フォトコン生活のすすめ

第1回 フォトコンテストの魅力とは

写真を趣味とする人なら「フォトコンテスト」に応募しようかどうか迷っている方も多いでしょう。自分の写真をSNSなどで大勢の人に見てもらうことが可能になった今でも、数多くの応募作品から有識者による審査を経て作品が認められるという、フォトコンテストならではの存在価値が大きく変わることはありません。

フォトコンテストについて解説いただいた岡嶋和幸さん

この連載では、写真集「風と土」やムック「プリントすると写真が上手くなる」(共に弊社インプレス刊)などで知られる写真家・岡嶋和幸さんに、フォトコンテストへの取り組み方などをまとめてもらうことにしました。岡嶋さんはフォトコンテストの審査も数多く担当されおり、「デジタルカメラマガジン」の月例フォトコンテストの審査担当者でもあります。

自分の写真に向き合い作品価値を高めるためにも、いまこそフォトコンテストに挑戦してみてはいかがでしょうか。(編集部)


写真整理から「フォトコンテスト」へ

外出を控えているいま、写真活動も停滞してしまいがちです。でも、撮影だけが写真ではありません。撮影以外の部分のレベルアップに絶好の機会ととらえるといいでしょう。

セレクト、画像処理、プリントなど自宅で取り組めるものはいろいろあります。

それらを総合的に実践できるのがフォトコンテストです。

まだ挑戦したことのない人に向けて、準備から応募までのポイントなどを紹介したいと思います。

◇   ◇   ◇

これまで撮影に費やしていた時間を、すでに写真の整理などに充てている人は少なくないでしょう。いろいろな課題が見えてくるなど、過去に撮影したものを見返すことは写真のレベルアップに有効です。

でも、ただ整理するだけでは面白味に欠けるなど集中力が途切れがちで、志半ばで挫折することもありますが、そこに

「フォトコンテストに応募する」

という目的があれば少しは違ってくるはずです。募集テーマが設けられている場合もあるので、それを意識しながら写真を見返すと効果的です。特にテーマがない場合も、例えば過去の入賞作品を参考にすることで、マンネリになりがちな写真の選び方から脱却できるかもしれません。

そのためまずは応募するフォトコンテストを決めましょう。

フォトコンテストに応募するには

フォトコンテストは応募締切日が設定されているので、そこから逆算してセレクトや構成、画像処理、プリントなどの作業をどのように進めるのか計画を立てます。同時期に複数のフォトコンテストに挑戦する場合には、特にそのあたりの計画性が重要です。

同じ写真を同時に複数のフォトコンテストに応募するのは規定違反となるため注意しましょう。そのようなミスをしないためにも、応募作品の管理をきちんと行う必要があります。落選した作品をほかのフォトコンテストに応募するのは基本的に問題ありませんが、その履歴を記録しておくことも大切です。

応募の資格や規定などはフォトコンテストによって異なります。

応募できる作品の数、組写真の場合は構成枚数に制限があったり、応募形態もプリントまたは画像データだったりします。参加費が必要となるケースもあるため、応募要項に記載されている内容を隅々まできちんと読んでおきましょう。締切間際になって情報が混乱しないよう、特に同時期に複数のフォトコンテストに応募する場合には、規定などを表にまとめて整理しておくと便利です。

フォトコンテストは賞品より賞金、できるだけ高額のものと考えるのはみんな同じです。つまりそのぶん競争率が高くなります。ハイレベルのフォトコンテストに入賞してライバルに差を付けたいなど、そのほうが挑戦のしがいがあるという人もいます。

また、審査員を意識するのもいいでしょう。その人に選ばれたい、認められたいという思いで応募するのもいいと思います。入賞作品展が予定されているフォトコンテストも魅力的です。

いまから準備を始めても十分に間に合うフォトコンテストをピックアップしてみました。応募規定などをきちんと調べて、どのフォトコンテストに応募するのか目標設定をしましょう。

おすすめフォトコンテスト

全日本写真展2020

主な賞品:ニコンZ 6 24-70レンズキット
応募形態:プリント・画像データ
締切日:2020年6月15日
主催:全日本写真連盟、朝日新聞社
https://www.photo-asahi.com/contest/4/723/entry/

全日本鉄道写真コンテスト2020

昨年度最優秀賞作品「時空の彼方」

主な賞品:賞金10万円
応募形態:プリント
締切日:2020年6月19日
主催:全日本写真連盟、朝日新聞社
※応募料として2,500円が必要(高校生以下は無料)
https://www.photo-asahi.com/contest/162/716/entry/

