クルマとカメラ、車中泊

風景・星景撮影にもおすすめしたい「ビデオ三脚」

今回の1枚
今年も梅雨に入ってしまいましたね。蒸し暑くなってきたけど近所を散策すると紫陽花が鮮やかに目に映ります。ということで千葉県名所案内を1つ。谷を埋め尽くすように咲く紫陽花。背丈ほどもある大きな株のすぐそばを散策できます。写真は2024年7月3日に撮影したもの。ちょっと見頃を過ぎた状態です。今年はどんなでしょうね。写真を撮りやすい場所なのでぜひカメラをもって作品撮影の旅を。
肝心の場所ですが、「野見金公園」。市原鶴舞ICが最寄りですが、公園近くは細い峠道なので運転には注意。駐車場から数分歩くと見晴らしのいい展望台があるんですが、カフェもあってのんびり過ごせます。紫陽花と入れ替わりでひまわりも咲きますよ

いまさらながらですが、本連載のテーマはプロ・アマカメラマンのためのカーライフであります。というわけで今日は三脚のお話をしたいと思います。

プロが使う三脚って、ジッツオとかハスキーってイメージかな。僕も15年ほど前まではジッツオとハスキーを長年愛用してました。でもねえ、歳を重ねると共に辛くなるんですよ、重い三脚が。そう思っていた15年ほど前からカーボンの三脚が出回り始めたので、これだ〜と思って買い換え始めました。

木曽御嶽山を撮影中。手ブレ補正が優秀な昨今だけど、風景を撮影するときは三脚を使った方が正確にフレーミングできるので、良い結果を生みますね

用途ごとに三脚は適切なものを買うので、いまや増えに増えて三脚の林ができるほどです(笑)。正直何本持ってるのかわかりません。その中で1番新しく、1番愛用しているのがLeofoto Mr.Oシリーズ LO-324C(三脚)とVH-30R 2way雲台の組み合わせです。

え? ジッツオとハスキー? 全部あげちゃいましたよ、後輩とアシスタントに。若者は重い三脚で体を鍛えなければなりません。カメラマンは身体が資本であります。

さてLO-324CとVH-30Rの組み合わせはビデオ・動画三脚となるわけですが、まず三脚であるLO-324Cで特徴的なのは三脚架台の部分。脚と雲台を繋ぐベースの部分ですね。スリ割構造になっていて、レバー1本を緩めるだけで水平出しと、エレベーターも動くようになるので、高さの調節ができます。こうしたレベリング機構付き三脚の場合、ほとんどがエレベーターはつかないので、高さの微調節が悩みでした。この三脚なら条件が悪い場所でも手早く水平出しとアングル決めができるってわけです。

脚をいっぱいに伸ばしたところ。少し屈んでカメラを覗く感じなので、中型三脚といった部類
手前の銀色のレバーを緩めると、その奥のボールが動き素早く水平出しが可能

そして雲台のほう、VH30Rはメーカー分類では一脚用雲台となっています。ですが、この雲台、ビデオ雲台として優秀なんです。

基本は水平軸と高度軸の2Wayです。ビデオ用の雲台はスムーズな動きと適度な粘りというか重さのある動きが求められますが、フルードタイプと言ってオイルやグリスの抵抗を利用するものか、ギア式といって、本体内に減速ギアを組み込みギア回転時の抵抗でスムーズな動きを得るものの2つに大別されてるんですが、このVH30R、ちょっと面白いのです。

水平回転はフルード式ですが、面白いのは高度軸の方です。レバーが2本ついてますが、片側がボールベアリングを組み込んだ与圧機構になっています。レバーを締め込むとボールベアリングも一緒に締め込まれるんだけどそうするとスムーズに動きつつ抵抗が生まれるんですね。これによって軽い機材から重い機材までスムーズに動かすことができるんです。動画を撮らんよ〜と言う方でも、望遠レンズを使うならおすすめなんですよ。

目盛が刻まれた方のレバーはロック機構。完全に止める時はこちらを締め込む
反対側、+ーの刻印があるレバーは与圧機構

で、2way雲台だと縦位置とれないじゃん!と思うでしょ。前の写真を見直してみてください。レバーの上にもう1つパノラマヘッドがついてるでしょ。ここを回転させると縦位置も撮れちゃうんです。

こういうふうに縦位置を撮る雲台、大昔のスリックの雲台にもありましたね。覚えてらっしゃる方いるかな。半世紀近く前だけど。う〜ん、高校生だったなあ。愛用してました。

縦位置撮影はパノラマヘッドを回転させる。素早く縦位置転換が可能

そもそもカメラの取り付けはアルカスイスプレートなので、L型プレートを使う方法もあります。僕はZ8専用LPN-Z8を使っています。こっちも簡単に縦位置になります。

L型プレートは機種専用。多くのメーカー対応品があるほか汎用モデルも用意されている

以上、LO-324CとVH-30Rの組み合わせは動画にも静止画にも最適な組み合わせなんです。星景や風景を撮る時も素早い水平出しとスムーズな雲台は一発で気持ちよくフレーミングが決まります。斜め構図もレベリング機構を使えばOK。

1度カメラを外して短辺方向に取り付け直すだけで同ポジションの縦位置になる

さて、細部の写真を載せてみるけど、精度や質感が良いことがわかると思います。中国製というとまだまだ眉を顰める人も多いのかなあって印象ですが、EVやドローン、電子機器など世界をリードしている分野があることも事実。確かに10数年前の中国製品は高品質といえないものが多かったと思います。

けれど、このLeofoto三脚の加工精度や仕上げの良さを見ていると、日本も安穏とはしていられないと思ってしまうのであります。中国製品から学ばなければいけないことが既に多くなっているんじゃないかと思う次第です。

石突は3/8インチステンレスネジ。Oリングが組み込まれて、脚に水が侵入しにくい
与圧機構のベアリング。シンプルな構造でスムーズな動き
オプションを取り付けるネジ穴。頻繁に脱着する箇所はステンレスインサート
スリ割とボールの加工精度もよく、傾きもエレベーターも綺麗に止まる

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。ニコンカレッジで、星景写真講座を担当。星空に興味ある方は「こちら」へ