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プロ写真家と行くヘリコプター空撮ツアーが開始

 雄飛航空は、プロ写真家と共にヘリコプターに乗って空撮が行なえる「プレミアム撮影体験ツアー」を2月20日に開始した。

 空撮業務を専門とする雄飛航空と、航空風景写真家の加藤健志氏がコラボレーションした撮影ツアー。一般の遊覧飛行などでは難しいという窓を開けての撮影が可能となっている。

 加藤氏は、1月に行なわれた「ニッコールレンズキャンペーン プレミアム撮影体験ツアー」の講師を務めた。このときの反響が大きかったため、今回のツアーを企画したという。

 加藤氏は、「チャーターしたヘリでは、プロカメラマンでないとまず窓を開けてもらうのは難しい。一般の方が窓を開けたヘリコプターから撮影できる機会はほとんどない。また、ヘリのチャーター代は1時間で数十万円する。今回は空撮に特化した航空会社と組むことでこうしたツアーが実現した。これを機会に空撮の間口を広げたい」と話す。

 雄飛航空の川島ヘリポート(埼玉県比企郡川島町大字芝沼城外460)を発着点とし、昼の部として「東京都心コース」(8万5,000円)と「北関東コース」(7万円)、夜の部として「東京都心コース」(10万円)を用意する。いずれも飛行時間は約40分。1フライト2名で搭乗する(参加者が2名以上で催行。追加料金で貸切も可能)。

川島ヘリポート

 昼の部は日曜・月曜・火曜で、夜の部は木曜・金曜・土曜に行なわれる。1日5組(10名)限定。フライトの順番は抽選で決定する。

 東京都心コースでは、都心のビル群や東京タワー付近を飛行する。東京スカイツリーも撮影できる。また北関東コースは上毛三山コース、埼玉スタジアム・大宮・さいたま新都心コース、秩父・長瀞コースの3つを用意する。なお、飛行コースは参加者のリクエストに合わせて多少の変更も可能。

 ヘリポート最寄りのJR高崎線北本駅からの送迎もあるほか、遠方からの参加者にはホテルの紹介も行なう。

 搭乗前には、加藤氏による撮影前講義が行なわれる。カメラのセッティング方法やアングルなどを“良い例と悪い例”として作例見ながら学べるため、初心者でも参加可能となっている。雄飛航空からは安全に関する説明などがある。

撮影前講義を行なう場所(左)。加藤氏の作例を見ながら撮り方の講義を受けられる(右)。

 加藤氏によると、お勧めのレンズは高倍率ズームという。広角だけではバリエーションが少なくなるため、望遠域も必要とのこと。

 機内にカメラバッグは持ち込めない。また、機内ではホコリが入りやすいためレンズ交換はできないという。そのため高倍率ズームを付けたボディ1台または、それに加えて超広角レンズを付けたボディが1台があると理想という(カメラの機内持ち込みは2台まで)。また、夜景撮影の場合は明るいレンズが良いとのことだった。

 雄飛航空ではカメラやレンズの貸出も行なっている。プロ用一眼レフカメラからミラーレスカメラまで用意してある。「NEX-7は、軽量なので女性でも使いやすい」(加藤氏)という。

貸し出し用の機材。ボディはEOS-1Ds Mark III、EOS 5D Mark III、D800、NEX-7。レンズはEF 24-105mm F4 L USM、EF 28-300mm F3.5-5.6 L IS USM、AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR、E 18-55mm F3.5-5.6 OSS。GPSユニットもある。またシグマの協力により15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE(キヤノン用)、12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM(ニコン用)、35mm F1.4 DG HSM(ニコン用)、APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM(ニコン用)が用意されている。

 撮影に使用されるヘリコプターは自社で所有する米ロビンソンの「R44 Raven II」。4人乗りの機体でツアー参加者2名が後席に乗る。いずれも窓際に座れるよう配慮した。加藤氏は前席に乗る。座席位置は抽選となる。

今回のツアーで使用されるヘリコプター。比較的小型のため座席と窓が近く視界が良いとのこと。

 飛行中はヘッドセットによって加藤氏、パイロット、他の参加者とコミュニケーションができる。加藤氏とパイロットがランドマークを教えてくれるため、撮り逃す心配がない。また、気分が悪くなったりした場合もすぐに伝えることができる。

撮影風景。窓は円形に空くようになっており、かなり口径のあるレンズでも対応できる。ヘッドセットからは普段聞くことのできない航空無線のやり取りが聞ける。これもサービスの1つとのこと。

 開けた窓から落下物が発生すると航空事故になるため注意が必要。レンズフードやフィルターは事前に外しておく。

 なお、特に望遠レンズ付のボディは長時間構えていると腕の負担が大きいため、希望者には機内で吊せるゴム紐を貸し出す。ブレの防止にもなる。

レンズやボディを吊すゴム紐も用意されている。

 また、上空ではカメラのGPS機能を入れておくと後から撮影場所がわかって便利とのこと。

 今回、取材のため北関東コースに試乗させてもらった。川島ヘリポートから都心までは10分程(風によって異なる)。取材時は東京タワーとレインボーブリッジを旋回して戻ってくる経路だった。

 都心に向かう途中では、さいたま新都心のビル群やさいたまスーパーアリーナなども見ることができる。さらに飛ぶとサンシャイン60があり、その後すぐに東京ドームが見えてくる。この辺りまで来ると、東京スカイツリーもよく見える。

 続いて神田川を横切り、皇居の脇を通るとまもなく東京ドームに近づき、すぐ後に東京タワーに接近する。ここでは東京タワーと東京スカイツリーのツーショット、レインボーブリッジを背景にした東京タワー、東京タワーの先端のアップなどが撮影可能。望遠レンズなら東京ゲートブリッジも狙える。

 左右どちらの席の参加者も東京タワーを撮影できるように、右回りと左回りで計2回旋回する。飛行高度は600m前後で、東京スカイツリーの高さと同じくらいだ。

撮影例(雄飛航空提供、以下同)

 撮影終了後はヘリポートの一角で作品の講評会を行なう。撮影した写真をテレビに写して加藤氏からアドバイスを受けることができる。また、撮影した写真のうち1枚を額装してもらえる(ツアー料金に含まれる)。

このような形で額装してもらえる。プリントは無反射のラミネート加工がしてあり、ガラス不要で保護できる。
ツアー参加者には加藤氏のカレンダー「ニッポン空中散歩」(えい出版刊、1,260円)がプレゼントされる。

 雄飛航空代表取締役社長の藤間七郎氏は、本田宗一郎氏(本田技研工業創業者)の専属パイロットを務めた経験もあるベテランパイロット。本田氏の「この絶景をほとんどの人が見ないで一生を終えていくのはもったいない」という言葉を受けて、空撮を行なう航空会社を作ったという。藤間氏は、地上からの風景写真に同じ場所の空撮写真を加えて写真集にするといった活用も提案する。「今回のツアーとは別になるが、日光や富士山を撮影するコースも設定できる。早朝に出発すれば、朝日の富士山も撮れる」(藤間氏)という。

雄飛航空代表取締役社長の藤間七郎氏(右)と航空写真家の加藤健志氏(左)。

 ◇ 告知 ◇

 今回、雄飛航空のご厚意で「デジカメ Watchを見た」といって参加すると、夜の部の料金(10万円)が昼の部と同じ8万5,000円に割引となる。対象日は2月が27日・28日、3月が1日・6日・7日・8日。Webサイトから通常通りに夜の部のツアーを購入し、その後のメールで「デジカメ Watchを見た」と伝えると最終決済時に割引金額が適用される。

(本誌:武石修)