オリンパスZUIKOレンズ 写真家インタビュー

キレ味鋭い描写力と強力な手ぶれ補正…野鳥写真家・菅原貴徳さん

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

冬の港はカモメ類がにぎやか。隅々まで解像度が高く、クリアに描写する本レンズは、冬の澄んだ空気と相性が良い。防塵・防滴、耐低温設計で厳しい寒さや雪も怖くない。
OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + Teleconverter MC-14 / 420mm(840mm相当) / 絞り優先AE(F8、1/1,250秒、-1.3EV) / ISO 250 / WB:晴天

オリンパスZUIKOレンズを使う写真家に、作品表現でのポイントや使い勝手をお聞きする本企画。

今回は野鳥撮影の専門家、菅原貴徳さんに、野鳥撮影の面白さや機材についての考え方などを聞きました。同時に、「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」で撮影された作品もご本人の解説付きで掲載しています。

菅原貴徳
1990年、東京都生まれ。幼い頃から生き物に興味を持ち、11歳で野鳥観察をはじめる。東京海洋大学、ノルウェー留学で海洋学を、名古屋大学大学院で海鳥の生態を学んだ後、写真家に。最新刊『図解でわかる野鳥撮影入門』(玄光社)。日本自然科学写真協会会員。オリンパスカレッジ講師。

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

写真にのめり込むようになったきっかけは?

写真を撮ることよりもまず、野鳥の魅力にどっぷりはまりました。季節や場所を変え、鳥たちとの出会いを楽しむうち、その時々に感じる感動を伝える手段として、写真を撮るようになりました。

もちろん、いまは写真も仕事ですので、自分が思う通りに撮れた時の喜びは大きいですが、その1枚に至るまでのプロセスも含めて、野鳥を追い求める一連を楽しんでいます。

現在の主な写真活動は?

作家活動としては、国内外問わず、会いたい鳥を追い求めて旅をすることを続けています。そのほかに、野鳥撮影講座の講師も務めています。

最近では野鳥撮影は一種のブームと言える状況にあると思いますが、適切なアプローチをお伝えすることで、野鳥への負担が少ない撮影が広まればと思って活動しています。

そのようなメッセージを伝えたい時には、私の写真を通して野鳥に興味を持ってくださった方の方が伝わりやすいとも思うので、どちらも大事な両輪と思っています。

野鳥撮影の魅力を教えてください

まずは生き物としての野鳥が魅力に溢れていること。姿形の多様さ。行動の面白さ。そして、彼らが暮らす自然環境の豊かさや変化。毎日フィールドに出ていても毎日違う経験ができます。行動をじっくり観察し、いざ撮影に入り、完結した時の喜び。もちろん相手は野生なので思い通りにいかないこともありますが、それでもフィールドで過ごす時間は格別です。

リンゴの産地として有名な津軽平野には多くのフクロウが暮らす。隠れ上手な鳥を見つけ出すには探索を妨げないコンパクトな超望遠レンズが活躍する。
OM-D E-M1 MarkIII/ M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS / 400mm(800mm相当) / 絞り優先AE(F6.3、1/40秒、-0.7EV) / ISO 640 / WB:晴天

四季それぞれで撮りやすいと思われる日本の野鳥を教えてください

日本は世界的に見ても、野鳥の種類のバリエーションが豊富な地域の一つです。

夏は子育てのために鮮やかな小鳥たちが渡って来ます。オオルリやキビタキなどの歌声を聴きながら、まだ芽吹いたばかりの森で美しい姿を収めることができれば、もれなく絵になります。子育ての時期はとても些細なことでも鳥が怯えてしまうので、時間をかけずに撮るようにします。

冬は、私が暮らす関東の平野部でも、タカやカモの仲間など、鳥の数も種類ももっとも増える季節。同じ場所に長期間滞在するものも多いので、背景や時間帯を変えながらじっくりと撮影できるいい季節です。

