気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

リコーGR【第4回】

ファームアップで追加された47mmクロップが便利!

 いつものような予告もなく、「GRファームウェアアップデート、バージョン2.03(機能拡張)」が10月3日にリリースされました。しかも、バグフィックスのようなマイナーアップデートではなくて、初めてのアップデートが1から2へという、メジャーバージョンアップ。ちょっとビックリしましたね。

 なかでも、機能拡張として、

  • 再生モード起動時、撮影モードへの切り替えが可能に。
  • Pモードで、開放優先のプログラム線図選択が追加。
  • 35mm(35mm判換算)だけだったクロップ機能に、47mmが追加。
  • [シャッターボタン確定]が追加。

 また、改良点として、

  • 一部シーンでのホワイトバランス「マルチパターンAUTO」の色再現を向上。
  • ISO感度が1600から3200、ノイズリダクション設定を弱・中・強・AUTOで撮影した場合の画質が向上。
  • Eye-Fi選択転送時の安定性が向上。

 というあたりは、すぐに試せて、効果がわかる部分なので、さっそくVer.1.11からアップデートをして、そのいくつかを確かめてみました。

 撮影モードから再生モードに移行するのは、これまでもできましたが、再生ボタン長押しで起動して、再生モードで画像を確認しているときに、シャッターチャンスが! なんてときに、シャッターボタンを全部押せば、撮影モードに切り替わります。半押しで切り替わる機種もあるのですが、“全押し”なので、ご注意を。

 Pモード(とMモード)に開放優先のプログラム線図選択が追加されましたが、これまでの絞りF4始まりのノーマルモードも変更されていて、新しいノーマルモードは、設定したISO感度と露出によって、絞り値が変わります。Pモードで撮影する度に、F2.8の開放に設定し直していた人には、「開放優先」を設定しておくと便利ですね。

 さて、マクロで寄るのが好きな人には、GRのデフォルトの28mm相当(35mm判換算)という画角が広すぎてしまうことがあるのと、APS-CのGRになってから、マクロ時にレンズ前10cmまで(しか)寄れないことを不便に感じることがありました。

クロップモードに「47mm」が加わった。

 最初のバージョンでは、35mm相当のクロップモードが用意されていて、それとアスペクト比(3:2、4:3、1:1)の組み合わせで、なんとか凌いでいたところですが、きっとそういう声が多かったのでしょうね、47mm相当というクロップモードが追加されました。47mmというのは、いわゆるほぼ「標準レンズ」の画角です。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

クロップの比較

デフォルトの28mm相当で撮影。
35mmクロップ。
47mmクロップ。

 クロップ(トリミング)なので、3:2のアスペクト比では、本来4,928×3,264ピクセル(サイズL)ですが、撮像素子の中心部を35mmクロップでは、3,936×2,608ピクセル、47mmクロップでは、2,912×1,936ピクセルの画素を切り出しています。

 センサー面を全部使ってないのは、もったいないと思うこともある反面、簡易ズームのように使えるので、後からトリミングするよりは、先にイメージがつかめるため、やはり便利です。

 2,912×1,936のサイズというのは、もともと用意されている「L」、「M」、「S」、「XS」のフォーマットサイズのうちの「S」のサイズなので、画質的にも、処理的にも、ここまで位なら問題ないと判断したのではないかと想像します。47mmクロップは、センサー中心部の約560万画素程度を使っていることになります。ちなみに、35mmクロップは、1,030万画素程度になります。

 大きく引き延ばしたプリントで楽しむ人は別として、ブログでは横500から800ピクセルの画像を使うことが多く、Facebookでも最大横幅2,048ピクセルなので、47mmクロップでも、すかすかした感じもなく、これはこれで十分な画素数ではないでしょうか。

クロップの比較

デフォルトの28mm相当で撮影。
35mmクロップ
47mmクロップ
画像中央で合焦させなくても、連続写真でみるとズームしているように見えて面白い。

 シャッターボタンで設定項目を確定できるのは、ADJ.モードや露出補正の設定ですが、これはこれまでのGR DIGITALでできていたことなので、IVまでのGRを持っているユーザーは、嬉しいでしょうね。

 そして、Eye-Fi。これは僕のEye-Fi mobiの場合ですが、iPhoneで転送が始まるまでの時間が若干短くなる場合もありますが、あまり劇的な変化はなさそうです。転送に失敗する回数は減りましたが、無くなったわけではありません。それから、今回のバージョンアップの内容には書かれていませんが、マクロや暗いところのAFも、ちょっと迷わなくなったような気もします。これらは、今後使っていく中で、また検証していきたいと思います。

 で、ちょっとしたトラブルがまた発生。これまで僕のGRは、付属のケーブルで、コンセントから本体充電をしていたのですが、このレポートを書いている最中に、まったく充電できなくなりました。最初のレポートでも書きましたが、PCからの充電が上手くいかなかったのと合わせて、修理に持っていくつもりです。

 ISO感度とノイズリダクションは、「撮影設定」の「ISO感度・NR」の項目で設定できます。ノイズリダクションは、AUTOのほかにマニュアルでも設定することが可能ですが、その効き具合は、低感度では「弱」を、高感度では「強」、その間は「中」を、連続して選ぶようになっています。ユーザーの好みにより、低感度から効き始めるようにもできるし、高感度域のみ効くようにもできます。「弱」、「中」、「強」それぞれOFF、あるいはすべてOFFにすることも可能ですが、感度毎に完全に独立して設定することはできません。

ISO感度AUTO時のマニュアルノイズリダクション設定の例。弱/中/強を感度域別に設定する。
各サンプルのサムネイルは上の画像の青枠部分を等倍で切り出しています。クリックするとオリジナル画像を表示します。(ノイズリダクション設定:AUTO)
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO 25600
感度別の画像を見ると、ISO3200までは十分に使える画像です。

 次に、ISO1600とISO3200の時にノイズリダクションOFFとAUTOを比較してみましたが、その効果は分かりやすいですね。

各サンプルのサムネイルは上の画像の青枠部分を等倍で切り出しています。クリックするとオリジナル画像を表示します。
ISO1600 / ノイズリダクションOFF
ISO1600 / ノイズリダクションAUTO
ISO3200 / ノイズリダクションOFF
ISO3200 / ノイズリダクションAUTO

 気になったのは、マルチパターンAUTOホワイトバランスを設定しているとき。画角が変わるとホワイトバランスも変わるのは撮影範囲の違いとして理解できるのですが、下の作例のようにちょっと変わりすぎるケースがあることです。これについては、次回のファームアップで改善があるといいですね。

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 リコーのデジタルカメラは、バグフィックスだけではなくて、カメラ自体の機能が拡張されるアップデートがあることが特徴で、新製品が出ても旧型機のアップデートが継続されたりと、メーカーとしては新しいカメラを買って欲しいところなのに、長く使えるカメラに仕上げていく姿勢は、他のメーカーにもぜひ追従して欲しいところです。

 今後のアップデートにも、期待していますよ!