特別企画

「Acronis True Image Cloud」で写真消失の不安とオサラバ

“容量無制限クラウド”で二重のバックアップ体制!

書類も写真も音楽も“クラウド”に縁のある時代だが、クラウドにパソコン1台を丸ごと保存できるサービスがあると知ったのはごく最近。バックアップソフト「Acronis True Image Cloud」のクラウドサービスは、手持ちのPC/Mac/スマートデバイスを丸ごとバックアップしておけるだけでなく、データの保存容量が「無制限」だという。

これはぜひ写真データの管理にも使えないものかと、発売されたばかりの最新版ソフトで試してみることにした。ちなみに、最新版の発表会レポートはこちら。

アクロニスってご存知?

まず不勉強を詫びなくてはならないが、筆者は最近までアクロニスという会社の背景を知らなかった。ビジネス向け、個人向けの双方でデータバックアップのソリューションを提供する企業として知られ、バックアップソフトの受賞歴も数多い有名どころだ。

Acronis True Imageは2002年にWindows用が登場し、バックアップの処理速度や復元の確実さを特徴とする定番のローカルバックアップソフトである。「PCまるごとバックアップ・まるごと復元」を合言葉に、自作パソコンを趣味とするコアなPCユーザー達に鍛え上げられてきたそうだ。2015年のバージョンからはMacにも対応し、今回の主役であるクラウドバックアップも含まれるようになる。

今回取り上げるのは、クラウド対応版の「Acronis True Image Cloud」

最新のラインナップは、ローカルバックアップ専用の「Acronis True Image 2016」(買い切り)とクラウド対応の「Acronis True Image Cloud」(年間9,980円から)の2本。クラウドサービスの有無を除いた機能は両者共通だ。

クラウド付きの「Acronis True Image Cloud」は、利用するコンピュータやモバイル端末の数により年間の料金が異なる。上に記載した年間9,980円は「1コンピュータ+3デバイス」で使える最低料金で、ほかに「3コンピュータ+10デバイス」(年間1万5,980円)、「5コンピュータ+15デバイス」(年間1万9,980円)も選べる。手始めに、30日間の無料サブスクリプションを試すのもよいだろう。

クラウドで何ができる?2つのポイント

本稿では、Acronis True Image Cloudの特徴的なクラウド連携機能について、ポイントを絞って紹介したい。

  • ローカルとの二重バックアップ体制を構築する「クラウドバックアップ」
  • 使わないファイルを移動しておける「データアーカイブ」

クラウドバックアップ:とりあえずパソコン丸ごと保存

アクロニスのデータセンター(Acronis Cloud)をバックアップ先に指定し、外付けHDDやNASといった自分の手元以外の場所にもバックアップデータを置ける。

バックアップ画面

バックアップ元は、パソコンの起動ディスクのほか、外付けHDDやSDカードなど、外部の記録メディアも選べる。保存項目は「ディスク全体」か「指定ファイル」を選べるが、なんといっても容量無制限なのだから、迷ったら全部バックアップしておけばいいだろう。

「無制限」の文字が誇らしい

100GBを超えるアップロードとなった初回のバックアップは、さすがに数時間を要した。16GBのSDカードを丸ごとバックアップしてみたところ、約1時間ほどで完了。いずれも二回目以降は差分のみをアップロードするため、所要時間は短くなる。データは圧縮して送られ、ダウンロード時に無劣化で伸張する仕組みだという。アップロード中にネット接続が切れても、再びネットに繋がれば自動でアップロードが再開する。

外部メディアもバックアップ元として選べる。例えば、バックアップ用の外付けHDDを丸ごとクラウドにもバックアップして、二重バックアップの体制する、といった使い方も可能

起動ディスクのような「レスキューメディア」(手近なUSBメモリーでOK)を作ると、まっさらのマシンをクラウド上のバックアップデータから見事に復旧できるのも興味深い。ネットワーク環境が整っていることが条件だが、いざ出先でマシントラブルがあっても復旧が早いというわけだ。ローカルバックアップから復旧する時も、このレスキューメディア(ブータブルメディア)を使う。

