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EOS 5Dシリーズの違いを見てみよう

待望のMark IVがいよいよ登場 人気シリーズの特徴を俯瞰してみる

EOS 5D Mark IV
EOS 5Ds
EOS 5Ds R
EOS 5D Mark III

イメージセンサーごとに、35mmフルサイズ(およびAPS-Hサイズ) = プロ・業務用途向け、APS-Cサイズ = 一般アマチュア向けという住み分けが定着していた一眼レフ市場に、手が届く35mmフルサイズ機としてキヤノンEOS 5Dが誕生したのが2005年9月のこと。連写スペックよりも軽快であること、フィルム時代から慣れ親しんだ画角の感覚そのままで撮れることを重視するユーザー層(非スポーツ系のプロやハイアマチュアが多かった)から絶大な支持を受けた。

現在、EOS 5Dシリーズは、3代目となるEOS 5D Mark III、そのバリエーションモデルとして登場したEOS 5Dsおよびローパスフィルターを無効化したEOS 5Ds Rに、シリーズ最新モデルとなるEOS 5D Mark IVが加わった4機種のラインナップとなる。今回は、現行EOS 5Dシリーズの違いを見ていこう。

EOS 5D Mark IV

シリーズ最新モデルとなるEOS 5D Mark IVは2016年9月8日に発売予定。ローパスフィルターありの仕様のみで、実売価格は税込46万7,000円前後となっている。

撮像センサーには新開発の有効3,040万画素デュアルピクセルCMOSを、映像エンジンはDIGIC 6+を搭載。常用最高感度をEOS 5D Mark IIIのISO25600からISO32000に高めている。数字としてはわずか1/3段の違いだが、画素数が増えていることを考えれば文句はない。マルチアスペクト機能は備えているが、クロップ撮影機能は省略されている。

画像処理関連では、EOSシリーズで初めて撮影時にデジタルレンズオプティマイザが適用可能となったことと、レンズ光学補正に歪曲収差が加わって撮影時に歪曲収差の補正が可能になったことも挙げておきたい。

ファインダーの光学的スペックはMark IIIなどと同じ。クロス41点を含む61点測距の位相差AFも同じだが、測距点のカバーエリアが上下方向に広げられているなど、しっかりとパワーアップしている。

また、15万画素RGB+IR測光センサーと連携することで、距離情報や色情報、人物の顔情報をもとに被写体を追尾するEOS iTR AFを実現。測距エリア選択ボタンの新設という操作系の進化も見られる。

連写スピードの高速化も見逃せない。Mark IVでは、ミラー振動制御システムをさらに発展させてメカショックの低減をはかり、画質を犠牲にすることなく、約7コマ/秒連写を達成。スポーツ系の撮影にも対応できる速さを身につけている。

デジタルシネマ規格の4K動画(4,096×2,160ピクセル、30p)をカメラ単体で撮影できるのも大きな進化。フルHD解像度でのHDR動画や、HD解像度のハイフレームレート動画(119.9fps)も可能としている。

液晶モニターもサイズは3.2型で変わりはないが、解像度を162万ドットに向上。新しくタッチパネルも内蔵したほか、新画質モードとして、DPRAWの追加、GPSおよびNFC対応のWi-Fi機能の内蔵など、機能の強化もはかられている。それでいて、重さはボディ単体で800g(バッテリーとメディア込みでは890g)と、シリーズ最軽量を実現しているのも素晴らしい。

EOS 5Ds/5Ds R

EOS 5Dシリーズのバリエーションとして登場した多画素機で、ローパスフィルターあり仕様のEOS 5Dsと、ローパスフィルターを無効化して解像感を高めたEOS 5Ds Rがある。

実勢価格は、5Dsが税込43万4,000円前後、5Ds Rが税込45万3,000円前後となっている(いずれもボディ単体)。

有効画素数はフルサイズ機では最多となる有効5,060万画素。映像エンジンにはデュアルDIGIC 6を搭載したものの、画素数が多いだけにさすがに低感度化は避けられず、最高感度は拡張ISO12800止まりとなっている。

画素数の多さを活かした1.3倍クロップ(約3,050万画素)、1.6倍クロップ(約1,960万画素)撮影機能を備えている。また、4:3、16:9、1:1比率での撮影が可能なマルチアスペクト仕様も盛り込まれた。

ファインダーや位相差AFのスペックは5D Mark IIIを踏襲。連写最高速はやや下がって約5コマ/秒となった。

一方、ミラー周りのメカは5D Mark IIIから大幅に変更。ミラー駆動機構に新開発のモーターとカムギアによる速度制御を取り入れ、ミラー駆動に起因する振動を大幅に低減。有効5,060万画素CMOSセンサーが生み出す描写性能を損なわない配慮がなされているのも見どころとなっている。

画づくり機能のピクチャースタイルに、新しい「ディテール重視」が追加されたほか、シャープネスのパラメーターに「細かさ」「しきい値」が追加され(従来は「強さ」だけだった)、より繊細な設定が可能になった。