デジタルカメラにおいて野鳥撮影で重要な性能を3つあげてください

ひとつは、連写やAFが優れ、撮り逃しがないこと。鳥に負担をかけないという意味でも、一回のチャンスを確実に捉えられることは重要です。

次に、望遠システムの充実度。鳥は警戒心もあるので、なるべく長いレンズを選べることが大事です。

最後に、画質とキレの良さ。細部まで綺麗に写ると、家に帰ってからも、写真から観察できることが多くあります。例えば羽の模様を細かく見たり、食べているものがわかったり。野鳥観察の楽しみを広げてくれます。

弘前城でほぼ通年見られるオシドリ。ピントの合った部分の シャープさと、柔らかい雰囲気の描写を両立した本レンズを選 択して、秋色に反射する一角を通過する瞬間を狙った。
OM-D E-M1 Mark III/ M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS /400mm(800mm相当) / 絞り優先AE(F6.3、1/125秒、-1.0EV) / ISO 1250 / WB:晴天

オリンパスOM-Dシステムで気に入っているところは?

基本的に、フィールドではできる限りたくさんの鳥たちと出会いたい! と思っていますので、探索を妨げない軽快さが気に入っています。OM-Dシステムの場合、多くの場面を三脚いらずでこなせますね。そのため、小さなカバンと双眼鏡、そして「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」をつけたカメラだけで森を歩くこともしばしば。フィールドワークでの機材重量からの解放は、現場での集中力や成果に直結するので、かなり助けられていると思います。

秋が深まると、人の暮らしのそばにもコハクチョウを見かけるようになる。背景は北海道新幹線。白い被写体のエッジ部分にもにじみは見られず高画質だ。
OM-D E-M1 Mark II/ M.ZUIKO DIGITAL ED 300mmF4.0 IS PRO /300mm(600mm相当) / 絞り優先AE(F4、1/2,000秒、-0.3EV) / ISO 400 / WB:晴天

「OM-D E-M1 Mark III」になって良くなったと感じる点は?

一番が手ぶれ補正性能の向上。そもそもOM-D E-M1 Mark IIの手ぶれ補正も衝撃的な効き具合でしたが、それ以上に進化して安定感が向上しました。合わせて手持ちハイレゾショットも気に入っていて、野鳥相手だと使う機会は限られるものの、ここぞというシーンでは積極的に使っています。

ヤドリギに群れるキレンジャク。手ぶれ補正性能を頼りにして飛び立つ瞬間まで待って撮影した。テレコンバーター使用でもシャープさに変化はない。
OM-D E-M1 Mark II/M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + Teleconverter MC-14 / 420mm(840mm相当) / 絞り優先AE(F5.6、1/1,600秒、 -0.3EV) / ISO 400 / WB:晴天

「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」の特徴・使い所など教えてください。

キレ味するどい描写は、同クラスのレンズ中でもトップクラスと思います。特に近接時はその実力を明確に感じます。手ぶれ補正性能もずば抜けていて、葉の間から限られたアングルを探るようなシーンで重宝します。小型で取り回しもよいので、飛ぶ鳥を追う時も鳥の動きに合わせやすいと感じています。

最近では「M.ZUKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」も使用しています。200〜800mm相当をカバーする上、シャープさと柔らかいボケ味を両立した描写が気に入っています。

告知がありましたらぜひ!

今秋に展示が2つあります。

ひとつは、オリンパスギャラリー東京での『「BIRDER×OLYMPUS写真展「WILD BIRD 2020」』。同じく野鳥写真家の先輩方、中野耕志氏、中村利和氏、水中伸浩氏との4人展で、期間は11月20日〜11月25日。出展する自分も楽しみにしています。
https://fotopus.com/showroom/index/detail/c/3009

もう一つは、千葉県の谷津干潟自然観察センター特別展示コーナーで行う『菅原貴徳 旅に出たくなる野鳥写真展』。これまでの作品に新作を加え展示します。
https://www.seibu-la.co.jp/yatsuhigata/news/20065.html

デジタルカメラマガジン最新号に菅原貴徳さんが登場!

デジタルカメラマガジン2020年11月号の連載「日本列島ZUIKOLENSの旅」に、菅原貴徳さんの記事が掲載されています。

47人の写真家が47の都道府県を巡るというこの連載で、菅原さんは青森県の野鳥を撮影いただきました。「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」についてのインプレッションやテクニックも紹介しています。

協力:オリンパス株式会社

デジカメ Watch編集部