ブータブルメディアの使い方(Macの場合)。起動ディスクとして利用する

こだわり派には、保存先のデータセンターを選べるのも興味深いだろう。日本であれば現在は「東京」がデフォルトだが、好みに応じて海外を選んでもいい。日本国内のデータセンターも、今後は大阪や北海道などに増やす計画があるという。

ひとつ注意したいのが、ノートパソコンをテザリングでネット接続している場合だ。Wi-Fiの接続先に関係なく自動バックアップは動作するため、気づかないうちに7GBなどの転送量制限を突破してしまうことも考えられる。

また、これは頑強なセキュリティの裏返しとも言えるが、ログインパスワードを忘れてしまった場合、アクロニスに問い合わせようとも一切復旧はできなくなる。パスワードだけは何としても忘れないようにしたい。

データアーカイブ:かさばるデータをクラウドに退避

こちらはクラウドをトランクルーム的に使える便利機能だ。使用頻度の低いファイルをクラウドに送って、マシンのストレージに余裕を生む。アップロードが完了するとローカルの元ファイルは削除される。

データアーカイブ中。ウィンドウにファイルでもフォルダでも放り込んで、そのままアップロードしてしまえばよい。階層構造が維持されるので、後から探しやすい

筆者の場合、出先にはMacBook Airを持参しており、Lightroomに取り込んだ撮影画像がついつい溜まりがちだ。そのため目ぼしい画像を書き出した後は、レーティングのない画像を削除して、ローカルストレージの空きを確保している。

しかしこの時、レーティングのない画像を失ってしまうおそれがある。結果的に使わない写真であったとしても、「スランプに陥ったら古いネガを見返せ」という偉大な写真家の教えに乗っ取っていきたい私としては、どこかに可能性を残しておきたい。

そこで効率的なワークフローとして試しているのは、まずメモリーカードから撮影画像のフォルダをデスクトップにコピーして、Lightroomにも「コピー」で取り込んだ後、デスクトップのフォルダを「データアーカイブ」に投げる手順だ。こうすればバックアップにもなるし、アップロードが終わればデスクトップのフォルダは削除されるので、マシンの空き容量がいつまでも圧迫されない。毎回の作業が煩雑でないことも、バックアップ作業の確実性を高めるには有効だろう。

「Web管理画面」で集中コントロール&クラウドデータをシェア

バックアップやアーカイブのデータには、Webブラウザからアクセスすることも可能だ。ブラウザベースの「Web管理画面」では、各マシンのバックアップをリモートで開始したり、バックアップファイルの中身を個別に閲覧・ダウンロードすることができる。このあたりのデザインには、業務にも使われているソフトらしさを感じる。

Web管理画面のトップ

筆者のような一般ユーザーに便利そうだったのは、各保存データの公開リンクを生成できるところ。例えば、パソコンのデスクトップに置いてあったファイル(=自動バックアップでクラウドに上がっている前提)をWeb管理画面から探して、そのファイルに割り振られたURLを伝えることで、他者にダウンロードしてもらうことができる。

ファイルリストから、各ファイルをシェアしたり、共有用のURLを取得できる

もちろん、ブラウザベースなのでスマートフォンのWebブラウザからも保存ファイルのシェアが可能だ。

iPhoneからWeb管理画面にアクセス
パソコン同様、メニューからシェアやリンクの取得が可能

また、iOS/Android用のアプリからスマートデバイスのデータをバックアップした場合は、バックアップデータの中から任意の写真をサムネイル表示で探しだすことも可能だ。

Acronis True Imageアプリのメニュー。「バックアップ」はバックアップの実施
「データアクセスと復元」からバックアップデータ内の写真を表示したところ。サムネイルを見ながら選べるのは便利(複数選択も可能)

特にスマートデバイスが普及しはじめてから、一人で複数台のパソコン、スマホ、タブレットを使い分ける「マルチデバイス」環境が珍しくない。それぞれは便利なのだが、どの端末に目的のファイルがあるのかわからなくなり、「撮った写真が見つからない」という経験がある方は多いはずだ。