測光が15万画素RGB+IR測光センサーによる252分割評価測光に進化したこと、フリッカーレス撮影が可能になったこともMark IIIにはなかった特徴だ。

EOS 5D Mark III

EOS 5D Mark IIIは2012年3月発売で、今回取り上げる4機種の中では当然もっとも古い。実勢価格は税込32万7,000円前後となっている。

画素数は有効2,230万画素、画像処理を受け持つ映像エンジンはDIGIC 5+。感度は常用ISO100からISO25600、拡張ISO50からISO102400。相当な大判プリントを前提にするのでなければ十分な画素数だし、一般的な用途では不満を感じない高感度性能ではあるが、ニコンのD810やペンタックスK-1、そして新しいEOS 5D Mark IVと比べると少々物足りなさもある。

ファインダーの視野率は100%。倍率は0.71倍で、このスペックはEOS 5DsやEOS 5Ds R、Mark IVも同じだ。ただし、フォーカシングスクリーンが固定式になったのは、初代やMark IIより後退した部分で、ここは残念なところだ。

ファインダー撮影時の位相差AFは、41点のクロスセンサーを採用した61点測距。基本的にはこのスペックが以降の機種にも継承されるが、F8でAF撮影が可能なのは中央1点のみとなる(その上下左右の4点を加えた5点での領域拡大AFも可能だ)。なお、測距可能な輝度範囲の下限はマイナス2EVだ。

連写スピードは約6コマ/秒で、5Ds/5Ds RとMark IVの中間。メインミラーとサブミラーにバウンド防止機構を内蔵するなどの工夫が盛り込まれており、動きの速い被写体をメインにするのでなければ、あまり不満を感じないスペックと言える。

まとめ

ひとつ言えるのは、EOS 5Dシリーズは代を重ねるごとに着実に進化し、さまざまなジャンルの撮影に対応できるようになってきていること。

画素数はさておき、9点測距(+アシスト6点)AFに約3コマ/秒というエントリークラス並みのスペックだった初代から考えれば、61点測距に7コマ/秒連写が可能なMark IVのスペックはまさに雲泥の差。そのうえ、ファインダー撮影時と比べてもストレスを感じないライブビューのAFの速さに加えて、4K動画、タッチパネル、GPS、Wi-Fiまで内蔵という進化が、この11年のあいだに起きているのだ。なかなかに感慨深い。

とは言え、Mark IIで下がった実勢価格がMark IIIで初代並みにもどって、5Ds、5Ds Rではは50万円、Mark IVも40万円を超えてしまったのはつらいところ(為替相場の影響も大きいのだろうけれど)。スペックアップの内容が価格の上昇ぶりに見合っていないとは思わないが、気持ちとしては、もうちょっとなぁ感は否めない。

そう考えると、今のうちにMark IIIを手に入れておくのは悪くない。なにしろ、Mark IVとの価格差でEF 70-200mm F4 L IS USMやEF 16-35mm F4 L IS USMあたりがねらえるのだ。画素数はそれほど必要なくて、35mmフルサイズならではのボケや階調性がほしいなら、在庫が残っているうちにMark IIIを買うという選択肢は魅力的だ。

解像感や繊細な表現力がほしいのであれば5Ds Rを推したい。ローパスフィルターを必要とする人もいるので異論はもちろん認めるが、有効5,060万画素というとんがったスペックを求めるのに描写を丸くするローパスフィルターはいらないと思うのだ。

汎用性の高さで選べばMark IVがいちばんだ。カメラ内デジタルレンズオプティマイザやDPRAWなどの新技術が盛り込まれたことで静止画用カメラとしてのパワーが増しただけでなく、デュアルピクセルCMOS AFが使えるハイエンドの4K動画マシンとしての魅力も加わった。予算のハードルを越えるのはしんどそうだが、狙う価値のあるカメラに仕上がっているのは間違いない。

製品名EOS 5D Mark IVEOS 5Ds/5Ds REOS 5D Mark III
撮像素子サイズ35mmフルサイズ
有効画素数約3,040万約5,060万約2,230万
ローパスフィルター○(EOS 5Ds Rは無効化しているため×)
ミラー振動制御機構×
フリッカーレス×
常用ISO感度ISO32000ISO6400ISO25600
拡張ISO感度ISO102400ISO12800ISO102400
ファインダー視野率100%
ファインダー倍率約0.71倍
像面AF方式デュアルピクセルCMOS AFコントラストAFコントラストAF
連写性能最高約7コマ/秒最高5コマ/秒最高6コマ/秒
動画4K/30pフルHD/30pフルHD/30p
記録媒体CF/SDCF/SDCF/SD
液晶モニター3.2型約162万ドット3.2型約104万ドット3.2型約104万ドット
タッチパネル××
Wi-Fi××
幅(mm)約150.7約152.0約152
高さ(mm)約116.4約116.4約116.4
奥行き(mm)約75.9約76.4約76.4
質量(g)約890約930約950

※感度は拡張設定を含む
※質量はバッテリー、メモリーカード含む

9月1日11時40分追記:仕様比較表の質量に誤記があったため修正しました。