スマートフォンにも登場した。
2つ目のトピックは、24mm F1.7の広角カメラに1/1.7型センサーを採用したことだ(前機種Xperia 1では1/2.6型だった)。センサーのアスペクト比は4:3。また、超広角カメラと広角カメラはデュアルPDセンサーとし、Xperia 1比で約1.5倍の高感度撮影が可能になったという。
そのほかのカメラは、16mm F2.2(12MP)、70mm F2.4(12MP)を搭載。これに3D iToFセンサーを加えたトリプルレンズカメラ構成となっている。
前機種Xperia 1もトリプルカメラ構成であることは同じだが、焦点距離が異なっていた。16mm(F2.4、約12MP)、26mm(F1.6、約12MP)、52mm(F2.4、約12MP)で、望遠側の焦点距離が、Xperia 1 IIでは長くなった。
この焦点距離の構成とした理由は、標準ズームレンズで多く採用されている24-70mmの汎用性に基づくものだという。この焦点距離をカバーしていれば、超広角16mm相当のカメラとあわせて、通常の撮影範囲に対応できるため、とのことだった。
また、各カメラの画素数はいずれも12MPとなっているが、これはどのカメラで撮影しても同じ感覚で画像を扱えるように意識して揃えていったのだという。
イメージングプロダクトの一員に位置づけ
撮影性能をかなり高めた製品となったXperia 1 IIだが、アプリ「Photography Pro」との併用により、AF/AE追従で20コマ/秒の連写や人物や動物に対応したリアルタイム瞳AFが利用できるなど、既存の同社一眼カメラαシリーズやレンズ一体型RXシリーズにならぶ撮影性能を獲得している。このこととあわせて、これらの製品ファミリーに属することとなった。
Photography Proの撮影機能とは
発表会では、Xperia 1 IIの撮影性能を引き出すカメラアプリ「Photography Pro」の詳細が語られた。撮影における各機能や撮影能力について、AFデモ動画を交えつつ紹介していきたい。
まずアプリの内容構成からみていこう。操作画面は一般的なカメラの操作系にかなり寄ったUIが採用されている。
撮影モードはオートのほか、プログラムAE、シャッター速度優先AE、マニュアル露出を搭載。このほか、フォーカスモードもシングルのほか、コンティニュアス、マニュアルフォーカスなどから選択できる。顔・瞳認識AFも利用可能だ。
このほか、RAW撮影にも今後のファームウェアアップデートで対応していく予定だという。ファイル形式はDNG形式が採用される見通しとのことだった。
シャッターは、独立操作式を採用。物理ボタンとして、カメラキーを用意しており、半押しでのAEロック、長押しでのカメラ一発起動など、物理ボタンの使い勝手にフォーカスした作りとなっている。なお、Photography Proはタッチシャッターには対応せず、このカメラキーのみがシャッターボタンとして機能するとのことだ。
レンズの切り替えは、リング操作のイメージ。RX100シリーズのような感覚で、任意の焦点距離で切り替えて使用できる。操作時の動画イメージを提供してもらうことができた。以下、操作感の確認に役立ててもらいたい。
また、上記画面の通り、露出補正の範囲は±2段まで。補正段数を超える場合はマニュアル露出モードで対応してもらいたいとのコメントがあった。
AF性能
Xperia 1 IIは、最高約20コマ/秒のAF・AE追従による連写撮影に対応している。秒間あたりの演算は最大60回で行うとしており、複雑な動きをしていたり、スピードに緩急のある被写体を追うような場面での補足性能を発揮するという。
また、この演算は、通常時は30回、カメラキー半押し時に60回になるなど、省電力動作にも配慮がなされているとのことだ。
このほか、ミラーレスαの一部機種などで搭載されている人物および動物のリアルタイム瞳AFにも対応している。また瞳AFは標準・望遠・超広角いずれのカメラにも対応している(超広角レンズはソフトウェアアップデートにて対応予定)という。
次の動画も、説明会で提示のあった動物を例にした場合の瞳AFの動作イメージだ。
AFは、像面位相差に対応。測距点の数は247点で、約70%のエリアカバー率となった。
被写体検出にAI技術を活用
Xperia 1 IIでは、主要な被写体を捉える認識技術にAI技術を活用。被写体が中央にない場合でも高い補足性能と最適な露出制御が得られるという。さらに3D iToFセンサーおよび画像処理エンジンBIONZ X for mobileにより、低照度環境でのAF合焦性能も高められているとのことだ。
次の動画は、Photography Proによる主要被写体認識のイメージだ。被写体の形状が検出されており、AF枠が表示されていることがわかる。
好きを極めたい人々に
製品のキーコンセプトは、前モデルから引き続き「好きを極めたい人々に想像を超えたエクスペリエンスを」を踏襲。向上したカメラ性能や動画撮影性能、ディスプレイ品質で幅広い趣味層に対して訴求している。
また、ディスプレイは写真印刷用の色彩確認も可能(D50 / D55を選択)。写真の撮影から印刷シミュレーションまで、一貫して対応できる強みを手に入れている。
また、通信帯は5GおよびWi-Fi6環境に対応。高速な通信が可能となったことで、撮影後の写真のシェアなども快適になるという。
以上、静止画撮影に特化した内容でお伝えしてきたが、Xperia 1 IIは、撮影から出力・共有まで、通信端末としての利点をいかしつつ、全方位で機能が強化された、まさにフラッグシップらしい機種となっているといえそうだ。