岡嶋和幸の「あとで買う」

384点目:日本の女性写真家の位置付けに再考を促す

長島有里枝『「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムが沢山あります。この連載では、撮影や写真関連のアイテムを中心にその中身をお届けします。購入前の製品については使った感想や評価はありませんが、どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

長島有里枝『「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ』

本日発売のデジタルカメラマガジンのプリント関連記事で、写真家の長島有里枝さんにいろいろお話しを伺いました。295点目の浅田政志さんのときにも紹介しましたが、今回の取材前のお勉強として選んだのがこの本です。販売価格は3,630円です。

木村伊兵衛写真賞を蜷川実花さん、ヒロミックスさんと3人で同時受賞されたときには大きな話題となりました。当時は私も驚いたのですが、女性の写真家について自覚していなかったことなどが冷静に綴られていて刺激的な内容です。私の師匠も女性写真家であるため理解しているつもりだったのですが、十分ではないと知りショックを受けました。読み進めるほどに反省の連続です。

長島さんは本書で、今年の日本写真協会賞の学芸賞を受賞されました。1990年代の若い女性写真家に注目した論評に対峙し、作品を「第三波フェミニズム」の観点で捉え直したことなどが受賞理由です。おめでとうございます。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。