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ペンタックスリコー、APS-C世界最小の28mmコンパクト「GR」

TAvモードやEye-Fi選択プッシュ送信も

 ペンタックスリコーイメージングは、リコーブランドのコンパクトデジタルカメラ「GR」を5月下旬に発売する。価格はオープンプライス。直販価格は9万9,800円。(発表会の記事はこちら

 2011年10月にリコーが発売した「GR DIGITAL IV」の後継にあたるシリーズ最新モデル。機種名は「GR」(ジーアール)とした。従来通り、主な撮影フィールドとしてストリートスナップを想定し、写真への興味が強いクリエイティブ層に向けるという。また、機能拡張ファームウェアやカメラの外装などのカスタマイズサービスも引き続き提供していくとしている。

撮像素子がAPS-Cサイズ相当に大型化。小型ボディを維持

 搭載する撮像素子はGR DIGITAL IVの1/1.7型有効1,000万画素CCDセンサーから、APS-Cサイズ相当の有効1,620万画素CMOSセンサーに変更。解像感を重視したというローパスフィルターレス構造を採用し、カメラ内に偽色抑圧や色モアレ補正の機能を搭載した。新画像処理エンジンGR ENGINE Vにより感度はISO25600まで設定可能とする。

1/1.7型CCD(左)から、APS-Cサイズ相当の有効1,620万画素CMOS(右)に変更。フル画素記録時のアスペクト比は3:2となる。

 外形寸法は、35mmフィルムを使用するシリーズ第1号機「GR1」(1996年10月発売)と同寸。GR DIGITAL IVからのサイズアップは幅8.4mm、高さ1.2mm、奥行き2.2mmにとどめ、APS-Cセンサーを搭載するデジタルカメラとして世界最小としている。外装はマグネシウム合金。

 搭載レンズは35mm判換算28mm相当(実焦点距離18.3mm)F2.8。沈胴式で、レンズバリアも備える。レンズ構成は非球面レンズ2枚を含む5群7枚。新規設計により小型化と高性能化を両立したとしている。画像エンジンによる歪曲補正は従来通り行なっていない。

レンズバリアを備える

 最高シャッター速度は1/4,000秒。絞り開放時には1/2,000秒まで設定可能としている。2段分のNDフィルターも内蔵した。最短撮影距離はレンズ前10cm。9枚羽根の円形絞りを採用する。

 CIPA規格でのAF速度は約0.2秒。GR DIGITAL IVにあった外部AFセンサーは省略したが、レンズ駆動方式、AFアルゴリズムの最適化、センサー読み出しの高速化により前モデルを上回る撮影レスポンスとした。起動時間はAFモーターと沈胴モーターを別個に用意することで約1秒に短縮している。連続撮影はRAW記録時で4コマ/秒・4枚まで。同社では「起動・収納・AF・連写のすべてでGR DIGITAL IVよりレスポンスが向上した」としている。

 シャッターボタンの一気押しで予め設定したフォーカス位置で撮影する「フルプレススナップ」を引き続き利用可能。GR DIGITAL IVのような外部AFセンサーによる簡易測距は利用できない。

 マルチパターンAWBは、分割を約4倍に細分化。Dレンジ補正もピクセル単位に細かくなり、エリア分割で発生しがちな縁取りがほぼ見えなくなるとしている。

「TAv」や「35mmクロップ」など新モード。フルHD動画記録に初対応

 露出モードには、ペンタックスの一眼レフカメラと同様の「TAv」ポジションを追加。同モードではマニュアルでシャッタースピードと絞りを固定し、ISO感度で最適化する。

 また、35mm判換算35mm相当の画角でフレーミング・記録できる35mmクロップモードも新たに搭載した。記録画素数は約1,000万画素程度が残るという。

 撮影時とほぼ同じ処理が可能というカメラ内RAW現像も利用できる。

 動画記録は最大1,920×1,080ピクセルのH.264に対応。部分切り出しや、静止画切り出しが可能。本体に無指向性のステレオマイクを内蔵する。

親指AFボタン、プレビューボタンを追加。

 操作部の配置や形状にGR DIGITAL IVから大きな変更はないが、ボディ背面の右手側に新たなボタンを追加した。スライドスイッチによる切り換えで「親指AF」もしくは「C-AF」(中央被写体追従)ボタンとして機能する。

 また、「プレビュー/エフェクト」ボタンをストロボのポップアップスイッチ下側に追加。長押しで実絞りのスルー画を見られるほか、Fn3ボタンとしても使用可能。エフェクト選択メニューの呼び出しや、Eye-Fiカード使用時の送信メニューを割り当てることもできる。

 液晶モニターは白画素入りの3型約123万ドット。新たにハードコートカバーを採用し、表面が傷つきにくくなったとしている。

 バッテリー「DB-65」およびケーブルレリーズ「CA-2」はGR DIGITAL IVから流用可能。対応ワイドコンバージョンレンズ「GW-3」およびフード&アダプター「GH-3」は、新規アクセサリーで、従来モデルからの流用はできない。ワイコン使用時の画角は21mm相当。

GW-3
GH-3

 電源は単4型電池が非対応になったが、USB充電に対応した。バッテリーチャージャーの代わりにUSBケーブルとUSB電源アダプターが付属する。

新エフェクトや「Eye-Fi選択転送」など

 GRでは新CMOSセンサーの採用により、インターバル合成を強化。合成時のつながりがきれいになるという。多重露光モードも引き続き利用できる。

 エフェクト(画像設定)には、「レトロ」と「ハイキー」を追加。ハイキーはトーンカーブが調整され、ハイライトが飛ばないような絵作りになっているという。色味や周辺減光といった画像設定ごとの詳細設定も引き続き用意する。

 無線LAN搭載メモリーカード「Eye-Fi X2」シリーズに対応。従来の連動機能に加え、再生画面から任意画像を選択してスマートフォンのEye-Fiアプリにプッシュ送信できるようになった。新規のFn3ボタンを用いた「2クリック転送」も可能。2段階のリサイズ転送も利用できる。

製品名GRGR DIGITAL IVGR DIGITAL III
発売時期2013年5月下旬2011年10月2009年8月
撮像素子APS-C相当CMOS1/1.7型CCD
アスペクト比3:24:3
有効画素数約1,620万約1,000万
レンズ28mm相当F2.828mm相当F1.9
最短撮影距離
(レンズ前)
10cm1cm
手ブレ補正--
外部AFセンサー--
感度ISO100-25600ISO80-3200ISO64-1600
シャッター速度300-1/4,000秒180-1/2,000秒
バルブ撮影-
インターバル合成-
多重露光-
Eye-Fi連動○(選択画像送信)-
動画記録H.264(最大1,920×1,080)MotionJPEG(最大640×480)
電子水準器2軸1軸
液晶モニター3型123万ドットRGBW3型92万ドットRGB
対応バッテリーDB-65DB-65、DB-60
撮影可能枚数約290枚約390枚約370枚
単4型電池非対応対応(アルカリ×2)
記録メディアSDXC/SDHC/SD(UHS-I対応)SDHC/SD
外形寸法117×61×34.7mm108.6×59.8×32.5mm
撮影時質量約245g約219g

(本誌:鈴木誠)