この場合も、クラウドにデータがあれば、通信回線さえあればどこからでもデータを取りだせるという寸法。現在のWeb管理画面は“プロ向け”っぽい簡素なつくりで、パソコン内の階層構造を知らないと迷子になったり、写真ファイルにもサムネイル表示はない。しかし、何かの時に「データは家のパソコンの中だから絶対取り出せない」のか、「探せばクラウドから落とせる」では大きな違いだ。

iOSアプリの設定画面。転送量を気にする場合は、「セルラー通信」をオフにしておきたい。「充電中のみ」という選択肢は親切だと思う
バックアップするデータを選べる。別のクラウドサービスから復旧できるようなデータであれば、そちらに任せる方法もある

アクロニスの広報担当者に聞いたところ、コンシューマーユーザーに便利な機能は今後も随時検討していく姿勢であり、特に同社CEOはカメラユーザーのバックアップやクラウドストレージの活用法にも関心を持っているようだ。やがてWeb管理画面のレスポンスが向上したり、目ぼしいフォルダをショートカット登録できたり、画像ファイルのサムネイル表示が可能になれば、写真愛好家からの支持を集めることは間違いないだろう。

撮影前には「初期化」しよう

これは筆者の失敗談である。以前、複数のデジカメで使い回していたSDカードをカメラ内で初期化して、想定外のファイルまで消してしまったことがあった。この場合、データ管理が悪いのはもちろんのこと、複数の機種で1枚のSDカードを使い回すのも、カメラの取扱説明書に従えば好ましくない。不具合が感じられなくても避けたいところだ。

つまり、ある1枚のSDカードを別のカメラで使い始める時は、入れ換え後にそのカメラで初期化をしたい。そのためには、自信を持ってカードを初期化できるよう、データのバックアップが万全であることが大事なわけである。バッテリー満タンでカードの空き容量も100%という表示は、なんと気持ちがよいのだろう。

お出かけ準備万端、の図

容量無制限、疑ってゴメンナサイ

ここまで疑うことなく「容量無制限クラウド」を前提に話を進めてきたが、すんなり納得できただろうか。正直なところ、筆者は最初「どうにも“うまい話”っぽいなあ」と感じていた。街中で見かける“実質0円”や“無料”の大見得を切った広告には、いつも極小文字で細かな条件が書き添えられているからだ。

結論を言うと、アクロニスのクラウドは言い訳ナシの「容量無制限」で間違いなかった。フォトストレージではないので、画像データにリサイズなどの手が加えられることもなく、RAWデータだろうとお構いなし。同社ではユーザーあたり1TB〜3TBぐらいの使用を想定しているそうだが、もちろん具体的な上限はない。質問をぶつけた製品担当者からは、「ウチのクラウドより、プロバイダーの転送量規制に引っかからないように気をつけてください」との自信が返ってきたほどである。

10月28日追記:Acronis Cloudは使用状況により一時的なアップロード制限が入る場合もあるが、不正使用と判断されるケースを除いて制限解除の対応を行なうという。アクロニス・ジャパンでは、クラウドの使用制限が入った際などには同社サポート窓口に直接問い合わせてほしいとしている。

冒頭で述べた通りの「クラウドの時代」であるから、写真用かを問わず魅力的なクラウドサービスは数多い。それぞれにメリットがあり、使う数を絞るのは難しいが、何度も言うように“容量無制限”の言葉は強い。使いこなし次第では、いくつかのサービスに分散しているデータを一元化するなど、トータルでのコスト削減にも繋げられるのではないだろうか。

今回は本ソフトの導入により、まずローカルとクラウドの二重バックアップを構築する「頼れる存在」の安心感に浸ることができた。そして、今後ますます魅力的なアップデートにより、フォトユーザーにも「欠かせぬ存在」となってくれることを楽しみにしている。

協力:アクロニス・ジャパン

(本誌:鈴木誠)