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スリック「グッドマンデジタルSL」

クラシックなイメージながら実用的なデジタル一眼レフ用小型三脚

 一眼レフカメラ用の三脚はずいぶんカーボン化が進んできているような気がするが、「三脚に3万円以上」というのは高く感じるもの。デジタル一眼レフのボディーのみが6万円程度で入手できるようになってくると、三脚ももっと安いもので軽くて使いやすいものがあればと思う。

 従来からのアルミ素材の三脚で、一眼レフで使ってもタワミが少なく、軽いものとなると、実はあまり選択肢はない。1kg台の安い三脚はパイプが細くてたわむか、雲台や本体(パイプが3本合わさっている部分)がプラスチック製で心許ない、という製品が多いからだ。

 2kg台となると結構持ち運びに勢いが必要となることがある。そう考えれば、1kg台でデジタル一眼レフ対応のアルミ三脚は貴重である。

 先日スリックが発売した「グッドマンデジタル」(24,150円)は、重さ1.5kgで一眼レフ対応という。外観はクラシックな雰囲気が漂うデザインだ。クラシックさを感じる1つの原因は、同社の50周年記念で復刻したという王冠型のマーク。1970年代から2000年頃まで使われていたというが、クラシックな雰囲気と高級感が両立しているいいデザインだと思う。


雲台前面中央にある金色の王冠マーク。実は昔、スリックで使っていたマークを50周年記念として復活させ、わずかに現代風にアレンジしたという 1.5kgという軽さで一眼レフ対応というのは魅力だが、全高130cmはやや背が低い。ちょっとだけかかんで使うとちょうどいい感じだ。

 クラシックさを感じるもう1つの原因が丸みを帯びたデザインの雲台だ。スリック独特の「フリーターン雲台」を搭載している。フリーターン雲台は、パンハンドル付きの雲台だが、一般的な3ウェイ式雲台が、上下、左右、縦横の傾きの3方向をそれぞれハンドルやツマミで個別に調整するのに対し、1つのハンドルで全方向をコントロールできる。

 「ツマミ1カ所の調整で全方向自由自在」というと、自由雲台と同じだが、自由雲台がボールを固定することで全方向をコントロールするのに対し、フリーターン雲台は、2軸を1つのハンドルで固定することで、その動きを実現している。


左がグリーンシャンク110の雲台。右がグッドマンデジタル。クイックシューの形状が大きく異なる
 また、自由雲台は、雲台の固定を外すときにカメラを持って動かさなければならないのに対し、フリーターン雲台は、ハンドルがカメラおよびレンズの向きと連動しているため、超望遠レンズなどでも、向きを変えやすいのだ。そのため、スポーツ写真家用の「スリックマスターIII」やバードウォッチング用の「グリーンシャンク110」にも同じ形式の雲台が使われている。

 グッドマンデジタルのフリーターン雲台と、従来から売られている「グリーンシャンク110」のフリーターン雲台を比べてみた。

 グリーンシャンク110は、1980年代初頭にデザインされたものだが、もともとの機構は1967年発売の「グッドマンエース」という三脚と同じという。ほぼ40年前に設計されたものだが「カメラアダプター」という独自のクイックシュー方式を採用採用しているのが特徴。

 カメラアダプターをカメラ底にネジ込み、雲台側部のレバーで、カメラ底を雲台に押しつけるという構造。だが、雲台上で回転させるしくみをこのアダプターで兼用させているので、フレーミング時の動きが大きいという欠点がある。グリーンシャンク110の雲台の外観は、実用本位の四角く素っ気ないデザインだが、グッドマンデジタルでは、丸みを帯びたデザインに改良されている。


パンハンドルを緩めることで、上下軸と左右軸を締める部品が一度に緩む。締め付け構造部分が横から確認できる 雲台のカメラ台下側にある雲台レバーを緩めると、カメラ大部分が回転する。フリーターンの特長である全方向自在の動きを実現するには、このレバーを緩める

雲台レバーを緩めて、右手でカメラを支えながら左手でパンハンドルを動かす。3ウェイ雲台と全く異なる動作だ パンハンドルとカメラの位置関係を変えると、縦位置にできる。カメラを左側にして縦位置にすることも可能だ

三脚がわずかに傾いているが、傾いている方向にパンハンドルを向けると、水平を出すことができる カメラ台に2軸の水準器が装備されている。傾きを確認するのに便利だ

 グッドマンデジタルは、最近のプロ用三脚のほとんどが装備している「開脚機構」は搭載されていない。その代わりか、エレベーターの下部に独自の工夫である「コピーヘッド」がついている。エレベーター下部の雲台取り付けネジにつけられているL字型の金具で、カメラを真下に向けて取り付けるものだが、カメラを取り付ける向きを変えれば、縦位置ならローアングル撮影も可能だろう。

 ローアングル対応三脚は、エレベーターがギヤなしの単なる棒だけで、高さ調整はパイプそのものを引き上げて調整するものが多い。分割してローアングル対応をする必要があるからだ。

 ところが、グッドマンデジタルは開脚機構がないので、ギア式エレベーターを採用している。三脚使用時の高さ調整の他、複写や接写時に、被写体と微妙な距離調整を行うときに大変便利だ。


エレベーターはギア部分までアルミ製。1kg台の安い三脚では、ギア部分をプラスチック化しているものが多いのでこの点はプロ仕様に近い エレベーター下部に装備されているコピーヘッド。複写に便利なように考えられた独自の工夫だ。使わないときは取り外すこともできる

マクロレンズをMF、最短撮影距離の状態に調整して、エレベーターで被写体との距離を調整することで、ピント合わせが可能になる
本体下部にあるパイプを回すと、エレベーターを動かす固さを調整できる。コピーヘッドを使うときは、エレベーターの動きを固めに調整すると微調整が楽になる

真俯瞰撮影で寒空の下に咲くタンポポを撮影。カメラを真下にセットし、最大の倍率で撮影するのが楽にできる
使用カメラ:EOS 20D / 使用レンズ:トキナーAT-X M100Pro D 100mm F2.8 /  シャッター速度:1/125秒 / 絞り値:F8 / WB:オート / 露出補正値:1EV / 感度:ISO100

 グッドマンデジタルは4段式。畳んで48cmと持ち運びに便利な長さである。グリーンシャンク110と縮めた状態で比較すると、3段と4段の差がよくわかる。4段は脚の継ぎ目が多く、伸縮が面倒という弱点もあるが、レバーロック式のため気にならないだろう。ワンタッチで伸縮できるうえ、見た目で固定しているかどうかわかるというところがメリットだ。


グッドマンデジタルは4段式のため、ロックレバーが3つ並んでいる。片手で1度に緩められるサイズだ 3段式のグリーンシャンク110と、4段式のグッドマンデジタルは畳んだ長さで10cmくらい違う。持ち運びを考えると大きな差だ

 今回レポートしたSL(シルバーモデル)は1000本限定生産だという。クラシックな雰囲気が魅力だ。BK(ブラックモデル)は、限定モデルではないとのこと。全高はやや低めだが、持ち運びに便利で独自の接写、複写システムが魅力のグッドマンデジタル。一眼レフユーザーで、フットワークよく三脚をを使って撮りたいという人は一考の価値ありだ。



URL
  スリック
  http://www.slik.co.jp/
  製品情報
  http://www.slik.com/digital/4906752101377.html

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スリック、創立50周年記念三脚「グッドマン・デジタル」(2006/11/07)
スリック・タイ工場見学記(2006/11/07)


( 本誌:武石 修 )
2006/12/26 03:00
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