デジカメドレスアップ主義

よもやまさかのアサヒフレックス

α7 II + Takumar 58mm F2.4

  • ボディ:ソニー α7 II
  • レンズ:旭光学工業 タクマー58mm F2.4
  • マウントアダプター:レイクォール ASH M37-SαE
  • ストラップ:4Vデザイン ルッソ・ラージ・トップ(ブラウン)

レイクォールからめずらしいマウントアダプターが登場した。アサヒフレックスのレンズをソニーEマウントに装着するASH M37-SαEだ。レイクォールは高精度なマウントアダプターに定評のある国内メーカーで、ヤシコン、M42、ライカRなど、主にメジャーなマウントのマウントアダプターを製造してきた。メインストリームを高品位路線で突き進むメーカーだけに、アサヒフレックスという選択肢を意外に感じる人は少なくないはずだ。

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レイクォールのASH M37-SαEは税込1万4,700円。同社Web直販のみの限定品だ。
アサヒフレックスマウントはフランジバック45.5mmで、アダプターはけっこうな厚みがある。

旭光学工業のアサヒフレックスは、1952年に登場した国産初の35mm判一眼レフだ。マウントは37mm径のスクリュー式で、M37マウントと呼ばれることが多い。このマウント、口径はライカスクリューマウントの39mmよりも小さいが、フランジバックはM42マウントと同じ45.5mmという何とも微妙な仕様だ。カメラをやり込んでいる人なら、37-42mm変換リングをレンズに付け、M42マウントアダプターで使うという方法を思い付くだろう。ただ、この37-42mm変換リングがなかなか見つからず、かといって自作するのも手間がかかり、何とも惜しいマウントなのだ。オールドレンズマニアであれば、アサヒフレックスのある種の歯がゆさは共感してもらえるだろう。

アサヒフレックスは国内初の35mm判一眼レフだ。ウエストレベルファインダーが渋い。

こうした背景を思うと、アサヒフレックスマウントアダプターの登場は「よくぞ!」と膝を打ちたくなるほどの朗報だ。ただし、製品化は我々が思っている以上に苦労があったという。まず、フランジバックのバラツキだ。製造時のものか経年変化によるものかはわからないが、現存するアサヒフレックスのボディはそれなりにフランジバックのバラツキがあるという。レイクォールは7~8台のアサヒフレックスボディを手に入れ、フランジバックを測定し、バラツキを加味した現実的なフランジバックの数値を算出。それを元にマウントアダプターを設計している。

同じことはレンズ指標についても言える。アサヒフレックスはスクリュー式で、本来なら真上でレンズ指標が止まるべきだが、現存する個体はバラツキがある。同社はたくさんのレンズで指標位置をチェックし、おおむね正面にレンズ指標が止まる設計にした。筆者の所有するタクマー58mm F2.4は真上に指標が来たが、これはラッキーな方だという。

37mmのスクリューマウントを採用。変換リングでM42マウント化する手もある。
所有するレンズは指標がちょうど正面にきた。レンズによって多少のバラツキがあるという。

実のところ、スクリュー式マウントのマウントアダプターは製造自体はそれほど難しくない。ただし、こうやって念入りなサンプリングによって数値を割り出すところに、レイクォールならではの誠実さが見て取れる。

ドレスアップは4Vデザインのストラップ、ルッソ・ラージ・トップを合わせた。同製品はイタリア製のハンドメイドストラップだ。同社の製品は、レトロと今っぽさの同居する様がおもしろい。トスカーナ産のベジタブルタンニンレザー、アンティーク調の金具、これらのマテリアルはレトロな雰囲気に大きく貢献している。一方、ショルダーパッドの裏面にレーサー用レザースーツの技術を応用し、滑り止め、防水、防菌といった機能性を持たせた。単なるレトロデザインのストラップではなく、先進技術で実用性を追求している点が特長と言えるだろう。

4Vデザインのルッソ・ラージ・トップは税込2万1,060円。Amazonなどで購入できる。
ショルダーパッドにスポーツシューズ用のハイパフォーマンス・フォームを採用している。
取り付け部はアンティーク調の大きな金具を使用。当て革があるのでボディとの接触は最小限だ。
クイックリリースを採用し、フックを外すと二重リングからスルリと外れる。
同製品はブラックもラインアップしている。金具もさりげなくブラックタイプを用いている。

α7 II / Takumar 58mm F2.4 / 1/1,000秒 / F2.8 / ±0EV / ISO100 / AWB
α7 II / Takumar 58mm F2.4 / 1/1,250秒 / F2.8 / ±0EV / ISO100 / AWB
α7 II / Takumar 58mm F2.4 / 1/60秒 / F2.4 / -0.7EV / ISO100 / AWB
α7 II / Takumar 58mm F2.4 / 1/3,200秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / AWB
α7 II / Takumar 58mm F2.4 / 1/125秒 / F2.8 / ±0EV / ISO100 / AWB
α7 II / Takumar 58mm F2.4 / 1/60秒 / F2.4 / -0.7EV / ISO100 / AWB

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp