コダック「EasyShare M1020」

直感的な操作に配慮した10型デジタルフォトフレーム

 今やデジタル家電の一ジャンルとして定着した感があるデジタルフォトフレーム。この1年で多様化も進み、無線LANへの対応や、PCのサブディスプレイとして使用できる製品なども登場している。このコーナーでは、デジカメWatchがピックアップしたデジタルフォトフレームについて、特徴的な機能や使用感を紹介する。

EasyShare M1020

 今回紹介するのは、コダックの「EasyShare M1020」(以下、M1020)。16:9のワイド液晶パネルを採用した10型のデジタルフォトフレームだ。実勢価格は2万5,000円前後。

 M1020の特徴の1つには、シンプルな操作性が挙げられる。リモコンを付属せず、遠隔操作はできないものの、直感的な操作が行える「タッチボーダーセンサー」を備えた。画面とフレームの間にあるタッチボーダー枠に仕込まれたセンサーにタッチすることで、各種設定や編集項目の選択、移動などを行う仕組みだ。

 なお、インタフェースの各項目はすべて英語となっているが、「Settings」(設定)や「Set Time」(時刻設定)、「Clock and Timer」(時計/タイマー)など分かりやすいものばかり。しかも付属する説明書は日本語なので、特に操作で困るということはないだろう。

 額縁を模したダークブラウンの「フェイスプレート」は、設置場所の雰囲気に合わせて着脱が可能。同梱する2枚のデコレーションマット(グレー、シャンパン)を付け替えれば設置場所に合わせたイメージチェンジが簡単に行なえる。設置方法も、背面に備えた可動式のスタンドを利用して縦・横位置に置けるほか、壁掛け用フック穴を利用しての壁掛けも可能。

画像表示部と縁の間にタッチボーダーセンサーを備えている。一度タッチボーダーセンサーに触れると、オレンジ色のライトが点灯する。右側のHomeアイコン(家型アイコン)を選択すると各種設定項目が表示されるHomeからは、画像や音楽の再生のほか、各種設定が行える
設定画面では、スライドショーの表示間隔や画像切り替えのスタイル、音楽の自動再生のオン/オフなどが設定可能設定画面の「Frame orientation」を選択すると、フレームの縦置き、横置き設定が行える。画像位置を判断して自動回転させる機能はない
設定画面の「Transitions」は画像切り替えのスタイルを変更するモードだ。デフォルトでは「Random」に設定されているが、「Zoom and Pan Effect」や「Door open & Close」など、計9種類が用意されているSDカードやUSBメモリー、内蔵メモリーなど、画像データの入ったメディアから、スライドショーに利用するメディアを選択できる。サムネイルが表示されるので、画像の確認には便利だ
利用するメディアを選択したら、右側に表示された「右向き矢印」のタッチボーダーセンサーにタッチすると再生が開始される。この画面で画像を選択すれば、コピーや削除も可能だ
フェイスプレートを装着したところデコレーションマットはグレーとシャンパンを付属する
シャンパン色のデコレーションマットを装着したところ壁掛け用フック穴は縦横両方に対応
横位置スタンドは可動式。回転させて縦位置にもできる

 M1020に採用された液晶パネルは、解像度800×480ピクセルの10型。特に解像度が高いわけでもなく、大画面というわけでもないが、同社の色作りのノウハウである「コダックカラーサイエンス」を採用したという。確かに試した限りでは、メリハリがあり、かつ鮮やかな写真を表示を楽しめた。デジタルフォトフレーム本来の役目である、写真表示についても手を抜かないのがコダックらしいところだ。

 メディアスロットは2つ。SDメモリーカード、メモリースティック、xDピクチャーカードの共用スロットと、CF/Microdrive用。miniSDメモリーカード、microSDメモリーカード、メモリースティックデュオなどは変換アダプターを利用することで使用可能だ。ただし、各メディアとも動作を確認しているのは4GBまで。試しに、8GBのSDHCカードで試したところ、画像データを認識し、スライドショー再生することができた。自己責任になるが、案外すんなり利用できるのかもしれない。

 なお、記録メディアに保存された画像データは、本体の操作でサムネイル表示、画像のコピー・削除が可能。128MBの内蔵メモリーへ画像データをコピーすることもできる。

 試しにサンディスクのSDHCメモリーカード(Extreme III 4GB)から1枚6.2MB程度の画像データ10枚を内蔵メモリーにコピーしたところ、約55秒かかった。転送速度としては遅く感じなかったが、内蔵メモリーが128MBと少ないため、フォトフレーム用にサイズを小さくしないと、20枚程度しか再生できないというのは残念。内蔵メモリーを当てにするのではなく、外部のストレージを積極的に使いたいところだ。

上部には電源ボタンのほか、各種メモリーカードスロットと音量ボタンを備える左側面には、CF用スロットのほか、USB端子を2つを備える

 この製品の面白いところは、記録メディアを差し込み、画像データを認識すると、すぐにスライドショーが開始されることだろう。

 基本的にスライドショー中は無音なのだが、画像データと一緒に音楽ファイル(MP3のみ)を入れておくと、自動的に音楽が再生される。細かい設定を必要とせず、簡単に音楽とスライドショーを楽しめる点は評価したいところだが、音楽とリンクしてスライドショーが切り替わるなどのギミックがあればさらに楽しめそうだ。なお、画像の自動回転機能はないので、表示方向をを予め設定しておく必要がある。

 また、デジタルカメラで撮影した動画の再生にも対応している。とはいえ、画像サイズが640×480ピクセル以下、フレームレートが30fps以下、音声がモノラルであることなど、細かい制限がある点は注意したい。対応する動画ファイルはMOV形式またはAVI形式(圧縮形式はMotion JPEG、MPEG-4)。

 タッチボーダーセンサーという新しい操作を取り入れつつも、メディアを装着するとすぐにはじまるスライドショーなど、ややこしい操作なしで使える配慮がうれしい点。高画質表示も評価したいポイントだ。インターネット接続などの機能はないものの、誰もが安心して使える定番的な性格のデジタルフォトフレームといえる。



(飯塚直)

2009/8/11 20:38