新製品レビュー
キヤノンDigital Photo Professional 4.0
デザイン一新!機能追加でより使いやすくなった純正RAW現像ソフト
北村智史(2014/7/15 08:00)
Digital Photo Professionalは、キヤノンの一眼レフなどに対応する純正のRAW現像ソフト(無償)で、この6月にバージョン4.0がリリース。新機能の追加や、従来からの機能の強化、処理速度の向上などがはかられている。
現時点では、対応カメラはEOS-1D X、EOS-1D C、EOS 5D Mark III、EOS 6Dの4機種のみで、ほかの機種へは今後のバージョンアップで対応していくことになるのだろう。
インターフェース
起動していちばんに気付くのはインターフェースの違い。従来のDigital Photo Professional 3(以下、DPP 3)は明るめのグレーを基調にしていたが、新しいDigital Photo Professional 4.0(以下、DPP 4)は暗めのグレーを基調にしたデザインに変更されており、アドビシステムズのAdobe Photoshop Lightroomに似た印象となった。
表示スピードは大幅に改善されていて、セレクト編集画面でピクセル等倍に切り替えたときの、粗い画面から精細な画面に変わるまでの待ち時間がびっくりするほど速くなっている。
試用した環境がプアなせいもあるが、DPP 3だと精細表示に切り替わるまで20秒とか30秒とか平気でかかるのに(所要時間は画像によってかなり違いがある)、DPP 4だと5、6秒ですむ。ぶっちゃけ、DPP 3が遅すぎるだけなのだが、ものすごい違いである。
また、DPP 3では、作業していると頻繁に操作不能となり表示が止まった。DPP 4ではそうしたことがほとんどない。もちろん、デジタルレンズオプティマイザのような重い処理のときに待たされるのは残っているものの、ストレスは段違いに少なくなっている。
ツールパレットもデザインが変わり、機能の集約化がはかられている。
DPP 3のツールパレットには
- RAW
- RGB
- NR(ノイズリダクション)/ALO(オートライティングオプティマイザ)
- Lens(レンズ光学補正)
の4つのタブしかなかった。
対してDPP 4では
- レンズ光学補正
- トリミングと角度調整
- ゴミ除去とコピースタンプ
- 基本的な画像調整(従来の「RAW」に相当)
- ディテール調整 NRに相当)
- トーン調整
- 特定色調整
- 作業用色空間
の8つに増えた。
画像調整にかかわる機能の多くが、ここに集約されたおかげで、作業効率も上げられそうだ。
メイン画面の「マルチレイアウト」表示(サムネイルとプレビュー画像が表示されるモード)とセレクト編集画面で利用できる「比較表示」も新しい機能。2枚の画像を並べていいほうを残す作業を繰り返してベストショットを選び出す、いわゆる勝ち抜きセレクトに利用できる。
ちょっとおもしろいのが、プレビュー画像に重ねて表示される「プロパティ」。絞り数値やシャッター速度といった「撮影情報」のほか、さまざまな現像パラメーターが一覧できる「レシピ内容」を表示できるのだが、後者は調整した項目だけ赤文字で表示するようになっていて、どの項目を調整したかがひと目で判別できる。調整の前後の違いを比較する際などに便利だ。
調整機能
ここからは調整機能のうち、新しくなった部分を紹介する。
ホワイトバランス調整
プルダウンメニューからプリセットの項目を選択するところは従来と同じだが、ホワイトバランス微調整時の設定方法が、DPP 3は「色あい(色相)」と「色の濃さ(彩度)」で設定するようになっていたのに対し、DPP 4ではカメラの「WB補正」と同じ「B-A(ブルー-アンバー)」と「M-G(マゼンタ-グリーン)」の2軸調整になり、操作が分かりやすくなった。
以下、作例画像は、DPP 3と比較しやすいよう、アンシャープマスク/シャープネスはオフにしています。
ガンマ調整
「ガンマ調整」には「自動」ボタンが追加された。これは、明暗のバランスを解析して階調を調整してくれるもので、いくつかの画像で試してみたところ、まずまず良好な仕上がりとなった。自動調整後に手動での追加調整も可能なため、調整の下地として利用できそうな印象を受けた。
ホワイトポイント調整
高輝度側の階調が拡張されているのは見どころのひとつで、DPP 3は高輝度側のスライダーはマイナス方向(画面が明るくなる方向)への調整しかできなかったのが、DPP 4ではプラス側(画面が暗くなる方向)へも調整できるようになった。
シャドウ/ハイライト
また、「シャドウ」「ハイライト」スライダーの効果も強化されていて、特に高輝度側の階調を、より引き出しやすくなった。おかげで、従来はあきらめるしかなかった白飛び部分の階調再現がよくなったのはうれしい点だ。
個別色調整
新設の色調整機能も待たれていた機能。「レッド」「オレンジ」「イエロー」「グリーン」「アクア」「ブルー」「パープル」「マゼンタ」の8色について、「H(色相)」「S(彩度)」「L(明度)」を個別に調整できる。ほかの色味の部分に影響を与えずに調整できるので、部分部分の色味を厳密にコントロールしたいときに便利だ。特定の色の部分だけを鮮やかにしたり、部分的に色を残したモノクロ表現も楽しめる。