デジカメドレスアップ主義
よもやまさかのアサヒフレックス
α7 II + Takumar 58mm F2.4
2017年2月14日 08:00
レイクォールからめずらしいマウントアダプターが登場した。アサヒフレックスのレンズをソニーEマウントに装着するASH M37-SαEだ。レイクォールは高精度なマウントアダプターに定評のある国内メーカーで、ヤシコン、M42、ライカRなど、主にメジャーなマウントのマウントアダプターを製造してきた。メインストリームを高品位路線で突き進むメーカーだけに、アサヒフレックスという選択肢を意外に感じる人は少なくないはずだ。
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旭光学工業のアサヒフレックスは、1952年に登場した国産初の35mm判一眼レフだ。マウントは37mm径のスクリュー式で、M37マウントと呼ばれることが多い。このマウント、口径はライカスクリューマウントの39mmよりも小さいが、フランジバックはM42マウントと同じ45.5mmという何とも微妙な仕様だ。カメラをやり込んでいる人なら、37-42mm変換リングをレンズに付け、M42マウントアダプターで使うという方法を思い付くだろう。ただ、この37-42mm変換リングがなかなか見つからず、かといって自作するのも手間がかかり、何とも惜しいマウントなのだ。オールドレンズマニアであれば、アサヒフレックスのある種の歯がゆさは共感してもらえるだろう。
こうした背景を思うと、アサヒフレックスマウントアダプターの登場は「よくぞ!」と膝を打ちたくなるほどの朗報だ。ただし、製品化は我々が思っている以上に苦労があったという。まず、フランジバックのバラツキだ。製造時のものか経年変化によるものかはわからないが、現存するアサヒフレックスのボディはそれなりにフランジバックのバラツキがあるという。レイクォールは7~8台のアサヒフレックスボディを手に入れ、フランジバックを測定し、バラツキを加味した現実的なフランジバックの数値を算出。それを元にマウントアダプターを設計している。
同じことはレンズ指標についても言える。アサヒフレックスはスクリュー式で、本来なら真上でレンズ指標が止まるべきだが、現存する個体はバラツキがある。同社はたくさんのレンズで指標位置をチェックし、おおむね正面にレンズ指標が止まる設計にした。筆者の所有するタクマー58mm F2.4は真上に指標が来たが、これはラッキーな方だという。
実のところ、スクリュー式マウントのマウントアダプターは製造自体はそれほど難しくない。ただし、こうやって念入りなサンプリングによって数値を割り出すところに、レイクォールならではの誠実さが見て取れる。
ドレスアップは4Vデザインのストラップ、ルッソ・ラージ・トップを合わせた。同製品はイタリア製のハンドメイドストラップだ。同社の製品は、レトロと今っぽさの同居する様がおもしろい。トスカーナ産のベジタブルタンニンレザー、アンティーク調の金具、これらのマテリアルはレトロな雰囲気に大きく貢献している。一方、ショルダーパッドの裏面にレーサー用レザースーツの技術を応用し、滑り止め、防水、防菌といった機能性を持たせた。単なるレトロデザインのストラップではなく、先進技術で実用性を追求している点が特長と言えるだろう。