新製品レビュー

LUMIX GM5(実写編)

EVF搭載小型ミラーレスカメラの描写は如何に?

 マイクロフォーサーズながら、上着のポケットに入るほど小さいLUMIX GMのニューモデル。GM1にはなかったEVFが搭載された。明るい屋外や望遠レンズ使用時、またスローシャッターではファインダーを覗いた方が撮影しやすい。しかもアイセンサーを内蔵し、ファインダーを覗くと自動で背面液晶モニターから表示が切り替わる。さらにAdobe RGB比で色再現性約100%や視度調整機構を備えるなど、本格的なものだ。

 GM1からダイヤルやボタンの配置が変更され、より使い勝手が向上しているとともに、P、A、S、Mモードでもクリエイティブコントロールが設定できたり、ショートムービーが作成できるスナップムービーが追加されたり、機能も進化している。スタイリッシュなGM1とは異なり、GM5はより本格派の仕様となった。

解像力

 撮像素子はGM1と同じ、有効1,600万画素のLive MOSセンサーだ。画像処理エンジンはヴィーナスエンジン。レンズはキットのLUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.ですべて撮影している。

 ズーム全域で画面周辺がわずかに甘さは感じられるが、中心部はとてもシャープ。木の葉も1枚1枚しっかり解像している。ただ太陽やスポットライトなど、強い光源が画面内に入ると、ややフレアが起きやすいようだ。沈胴式の影響があるのかもしれない。とはいえ、大きさを考えたら十分高い描写性能を持っているといえるだろう。

広角端。LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/800秒 / F8 / ISO200 / マニュアル / 12mm
望遠端。LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/800秒 / F8 / ISO200 / マニュアル / 32mm

感度

 ベース感度はISO200。拡張でISO100が設定できる。ISO1600まではISO200とほぼ同じ画質だ。ISO3200から、ノイズリダクションによるディテールの損失が感じられ、細かい部分は溶けたようになる。それでもISO12800までは、よほど拡大しなければ実用的だ。

以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

 手ブレ補正のないレンズでスローシャッターになる場合は、積極的に高感度を活用するのがおすすめだ。また拡張のISO100は、ISO200と比較してダイナミックレンジが狭く、ハイライトが飛びやすい。

スナップムービー

 2、4、6、8秒の短い動画が手軽に撮れるスナップムービー。Panasonic Image AppでiPhoneに送り、撮影したスナップムービーを自動で結合し、ショートムービーを作成した。撮影時間はすべて4秒。アプリに内蔵されているBGMを使用している。



フォトスタイル

スタンダード
ヴィヴィッド
ナチュラル
モノクローム
風景
人物

クリエイティブコントロール

 GM1では専用モードだったクリエイティブコントロールは、GM5ではP、A、S、Mモードでも設定できるようになった。ここではAモードで使用している。

ポップ
オールドデイズ
ワンポイントカラー(壁に描かれたオレンジの絵にスポイトを合わせた)

作品集

明暗差の大きい条件だが、ハイライトは飛び過ぎず、シャドーもつぶれ過ぎていない、ちょうどいいバランスだ。GM5の画作りの良さがよくわかる。

LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/1000秒 / F8 / ISO200 / 絞り優先AE / 32mm

小型軽量なので、撮りたいと思ったときにすぐ撮れるのがGM5の魅力だ。ファインダーがあるので、明るい場所でもしっかり被写体を確認して撮影できる。

LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/2500秒 / F5.6 / ISO200 / 絞り優先AE / 13mm

絞り込んでパンフォーカースにした。キットレンズはワイド側が24mm相当。遠近感を誇張した写真が手軽に楽しめる。日常のスナップに向いたカメラだ。

LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/160秒 / F11 / ISO200 / 絞り優先AE / 12mm

テレ側の焦点距離は32mmでF5.6なので大きなボケは難しいが、ワイド側はF3.5で被写体に近づけばボケを狙った写真も撮れる。小型化を優先させたレンズだが、ボケ味は自然だ。

LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/800秒 / F3.5 / ISO200 / 絞り優先AE / 12mm

バイクのタンク部分をクローズアップ。豊かな階調を持ち、金属の質感がよく出ている。とても上着のポケットに入る小さいカメラで撮ったとは思えないほど優れた画質だ。

LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/160秒 / F5.6 / ISO200 / 絞り優先AE / 32mm

薄暗い路地でISO3200に設定して撮影。拡大すると葉のディテールはわずかにつぶれているが、実用になる画質だ。シャッター音が静かで、音が気になる場所でも撮影しやすかった。

LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/160秒 / F5.6 / ISO3200 / 絞り優先AE / 32mm

フォトスタイルをモノクロームに設定した。適度なメリハリがあり、本格的なモノクローム作品になる仕上がりだ。黄色や赤など、フィルター効果をプラスすることもできる。

LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/160秒 / F11 / ISO200 / 絞り優先AE / 12mm

まとめ:しっかりと作品も撮りたい人に

 LUMIX GMはとにかく小さくて軽いが、画質を犠牲にせず、レンズ交換式カメラの楽しさをより広めたカメラだ。そしてGM5はEVFを搭載したことで、様々な条件でも快適な撮影が可能になった。

 GM1は高品位なボディながらアクセサリーシューもなく、LUMIX Gシリーズの中でも特異な存在に感じられたが、GM5は本格派の印象が強くなった。またLUMIX G VARIO 35-100mm F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.や、LUMIX G14mm F2.5 II ASPH.、LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH.など、GMにフィットする小型レンズも充実してきた。

 GM5は個性を重視しながらも、しっかり作品も撮りたい人に注目してもらいたいシステムに仕上がっている。

藤井智弘

(ふじいともひろ)1968年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年、コニカプラザで写真展「PEOPLE」を開催後フリー写真家になる。現在はカメラ雑誌での撮影、執筆を中心に、国内や海外の街のスナップを撮影。公益社団法人日本写真家協会会員。