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ケンコー「レッドエンハンサーNo.2」

紅梅や桜をより印象的にするフィルターワーク

左のフィルターが「レッドエンハンサーNo.1」右が「No.2」だ。No.1はフィルターガラスの色が緑色に見える
 春は梅、桜と花を撮る機会が多くなるシーズン。

 でも、梅も桜も、見た目よりも白っぽく写真上で表現されることが多い被写体だ。これは、人間の記憶色と実際の色の差、という説明がされることが多いが、思い通りの印象的な色彩を表現するために、デジタルカメラではPC上で調整することが可能だ。でも、PCでの調整は「誰でも簡単に、確実に同じ結果が出せる」わけではない。

 フィルムカメラでの梅や桜の撮影で、このようなケースで使われていたのが「レッドエンハンサー」というフィルターで赤みを強調する手法。フィルターなら、カメラの設定を同じにすれば、誰でも同じ結果が出せる可能性が高い。そこで、今回はフィルターワークによって紅梅の色をより印象的にする撮影にチャレンジしてみた。

 だが、レッドエンハンサーフィルターは、カラーリバーサルフィルムの色調に合わせて設計されているという問題がある。レッドエンハンサーフィルターには強弱があり、「No.05」、「No.1」、「No.2」の3種類があるが、弱効果のNo.05と中効果のNo.1は、目で覗いてみると緑色に見えるのだ。赤い色のものを見ると、確かに赤が強調されているのはわかるが、これでは写真が緑がかってしまうのでは? という不安もある。ケンコーによると、カラーリバーサルフィルムではこの緑色は再現されず、赤色強調のみの効果となるが、デジタルでは画面に緑色が出てしまう、とのこと。そのためデジタルではNo.2による赤色強調がいいとのことだ。

 以前取り上げた「CCフィルター」は、画面全体に特定の色をつけてしまうので、梅や桜用に「マゼンタ」でピンク系の色強調として使うことはできるものの、空や木の幹の部分に色味がつくのがどうしても気になる。レッドエンハンサーは光のRGB成分のうち、赤を通してその他の色味をカットすることと、RGBの中間色部分をカットすることで色鮮やかに見せるよう、色味をコントロールしているとのことだ。

 ニコン D200とキヤノン EOS 20Dの2台で、レッドエンハンサーとの組み合わせで赤みの強調効果をそれぞれ確かめてみた。条件を揃えるため、レンズはトキナー 28-80mm F2.8をそれぞれ使用した。

 フィルムカメラでは、レッドエンハンサーの3種類はそれぞれ使い分けがある。No.05は隠し味的な微弱な効果で、梅や桜の撮影に向いている。No.1は標準的な効果で桜と紅葉の撮影の両方で赤強調効果が使えるという。No.2は効果が強すぎるため、夕日などの撮影で「インパクトのある赤み」を表現したいときに向いているというが、デジタルではNo.2のみが有効というので、この使い分けはできない。


EOS 20Dでの撮影

筑波山で紅梅を撮影。オーソドックスにオートホワイトバランスで撮ってみた。晴れているが、逆光方向になるため、空は白っぽい
1/100秒 / F13 / 分割測光 / AWB / 45mm
弱効果のNo.05を使っての撮影。リバーサルフィルム用途としては「ごく弱い効果」で、隠し味的な使い方をするものだ。ただ、デジタルでは赤強調よりも空が緑がかるのが気になる
1/100秒 / F13 / 分割測光 / AWB / 45mm

フィルムカメラ用としてはスタンダードのNo.1も、デジタルだと、緑色っぽくなるのが気になる
1/80秒 / F13 / 分割測光 / AWB / 45mm
デジタル用として推奨されているNo.2を使ってみた。梅の赤み強調効果があり、No.05やNo.1で見られた緑がかりではなく、青みがわずかに空の部分についているが不自然ではない
1/100秒 / F13 / 分割測光 / AWB / 45mm

今度はホワイトバランスを「晴天」にしてみた。No.2の青みがかる傾向が出てしまう。オートホワイトバランスで使う方が自然な感じに仕上げるようだ
1/100秒 / F13 / 分割測光 / WB:晴天 / 45mm

D200での撮影

D200でも、それぞれのフィルターで撮影したが、EOSと同傾向のため、「No.2+AWB」の結果のみ掲載する。EOSより半段アンダー目の露出設定をしてしまったため、空がよりグレーに出ているが、全体的に地味めな色の印象。デフォルトでの撮影だが、仕上がり設定を変えれば、違った発色となったかもしれない
1/160秒 / F13 / スポット測光 / AWB / 45mm
No.2使用。梅は色鮮やかに、空は青みがかったのが晴天に見え、かえって好印象
1/160秒 / F13 / スポット測光 / AWB / 45mm

 デジタルでは「色味をコントロールするフィルター」は使わない、とされているが、今回の撮影を通して、手軽に狙った色味の強調を楽しむ手段として、非常に有効に感じた。デジタル一眼で「No.2+オートホワイトバランス」の組み合わせは、淡いピンクの梅にも有効だったので、桜の撮影にも応用できそうだ。これからの春の撮影に積極的に活用していきたい。



URL
  ケンコー
  http://www.kenko-tokina.co.jp/
  製品情報
  http://www.kenko-tokina.co.jp/filter/4961607315231.html

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富士写真フイルム「CCフィルター」(2005/03/23)


( 木村 英夫 )
2006/03/16 01:10
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