交換レンズレビュー

XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR

パリッとした解像感とF2.8の大きなボケが楽しめる

今回はFUJIFILM X-T1で試用した。発売は2014年11月。実勢価格は税込17万1,490円前後

待ちに待ったと言って良いのではないだろうか。35mm判換算で76〜213mm相当をカバーしつつ、大口径の開放F2.8を誇る望遠ズームのフラッグシップレンズが、XFシリーズに追加された。

防塵防滴仕様のFUJIFILM X-T1にベストマッチする防塵・防滴・耐低温設計に加え、最強の手ブレ補正機能や最高峰のレンズコーティングを施すことで、フラッグシップに相応しい完成度を獲得した本レンズへの期待は大きい。

デザインと操作性

いわゆる“大口径望遠ズーム”と称される部類のレンズである。ボディはAPS-Cタイプのセンサーを搭載することもあって、フルサイズのセンサー用のレンズほどサイズ感や重量感はない。

赤いエンブレムが印象的。上からピントリング、ズームリング、絞りリングとなっている

とはいえ質量は約995gほどあるので、決して軽くはない。ただ重さはマイナス面ばかりではない。ある程度の重さは手ブレを軽減してくれる効果があるので、好意的に受け入れても良いという感触を持った。ただ、X-T1に装着すると、ややレンズ側が重いという印象は受けた。

広角端(左)と望遠端(右)。ズーミングをしても全長は変化しないので、常に同じバランス感覚で操作できるため、とても扱いやすい

全長175.9mm、最大径約82.9mmとやや長め、かつ太めなので、手が小さな女性は少々持て余すかもしれない。手が大きい筆者には、逆に扱いやすいのだが。

ズームリングやピントリングのトルクは心地よい。軽くもなく、重くもなくといったところだ。本レンズは絞りリングを搭載するタイプなので、絞り値を目視できる点は好感が持てる。ただ、いくぶん動きやすいという印象がある。もう少しだけ硬くても良かったかもしれない。

かなり大型の三脚座が標準装備されている。ロック解除のつまみも大きいので、力を込めやすい

本レンズの特徴の1つは、強力な手ブレ補正機能だ。CIPA基準で約5段分をクリアした性能は疑う余地なく最高レベルだ。使い古された言葉だが、像がファインダーに吸い付く様は感動的で、しっかりホールドすれば、テレ端でも1/30秒のシャッタースピードが日常的に使える。

OIS(手ブレ補正)の切り替えスイッチはボディの左側面に装備されている。効果は約5段分

AFも好感触だ。X-T1のフォーカスエリアのサイズを最小にして、ピンポイントで狙っても、スッと気持ちよく決まる。もともとX-T1のピント精度の高さは定評があるが、本レンズと組み合わせれば高速AFも楽しめる。

大型の花形フードを同梱する。遮光性能が高いので、逆光や斜逆光での撮影のときは忘れずに使いたい

遠景の描写は?

光学系は16群23枚で構成されている。そのうち、5枚は異常分散レンズ、1枚はスーパーEDレンズというフラッグシップレンズに相応しい贅沢な設計が施されている。結果、色収差は可能な限り抑えこまれている印象で、高い解像力が得られている。

ワイド端にしてもテレ端にしても、絞り開放時には多少なりとも周辺光量落ちは見られるものの、強いものではない。テレ端のほうがワイド端よりも強めではあるが、2段程度絞れば十分な光量が得られる。

画像の中心部はもちろん優れた描写をするが、周辺部も画像の流れや色ずれは感じられず、中心部と大差ない描写をする点は高く評価をしたい。またF22まで絞ってみたが、F16までは安定した解像感が得られるが、F22ではわずかに甘くなった。それでも一般的レンズのF22によって得られる像よりははるかにシャープで、点像復元処理によるところが大きいと思われる。

総じて、画面の全面で高い解像感が得られる。また絞り値としては、F8あたりがもっとも優れた描写をするように感じられた。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
広角端―中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:X-T1 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
F22
広角端―周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:X-T1 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
F22
望遠端―中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
F22
望遠端―周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
F22

ボケ味は?

