デジカメ Watch
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アイファイジャパン「Eye-Fi Share」

~無線LAN搭載のSDメモリーカード

左がSDメモリーカードのEye-Fi。付属のUSBリーダー(右)は、一般的なSDHC/SDメモリーカードが使用できた
 既報の通り、12月にEye-Fi Shareが国内で発売された。先行して流通している米国では、そのユニークな機能がWebページなどで盛んに紹介されている。日本での発売が待ち遠しかった読者もいるはずだ。

 改めてEye-Fiについて簡単に紹介すると、SDメモリーカードに無線LAN機能を組み込んだ製品。容量は2GB。無線LANはIEEE 802.11b/gに準拠する。直販サイトでの価格は9,980円。

 日本で購入できるのは「Eye-Fi Share」と呼ばれるタイプで、PCおよびWebへのアップロードに対応する。ほかにも米国では、PCへの転送だけが可能な「Eye-Fi Home」や、ジオタグに対応したEye-Fi Explore」が販売されている。

 主な使い道は、1)記録した画像をパソコンにコピー、または、2)写真共有サイトなどにアップロードの2通り。これらをワイヤレスで行なってくれるわけで、要するに、SDメモリーカードスロットを備えたデジタルカメラに無線LAN機能を付与できる。

 転送を開始・中止するためのボタン類はなく、カメラからの電源供給がある限り、Eye-Fiは常に無線LANを探し続ける。接続先を見つけると、自動的に転送を開始する。大変シンプルな使い勝手だ。ちなみに、1)と2)を同時に行なうことも可能。


初回特典のパッケージ 右側の説明書をつまんで引っ張ると、左側の製品も同時に現れる


さらに説明書を開いたところ

通常のSDメモリーカード(右)との比較 書き込みロックスイッチ以外、目立った違いは見られない

 いずれにしても、あらかじめカードリーダーなどでパソコンにマウントさせ、接続と保存に関する設定を行なわなければならない。といっても難しいものではなく、作業はすべてWebブラウザから行なう。最初にアカウントを作成した後は、パソコン内のコピー先フォルダや、アップロード先のログイン情報などを入力。PCに保存する場合は、日付別のサブフォルダを自動に生成するかを設定できるし、フォルダの命名規則も指定できる。

 あとはEye-Fiを挿した状態でデジタルカメラの電源を入れると、おもむろに転送が始まる。転送中なのか転送が終了したのかは、Eye-Fi Managerで確認可能。転送済みの画像はEye-Fi内に残り、転送後はカメラでEye-Fiをフォーマットしても問題ない。


Eye-Fiの設定画面。すべてブラウザから設定できる PCへの転送設定。サブフォルダの命名規則も指定できる

対応オンライン写真サービスの一覧。サービスによっては公開範囲を指定できる アップロードにあわせてメールで通知する機能もある

送信した写真をブラウザで確認する機能もある。転送中/転送終了も確認できる

RAWの送信には非対応

 ただしヘビーなデジタルカメラユーザーは、以下の点に気をつけたい。

 まず、送信可能な静止画がJPEGのみであり、RAWは送信できない(カード内への記録は行なえる)。RAW+JPEGで撮影した場合、JPEGだけが転送される。

 次に転送時間。例えばGX200のJPEG・FINEで撮影した画像(約3.5~5MB)を転送する時間は、1コマあたり6~10秒程度。また、2GBフルに記録された状態で、Eye-Fi内の計462コマを転送してみたところ、終了までに2時間強かかった(いずれも転送先は初代MacBook Air SSDモデル)。ただし、メールチェック、Webブラウズ、チャットなどを行ないながらの転送であり、途中で何度か転送が切れたのでつなぎ直した。接続環境によっては、もっと早く終わっていると思われる。

 とはいえ、たくさんの画像を送信する場合は、転送終了までそれなりに時間がかかることを覚悟したい。カメラ側は基本的に、オートパワーオフ設定を無効にした方がよいだろう。その場合は転送終了後に、手動でカメラの電源をオフにすることになる。なお、上記の462コマの場合、撮影後の状態にも関わらず、転送終了までGX200の電池が持った。ただし警告表示によると、残量は残りわずかとなっていた。

 すべての画像が転送されてしまうところにも注意。パソコンのローカルフォルダに転送するだけなら問題ないが、写真共有サイトにアップロードする場合は、Eye-Fiが接続する前に、公開したくない画像を削除しておく必要がある。ただし、サービスによっては公開範囲の指定が可能だ。

 また、カメラの電源に連動して通信が始まるので、無線通信が禁じられている場所での使用は不可能だ。パソコンがないと、転送が終了したのかわからない仕様も不安になる。


書き込み速度テスト

 参考までに、弊誌で連載している「記録メディア転送速度テスト」に準じた方法で、書き込み速度をチェックしてみた。

 もともと無線LAN搭載による利便性やデジタル写真用途の広がりを訴求した製品で、大容量データの高速書き込みを謳う製品ではない。そのためEye-Fi Shareにとって、かなり酷なテストであることをご承知いただきたい。

