フォトアプリガイド

Photo Mate Professional(Android)

 Android OS 2.3.4以降(スマートフォン)またはAndroid OS 3.1以降(タブレット)のOSを搭載するAndroid端末には、USBホスト機能が実装されている。といっても、機能を実装するかどうかはハードウェアメーカー次第であり、すべての端末で対応していたわけではない。

 現在のところ、国内向けの端末ではUSBホスト対応の製品が数多く出回っている。もし、所有している端末がUSBホストに対応しているなら、デジカメユーザーはその恩恵が受けやすいともいる。というのも、端末のmicroUSB端子を経由してカードリーダーを接続すれば、SDメモリーカードやCFから写真データを直接読み込めるからだ。見方を変えれば、Android端末をフォトストレージとして扱えるというわけだ。

Android端末によってはUSBホスト機能を使用して、カードリーダーからデジタルカメラの画像を読み込むことが可能

 もちろん、キレイになってきたとはいえ、Adobe RGBをサポートするような端末は存在せず、正確な色を確認するための手段にはなり得ない。それでも、Android端末を“ハブデバイス”として利用する価値はある。写真を拡大してピントのチェック、各種写真投稿サイトへのアップロード、オンラインストレージへのバックアップなど、Android端末の活用方法は多種多様だ。

 そこで今回、デジカメのお供としてAndroid端末を活用するユーザーに最適なビューワアプリPhoto Mate Professionalを紹介する。

 利用した端末はNTTドコモの「MEDIAS LTE N-04D」(Android OS 4.0.4)だ。

 まず、Photo Mate Professionalの利点は、JPEGだけでなくRAWデータを表示できることだ。筆者が知り得る限り、標準でインストールされたビューアアプリで、RAWデータの表示に対応したものはない。

 JPEGデータだけしか扱っていないなら問題ないが、RAWで撮影したデータを扱う場合は、アプリが対応していなければならない。そういった意味で、Photo Mate ProfessionalはRAW撮影派のデジカメユーザー向けであるともいえる。また、本アプリはフル解像度に対応している。機能としては地味だが、画像解像度の上限が設けられたアプリは多いため、こうした点は評価できる。

 ちなみに、サポートされたファイル形式は、JPEG、PNG、ICO、PSD、TIFF、CR2、NEF、ARW、RW2、ORF、DNG、PEF、3FR、RAF、MRW、X3F、ERF。

 操作インタフェースは作り込まれた“派手さ”はなく、ビジネスライク。アプリを起動すると、すぐに内蔵ストレージが表示され、フォルダ(写真データ)のアクセス画面となる。

Photo Mate Professionalを起動すると内蔵ストレージ、またはメモリーカードのファイル情報が表示される

 Photo Mate Professionalを使って画面を表示すると、上部に解像度やISO感度、露出といった情報が表示される。また、ピンチ操作または「+」「-」アイコンをタップして画像の拡大・縮小に対応したほか、現在の表示倍率も確認できる。

 表示情報としては、前述したオーソドックスなパラメータのほか、RAWの有無、撮影した機材情報なども表示される。機材情報では、Android端末だけでなく、例えば「GR DIGITAL IV」で撮影したデータなら、「RICOH GR DIGITAL 4」と表示される。

撮影時のパラメータが画像の再生中に確認できる。画面左下には、表示比率が表示されている
画面をダブルタップすると、100%表示になり、再度ダブルタップすることで全体表示となる
「GR DIGITAL IV」を使い、RAWで撮影したデータを読み込んだところ

 ビューワアプリではあるが、簡易的な編集機能も搭載している。利用するには、画面上部にある「ペン」アイコンをタップ。ホワイトバランスや輝度、露出といった項目ごとにスライダーが用意され、そのスライダを調整して編集を行う。

「ペン」アイコンをタップすると、画面右側に編集項目とスライダーが表示される

 編集の際に便利なのが、メニューキーをタップして表示される「Histogram」や「Exprosure Marker」。特にExprosure Markerは、常時、または編集時という表示タイミングを選択できる。

端末のメニューキーを押すとメニューが表示される
「Histogram」では、RGBの各チャンネルまたは統一チャンネルを表示できる
「Exprosure Marker」は、露出のオーバー、アンダーを確認するための機能。表示タイミングを常時または編集時の2つから選択可能だ

 このほかにもメニューからは、Exifを確認するための「EXIF-Data」や、サイズを変更するための「Resize/Convert Picture」などが利用できる。本アプリはフル解像度データに対応しているといっても、端末から各種クラウドサービスへとアップロードするなら、回線状況を踏まえてある程度のリサイズは必須作業。そういった意味では、Resize/Convert Pictureは重要な機能といえる。

「EXIF-Data」は、表示している画像データのExif情報をチェックする機能
「Resize/Convert Picture」を使えば、「max. 640px」や「max. 1280px」といったプリセットサイズにリサイズできる

 Photo Mate Professionalのユニークな機能として、「Display Calibration」がある。その名の通り、ディスプレイのキャリブレーション機能だ。アプリ利用中のみであるが、スライダを使ったキャリブレーションが可能となる。一度設定しておけば、アプリを終了しても引き継がれるので、再設定は不要。色再現性は液晶パネルの性能に依存するものの、キャリブレーション機能を利用することで、ある程度忠実な編集環境を構築できそうだ。

「Display Calibration」ではRGBのほか、明るさなども調整できる。基本的にスライダ操作で調整する

 「Quick browse」では、レーティング機能も利用できる。

レーティング機能。★〜★★★★★まで設定可能

 2つの画像を一度に表示する機能もある。アップロード画像の選択時など、重宝しそうな機能だ。

1画面で2つの画像を表示可能。左右を比較しながらレーティングできる

 Photo Mate Professionalは、スマートフォンとタブレットに両対応するアプリ。実際に使ってみた感覚では、スマートフォンよりも、ある程度画面サイズのあるタブレットのほうが便利そうだ。ディスプレイのキャリブレーションやヒストグラム表示など、痒いところに手の届く機能。そして、主要メーカーのRAWデータに対応するなど、ビューワとしての完成度は高い。スマートフォンやタブレットをデジカメと一緒に持ち歩いているなら、オススメしたいアプリである。

(飯塚直)