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映像制作の現場を1台で完結させる

LUMIX S1H発表会レポート 新レンズ投入の予告も

パナソニック株式会社は8月29日、35mm判フルサイズミラーレスカメラS1シリーズに動画撮影に特化したモデルの「LUMIX S1H」(DC-S1H)を追加。S PROレンズの「LUMIX S PRO 24-70 mm F2.8」とともに都内で発表会を開催した。

基本的な撮影性能は既報のとおりだが、同社が本カメラに何を託したのか、発表会の模様とともにお伝えしていきたい。

シネマクオリティの動画撮影性能を凝縮

発表会ではパナソニック株式会社 アプライアンス社 スマートライフネットワーク事業部 イメージングビジネスユニット 総括 津村敏行氏が登壇。製品の開発コンセプトとともに、LUMIX S1Hの特徴が説明された。

LUMIX S1Hを手にする津村敏行氏(パナソニック株式会社 アプライアンス社 スマートライフネットワーク事業部 イメージングビジネスユニット 総括)

津村氏は、まず本機のコンセプトを「シネマミラーレス」と説明。従来のシネマカメラでは難しかったシーンでの活用や撮影・表現の幅が拡大することを期待しているとコメントした。

LUMIX S1Hの最も特徴的なポイントは、35mmフルサイズセンサーを搭載するミラーレスカメラとして初めて6K/24pや5.9K/30pの動画記録に対応した点と、これら動画撮影を時間制限なしで撮影できるようになったことなどが、まず挙げられる。

これについて津村氏は、新たに採用したボディの放熱構造について説明。防塵防滴に対応しながらも排熱構造を確保したと続けた。

記録画像の品質については、デュアルネイティブISOの搭載や、14+ストップのはばひろいダイナミックレンジ、V-Gamutの色域への対応などが、LUMIX S1Hならではのポイントだと説明した。

デュアルネイティブISOテクノロジーとはイメージセンサー上に「低ISO感度回路」と「低ノイズ・高ISO感度回路」の2系統の専用回路を搭載し、これを切り換えて使用することで、高感度時でもノイズを抑えた、自然で美しい絵作りを可能にする、というもの。LUMIX S1Hではこのイメージセンサーに最適化したローパスフィルターを搭載している。

デュアルネイティブISOは切り替え式。自動切替と低感度、高感度でそれぞれ任意に設定できる

同社のデジタルシネマカメラ「VARICAM」シリーズと同水準となる14+ストップのダイナミックレンジへの対応や、同じくVARICAMシリーズやAU-EVA1などと連携できる画づくりとして「VARICAM LOOK」を採用するなど色再現の統一を確保しており、複数機での運用や異なる機種での映像制作においても一貫した画づくりでカラーグレーディング作業が行える点を強調した。

また静止画の撮影も可能となっている点については、動画制作現場におけるロケハンにも対応できるようにとの配慮だと説明。動画制作からロケハン時などの静止画撮影まで、1台でカバーできるメリットを提示した。これにより、予算の限られた映像制作の現場でも活用できる内容に仕上げているという。

動画記録については、続けてイメージセンサー全域を使った記録が可能となっている点をとりあげて、様々な制作ニーズに応えることができると説明。スロー/クイック表現が可能なバリアブルフレームレート記録や、スローモーション動画を可能とするハイフレームレート記録モードなどへの対応も、表現の幅をひろげてくれるものだと紹介した。

表現の幅という点では、このほか独特な味をアーティスティックに活用できるアナモフィックレンズとのスムースな連携なども動画特化で強化されたポイントだと説明した。

詳細な発表はなかったものの、津村氏はATOMOS社との連携したプロジェクトが進行中だと説明。現在、HDMI経由でのRAW動画撮影ができるように開発を進めていると発表した。正式発表は後日と動画撮影性能のさらなる強化に向けて意気込みをみせた。

また、S1およびS1Rとの製品ポジションの違いについては、スチル用途で動画への拡がりを考慮した機種としてS1/S1Rが、動画をメインとしておりロケハンでスチルを使うといったニーズにS1Hが、それぞれのニーズに応えてくれるものとして位置づけていると説明した。