・D90での連写速度をチェック

  • D90を使用し、カメラ内のバッファをすべて開放した状態で、RAWデータ(ファイルサイズ約8MB)とJPEGデータ(ファイルサイズ約300KB)の同時記録で連写。レリーズ回数を調べた。途中でバッファがフルになってもシャッターボタンを押し続けている。また、パワーバッテリーグリップなどのオプションは使用していない。
  • Exifに記録された撮影時間をもとに、撮影開始から30秒間のレリーズ回数をチェックしている。
  • Exifには0秒以下の記録がないため、1秒間の誤差を考えて5回計測し、その平均枚数を小数点第1位まで掲載した。
  • フォーカスはマニュアル。レンズマウントにはボディキャップを装着。
  • 露出はマニュアルモードで、シャッタースピードは1/2,000秒に固定。
レリーズ回数(RAW+JPEG)
製品名容量発売元区分スピードクラスレリーズ回数
SDSDX3-008G-J31
(Extreme III 30MB/s Edition)
8GBサンディスクSDHCClass654.4
SDSDRX3-8192-903
(Extreme III)
8GBサンディスクSDHCClass647.8
SDHC8GB-133-850
(プロフェッショナル)
8GBレキサーメディアSDHCClass646.8
SDSDX3-002G-J21
(Extreme III)
2GBサンディスクSDClass646.6
RP-SDV02GL1A2GBパナソニックSDClass641.2
RP-SDV08GL1K8GBパナソニックSDHCClass636.6
Eye-Fi Share8GBアイファイジャパンSD17.0


・USBカードリーダーでの転送速度
  • 使用したUSBカードリーダーは、バッファローの「BSCRA38U2」。Turbo USBはON。
  • 「HDBENCH Ver.3.30」のDISK計測で5回ずつ計測し、ReadとWriteの各転送量(KB/秒)の平均を記載した。
  • テスト環境は、Windows XP Professional SP3、Core 2 Quad@2.66GHz、メモリ4GB、SATA500GBのデスクトップPC。
転送速度(KB/秒)
製品名容量発売元区分スピードクラスReadWrite
SDHC8GB-133-850
(プロフェッショナル)
8GBレキサーメディアSDHCClass622377.617074.0
SDSDRX3-8192-903
(Extreme III)
8GBサンディスクSDHCClass622361.016762.6
SDSDX3-008G-J31
(Extreme III 30MB/s Edition)
8GBサンディスクSDHCClass622346.513959.6
SDSDX3-002G-J21
(Extreme III)
2GBサンディスクSDClass622299.815605.0
RP-SDV02GL1A2GBパナソニックSDClass622164.613180.0
RP-SDV08GL1K8GBパナソニックSDHCClass621885.411531.4
Eye-Fi Share8GBアイファイジャパンSD14932.03505.4


D90で「Eye-Fi専用メニュー」が出現

 もっともいくつかの欠点は、カメラ側でのEye-Fi対応が進むにつれて、解消するかもしれない。

 すでにニコンD90の場合、各種のオートパワーオフ設定に関係なく、Eye-Fiでの送信中は電源がオフにならないという。また、セットアップメニューに通常では表示されない「Eye-Fi送信機能」という設定項目が現れ、電源をオンにしてもEye-Fiが無線通信を行わないように設定できる。

 また、カシオが米国で1月7日発表した新製品「EXILIM ZOOM EX-Z400」などでは、液晶モニターにEye-Fiの作動中を表すアイコンが表示されるという。今後、こうしたカメラ側の対応が進むことを期待したい。


D90にEye-Fiを装着すると、セットアップメニューに「Eye-Fi送信機能」が出現 「無効」にするとEye-Fiが送信を行なわなくなる

 値段の割には容量が2GBと少なく、書き込み速度も遅め。さらにRAWを送信できないなど、デジタル一眼レフカメラのヘビーユーザーには記録メディアとして物足りないかもしれないが、日々持ち歩くスナップ用カメラに仕込んでおき、ブログ作成やオンライン写真サービスへのアップロードツールとして活用するとしっくりくる。

 装着したすべてのデジカメ(ただしSDメモリーカードスロット搭載機のみ)を無線LAN内蔵カメラにしてしまうEye-Fiには、まだ多くの可能性が眠っていると思う。あくまでもシンプルさを持ち味にしたまま、カメラメーカーやオンラインサービスを巻き込みつつ、進化してほしい。



URL
  アイファイジャパン
  http://www.eyefi.co.jp/

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( 本誌:折本幸治 )
2009/01/15 13:19
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