なんといっても魅力の第一はF2.8の大口径が生む大きなボケ味だ。前ボケにしろ、後ボケにしろ、うまく取り入れることができれば、かなり表現力は豊かになる。作例を見ていただければおわかりになるように、柔らかいボケ味が信条なので、アングルをよく探って効果的なボケを見つけると本レンズの真価が発揮できる。

加えて本レンズは7枚絞り羽根による円形絞りを採用している。玉ボケを背景や前景に散りばめて、華やかな絵作りができるのは嬉しい限りだ。

最短撮影距離は1mで、標準的なスペックと言っていいだろう。近頃は簡易マクロ的に使える望遠ズームが流行りだが、そこまで寄ることはできない。だが、テレ端を使えばある程度のクローズアップは可能なので、最短撮影距離にセットして被写体に寄るという撮影スタイルもありだろう。

広角端
絞り開放・最短撮影距離(約100cm)で撮影。X-T1 / 1/50秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
絞り開放・距離数mで撮影。X-T1 / 1/220秒 / F2.8 / -1.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
絞りF4・距離数mで撮影。X-T1 / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
絞りF5.6・距離数mで撮影。X-T1 / 1/125秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
望遠端
絞り開放・最短撮影距離(約100cm)で撮影。X-T1 / 1/680秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 140mm
絞り開放・距離数mで撮影。X-T1 / 1/480秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 140mm
絞りF4・距離数mで撮影。X-T1 / 1/125秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 140mm
絞りF5.6・距離数mで撮影。X-T1 / 1/280秒 / F5.6 / -2.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 140mm

逆光耐性は?

レンズ面には独自の多層コーティング処理「HT-EBC」が施されているうえに、新開発のナノGIコーティング技術も採用。これらによって、ゴーストやフレアを抑えつつ、クリアでコントラストの高い描写を得ている。

今回は抜けるような空に強烈な太陽が輝いているという状態で、太陽を画面内に入れたり、画面のぎりぎり外側に置いたりと、かなり意地悪なテストをした。

画面内に太陽が入った状態では、有害光の影響を受けていることがわかると思う。画面外ぎりぎりに外したカットではわずかにゴーストは発生しているが、コントラストは高くクリアな描写になっている。

広角端
太陽が画面内に入る逆光で撮影。X-T1 / 1/680秒 / F11 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。X-T1 / 1/300秒 / F16 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm

作品集

林を彩る暖色と雪面の寒色を対比した。ピントが合っている雪面はあくまでシャープ。背景の光のボケは美しい玉ボケになっている。

X-T1 / 1/3,200秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 140mm

暗い背景からスッと浮かび上がる竹を主役の画面を構成。F2.8の大口径によって背景は大きくぼけて、主役の存在感がぐっと高まっている。

X-T1 / 1/60秒 / F2.8 / -1EV / ISO320 / 絞り優先AE / 56.3mm

ここしかないと言うアングルから撮影するため、手持ち撮影を試みた。強力な手ブレ補正のおかげでブレは微塵もなく、構図も狙い通りに決まった。前ボケのやわらかさに注目して欲しい。

X-T1 / 1/1,800秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 98.2mm

コントラストが強い場面。マイナス補正をして撮影したが、しっかりとコントラストが生きた。F11に絞っているが、木肌の質感も見事に描写されている。

X-T1 / 1/58秒 / F11 / -1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 83.8mm

まとめ

自分の撮影スタイルが望遠側にシフトしているという場合は、持っていて損はしないレンズだ。というより、持っているほうが得をするレンズと言って良い。パリッとした解像感が楽しめるうえに、F2.8を使ったボケ表現も可能。さらに三脚撮影だけでなく、手持ち撮影も悠々こなす本レンズは、どんな撮影ジャンルでも、重宝するに違いない。

決してコンパクトではないし、また手軽に求められる価格でもないが、性能を考え、また今後のXシリーズの拡充に期待込めれば、「持っている」べきレンズだろう。

萩原史郎

(はぎはら しろう)1959年山梨県甲府市生まれ。日本大学卒業後、株式会社新日本企画で「季刊風景写真」(※現在は隔月刊) の創刊に携わり、編集長・発行人を経験。退社後はフリーの風景写真家に転向。著書多数。日本風景写真家協会(JSPA)会員。カメラグランプリ選考委員。