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“無制限クラウド”にバックアップ「Acronis True Image Cloud」

モバイルデバイスにも対応。Windows 10に最適化

アクロニス・ジャパンは9月9日、個人向けバックアップソフトウェア「Acronis True Image」の最新版をダウンロード形式で発売した。写真データを含む、デバイス全体のバックアップが可能。PC/Macに加え、新たにモバイル端末のバックアップにも対応。容量無制限のクラウドバックアップサービスも用意している。

ラインナップは、クラウドサービス付きの「Acronis True Image Cloud」(年間サブスクリプション。パソコン1台+モバイル3台まで年間9,980円)と、ローカルバックアップ専用の「Acronis True Image 2016」(買い切り。パソコン1台用は4,980円)の2種類。それぞれ、より多くの台数で使用できるパッケージも用意している。店頭販売用のボックス版も9月11日に発売する。

いずれも対応OSは、Windows 10/8.1/8/7/XP SP3/Home Server 2011、Mac OS X 10.10.2/10.9.5/10.8.5以降(10.11 El Capitanもサポート予定)。モバイル端末はiOS、Android用のアプリを用意している。Windows Phone用アプリも今後リリース予定。

CEOセルゲイ氏「バックアップは人間の5つ目の欲求」

発表会では、アクロニス(Acronis)社CEOのセルゲイ・ベロウゾフ氏が登壇。同社の概要と歴史について紹介した。セルゲイ氏がコンシューマー製品のイベントに登壇するのは初めてのことだそうで、日本におけるコンシューマー向けバックアップソフトへの力の入れようを感じさせる。

Acronis社CEOのセルゲイ・ベロウゾフ氏

アクロニスは2003年にシンガポールで設立。現在は18カ国23か所にオフィスを構え、従業員は700名(うちエンジニア300名)。15言語145か国で販売している。500万以上のコンシューマーユーザー、50万以上のビジネスユーザーを持ち、保護しているデータは200エクサバイト(エクサはギガ、テラ、ペタの上の単位)だという。

同社はデータ保護に関する100以上の特許を取得。2001年にWindows環境におけるライブスナップショットによるイメージバックアップを「True Image」として実現、2003年には異なるハードへの復元を「Active Restore」で実現するなどの歴史を持つ。収益の25%をR&D(研究開発部門)に投資し、社員数の50%がそこに属している。

セルゲイ氏は、「人間には4つの欲求があると言われている」、「データ保護が5つ目の欲求になるのでは」と語る。データが複数デバイスや複数サービスに分散することで、データ喪失は「起きるかも」ではなく「いつ起こるか」だと強調した。

クラウドプラットフォームを使ったバックアップソフトの「Acronis True Image Cloud」は、PC全体をローカルおよびクラウドでバックアップできるようになった点が特徴。今回発表の2016バージョンのポイントとして、モバイル端末への対応、クラウドアーカイビング機能の追加、クラウドへの最適化、Windows 10への最適化を挙げた。

モバイル端末のバックアップは、ある端末のバックアップデータで別の端末をリストアすることができる。例えば、iPadからiPhone、AndroidからiPhoneといった復元も可能という。小規模オフィスや家族での使用を想定し、複数デバイスの管理にも対応する。

クラウドアーカイブは、ローカルストレージの容量を節約できるという機能。容量無制限の同社クラウドに使用頻度が低いファイルなどを置ける。ブラウザベースの管理画面や、外付けドライブのようにマウントして中身を扱うことが可能で、カテゴリ分類や検索など、機能追加の予定もあるとしている。

また、クラウドサービスはリリースごとに最適化を行い、使いやすさやアップロード速度の向上を進めているという。例えば3年前は14時間かかっていたクラウドバックアップが、現在では6時間、3年後には2時間(=ローカルバックアップと変わらないレベルという)になると見込んでいる。

現在は東京のみだが、大阪、北海道へのデータセンター開設も検討しているほか、他国のデータセンターを選ぶこともできる。セルゲイ氏は、自然災害を考えると日本では特にクラウドバックアップにメリットがあると話した。

また、アップグレードが容易でないとされるWindows 10の導入においても、バックアップの有用性をアピールした。

外付けHDDのようなクラウドサービス

製品説明をアクロニス・ジャパン リージョナルプロダクトマネジャーの古館與章氏が行なった。

アクロニス・ジャパン リージョナルプロダクトマネジャーの古館與章氏

アクロニスのバックアップソフトに対する日本での認知は、「バックアップが速い」、「操作が簡単」、「信頼性が高い」といったポイントがあるという。特に復元の正確さ・確実さがユーザーから評価されているとした。

ローカルバックアップの「Acronis True Image 2016」では、引き続きバックアップの高速化と、異なるデバイスに復元する場合の差を吸収する「Universal Restore」機能をアピールする。

また、日本のユーザーからの要望で復活した機能として「Try&Decide」を挙げた。ソフトのインストールなど、新しい設定を行なう際に別領域で試して、トラブルが起きたら元の状態からやり直せるという。

クラウドサービス付きの「Acronis True Image Cloud」は、ローカルバックアップに関する機能はAcronis True Image 2016と同様。

クラウドアーカイブは、ファイルの容量、作成日時、最終アクセス日を分析して、使用頻度の低そうなファイルを抽出する機能も備える。保存データの「いつか必要になるかもしれない」という心情に合うもので、保存容量無制限の同社クラウドサービスを「外付けHDDのような感覚で使ってほしい」と説明していた。

Windowsでのメイン画面
バックアップ元の指定
バックアップ先の指定
バックアップのスケジュール設定も可能(画面はMac)
ブラウザベースのWeb管理画面。ここから別端末のバックアップを開始できる
iOSアプリの画面。バックアップ対象を選ぶ
バックアップの進行画面
バックアップしたファイルから、選んだファイルを端末にダウンロードできる。フォトストレージのような操作性でもある

(本誌:鈴木誠)