壇上では、LUMIX S1Hを核にモニターやマイクなどの各機器が接続・セットアップされた機体での撮影デモの実演もあった。

レンズロードマップが更新

発表会では、Lマウントシステム用の交換レンズ「LUMIX S PRO 24-70 mm F2.8」(S-E2470)も発表された。あわせて最新のレンズロードマップも公開され、2020年の展開予定レンズとして、100mm F2.8マクロと85mm F1.8の2本が予定されていることが明らかになった。

LUMIX S PRO 24-70 mm F2.8は“Certified by LEICA”の認証を受けた“S PRO”ラインに属するレンズのうちの1本。描写性能はもとより、高いコントラストや美しいボケ味を追求したレンズだという。

同じく「S PRO」ラインのレンズとして発売済みの「LUMIX S PRO 50mm F1.4」(S-X50)同様、ダブルフォーカス方式やフォーカスクラッチ機構を採用し、ズーム全域での描写性能の確保と操作性に配慮された点が特徴となっている。

また、動画撮影でも高いパフォーマンスを発揮するとしており、ブリージング(動画撮影中のフォーカシングでピント位置の移動に伴い画角が変化してしまうこと)を抑制する設計となっているという。

毎秒480回のAF制御や、コントラスト検出方式のAF動作に最適化もしているという。防塵・防滴、マイナス10℃の耐低温設計による対応シーンの幅広さも特徴だ。

広角端
テレ端。ズーミングで全長が変わるタイプだ

会場ではレンズ設計者に本レンズの特徴や、S PROとSラインの設計思想の違いについて聞くことができた。

説明員によると、まず、本レンズの特徴はピント面の解像性能や高品位な動画撮影が可能な点にあるという。また、非球面レンズや特殊レンズの採用とともに絞り付近に球面レンズを多めに配したことで収差バランスをとっているが、このバランスをとることに苦労があったという。

S PROとSラインの設計思想の違いについては、S PROラインが、描写性能に徹底してこだわっているのに対して、Sラインでは、写真家へのヒアリングなどとともに、遊び心のあるラインアップになるようにしているのだという。現状では、S PROラインに属する50mm F1.4も今回の24-70mm F2.8も、ともに金属鏡筒を採用しているが、これはS PROラインのレンズだから、というわけではないとのこと。剛性や重量などをみながら使い分けているとのことだった。

また、本発表会ではLマウントレンズの拡大についてもコメントがあった。パナソニック、ライカ、シグマ3社の対応レンズは、予定されているものも含めてLマウントレンズは46本が揃うという。

各部詳細を実機で確認

LUMIX S1Hでは、背面液晶モニター裏側に放熱ファンや排熱機構が搭載された。また、背面モニターがバリアングルタイプになった点が、S1・S1Rとの外観上の大きな違いとなっている。

写真はLUMIX S1RとLUMIX S1Hを比較したもの。左がS1R、右がS1Hだ。

背面モニターは、屋外の明るい環境でも制作をサポートできるようにと輝度が向上。また、ケーブルをつけたたまでも、干渉しない構造となっている。

天面に配されたステータスモニターも大型化。撮影状況に関する情報量が増えており、詳細に動作・設定状況が確認できるようになっている。

カードスロットは、SDカードのデュアル構成となった。記録スピードはどちらのスロットも同じで、信頼性や効率的なデータ管理に配慮したとのことだ。

タリーランプの搭載も動画機ならではのポイント。前面と背面にそれぞれ配置されており、点灯方法も細かく設定できる。

RECボタンも2箇所に設置。前面と天面に配されており、マイクやモニターなどを接続した状態で天面へのアクセスがしづらい場面でも前面ボタンでストレスなく撮影できるようになっている。

内部構造を見ると、最背面に冷却ファンが配されており、メイン基板はヒートシンクに挟まれた構造となっていることがわかる。

冷却ファンの動作は、細かく調整が可能。温度に応じて自動で動作を切り替える「オート1」のほか、オート動作ながら静音性を重視した「オート2」、標準速度でファンが動作する「標準」、低速回転モードの「低速」が選べる。

HDMIケーブルはTypeA端子に対応。また、USB Type-C端子によりPD充電と給電に対応する。

本誌:宮澤孝周