第8回 笑顔をあきらめない。写真コンテスト

主な賞品:賞金5万円
応募形態:画像データ
締切日:2020年6月22日
主催:公益社団法人 日本理学療法士協会
http://www.japanpt.or.jp/general/activity/photocon/08/

フォトシティさがみはら2020

主な賞品:賞金20万円
応募形態:プリント
締切日:2020年6月26日
主催:相模原市総合写真祭フォトシティさがみはら実行委員会
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/boshu/etc/1019899.html

ZOOMS JAPAN 2021

主な賞品:パリツアー
応募形態:画像データ
締切日:2020年6月30日
主催:CP+実行委員会
http://www.cpplus.jp/zoomsjapan/summary/

交通総合文化展 2020

交通総合文化展2019 写真部門―新日本観光写真―国土交通大臣賞「川面に映える」(撮影:臼井寛)

主な賞品:賞金20万円
応募形態:プリント
締切日:2020年7月15日
主催:公益財団法人 日本交通文化協会
http://jptca.org/exhibition/application/

JAPAN PHOTO 2020 春夏フォトコンテスト

JAPAN PHPTO 2019春夏 風景・絶景部門 グランプリ「夢見心地」(撮影:小林厚幸)

主な賞品:賞金30万円
応募形態:プリント
締切日:2020年7月15日
主催:カメラのキタムラ
https://www.kitamura.jp/contest/info/2020/SpringSummer/

Life with Coffeeフォトコンテスト2020

主な賞品:賞金20万円
応募形態:プリント・画像データ
締切日:2020年7月27日
主催:一般社団法人 全日本コーヒー協会
https://www.life-with-coffee.com

第四回 なら PHOTO CONTEST

主な賞品:賞金5万円
応募形態:プリント
締切日:2020年7月31日(高校生の部、小中学生の部は9月30日)
主催:入江泰吉記念写真賞実行委員会
http://photocontest.irietaikichi.jp/contest2_2020.html

第25回 市原市観光写真コンクール

第24回受賞作品(応募要項より)

主な賞品:賞金5万円
応募形態:プリント
締切日:2020年7月31日
主催:一般社団法人 市原市観光協会
http://www.ichihara-kankou.or.jp/publics/index/233/
※現在の市原市を撮影する必要ははなく、過去の作品で応募可能。

第18回 NEXCO西日本フォトコンテスト

第17回 NEXCO西日本フォトコンテスト 最優秀賞「E1 野洲川を渡る」(撮影:福田尚人)

主な賞品:旅行券10万円
応募形態:プリント・画像データ
締切日:2020年7月31日
主催:NEXCO西日本
https://www.w-nexco.co.jp/drive_porter/photo_contest/

行きたい!住みたい!長崎魅力百景フォトコンテスト

主な賞品:賞金10万円
応募形態:画像データ
締切日:2020年7月31日
主催:長崎県都市計画協議会
https://www.pref.nagasaki.jp/object/shikaku-shiken-bosyu/boshu/407968.html

日本写真映像用品工業会 WEBフォトコンテスト2020

主な賞品:賞金20万円
応募形態:画像データ
締切日:2020年7月31日
主催:日本写真映像用品工業会
https://www.jpiaa.jp/event/photocon2020/

第54回 キヤノンフォトコンテスト

主な賞品:賞金50万円
応募形態:プリント
締切日:2020年8月31日
主催:キヤノンマーケティングジャパン
https://cweb.canon.jp/photocontest/

「フォトコンテスト」で自分の写真活動を見直してみよう

現在募集中のフォトコンテストは、このほかにもたくさんあります。今後も続々と募集開始するものが出てくるのでこまめに情報収集をしたいものです。その中から自分の作品に合ったものを見つけるなど継続的に応募してみてください。

カメラ・写真専門誌の月例フォトコンテストに挑戦して年度賞を狙うのもいいでしょう。「エントリーフィー」と呼ばれる参加費が必要となりますが、「Tokyo International Foto Awards」などの国際的なフォトコンテストもインターネットで気軽に応募できます。

写真を整理していると撮影に出かけたくなるかもしれませんが、いまは自分のこれまでの活動の真価を問う時期と位置付け、フォトコンテストに積極的に応募してみるといいでしょう。次回は応募作品のセレクト方法などを紹介したいと思います。

岡嶋和幸

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「ディングル」(SBクリエイティブ)、「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)などがある。