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LUMIX FZシリーズ3モデルの違いを見てみよう
Reported by 北村智史(2014/6/16 08:00)
一眼レフに近いスタイルのボディに高倍率ズームとEVFを搭載した「FZシリーズ」。従来からの「LUMIX DMC-FZ200」と「LUMIX DMC-FZ70」に、最新モデルの「LUMIX DMC-FZ1000」が加わって、3機種のラインナップとなった。
パッと見の印象は似ているものの、ハイアマチュア向けのFZ200が24倍ズーム、エントリークラスのFZ70には60倍ズーム、レンズ交換式カメラに迫るハイエンドモデルのFZ1000は16倍ズームと、それぞれに位置づけや搭載レンズは大きく異なるし、機能やスペック面での差も大きい。
そんなFZシリーズ3機種の違いについて、今回はチェックしていきたい。
※記事中の価格表記はすべて税込表記です。
ズーム全域F2.8の明るいレンズが魅力――FZ200
- LUMIX DMC-FZ200:実勢価格5万9,800円前後(2012年8月発売)
現行のFZではもっとも発売時期が古いハイアマチュア向けモデル。撮像素子は1/2.3型有効1,210万画素CMOSセンサー。ISO感度の設定範囲はISO100からISO6400まで。
レンズは35mm判換算での焦点距離25-600mm相当で、ズーム全域でF2.8固定というスペック。1/2.3型センサー搭載機としては、比較的大きなボケが得られるのが強みといえる。
フル画素での連写スピードは最高12コマ/秒(連続12コマまで)。AF追従時は5.5コマ/秒となる。EVFは131.2万ドット相当の液晶パネルを採用。表示フレームレートは60fpsと速めだ。
3型、約46万ドットのバリアングル液晶モニターを備えている。EVFとモニターの切り替えはボタンによる手動式。AVCHD Progressive(1,920×1,080ピクセル、60p)で、1,280×720ピクセルで120fpsといったハイスピード動画も撮影できる。
背面に後ダイヤル、3つのFn(ファンクション)ボタン、ズームやフォーカス操作が可能なサイドレバーなどを採用した操作系を持つ。
超望遠撮影に強い60倍ズーム機――FZ70
- LUMIX DMC-FZ70:実勢価格4万500円前後(2013年8月発売)
エントリーユーザー向けのラインで、発売当初の実売価格はFZ200よりも低めの4万8,000円程度だった。撮像素子は1/2.3型の有効1,600万画素CMOSセンサー。最高感度はISO3200までとなる。
搭載レンズは、FZ200のLEICA DC VARIO-ELMARITに比べると格落ち感の否めないLUMIX DC VARIOで、開放F値もF2.8-5.9と平凡だが、光学60倍というハイスペックを誇る。20mm相当の広角から1200mm相当の超望遠までを一気にズームできる楽しさはほかではまず味わえない。また、別売のテレコンバージョンレンズを装着すると、最大2,040mm相当の超望遠撮影も可能だ。
反面、EVFは約20.2万ドットと物足りないし、3型、約46万ドットの液晶モニターも固定式。シャッター最高速も1/2,000秒止まり(FZ200は1/4,000秒まで)と、スペックを抑えられている。
動画はAVCHD(1,920×1,080ピクセル、60p)。ハイスピード動画機能はない。サイドレバーの省略など、操作性の面でもFZ200に譲る。
1型センサー搭載の最新モデル――FZ1000
- LUMIX DMC-FZ1000:想定価格10万円弱(2014年7月17日発売)
1/2.3型センサーの約4倍の面積を持つ1型有効2,010万画素CMOSセンサーを搭載。4CPUの新ヴィーナスエンジン、新マルチプロセスNRなどによって、拡張感度でISO25600を達成した。
レンズはLEICA DC VARIO-ELMARIT 25-400mm相当F2.8-4。大型化を避けるためもあるのだろう、ズーム倍率は16倍に抑えられている。センサーサイズが大きいこともあって、FZ200の約1.8倍(400mm相当の画角での比較)のボケが得られるという。
非球面レンズの表面加工の精度を高めることで、泣きどころだった“タマネギボケ”(点光源などの玉ボケに同心円状のリングが現れること)が軽減されているというのも注目したいポイントだ。
「LUMIX DMC-GH4」譲りの空間認識AFを搭載。AF追従での連写スピードを7コマ/秒にアップした。EVFは約236万ドット、0.7倍相当の高品位なもので、液晶モニターも3型、約92万ドットのバリアングル式としている。
また、レンズ一体型カメラでは世界初となる4K動画、そして、4K動画から切り出して静止画保存できる「4K PHOTO」、120fpsのフルHDハイスピード動画なども見どころだ。
スムーズなズームやフォーカス操作が可能なマニュアルリング、機能のカスタマイズが可能なFnボタンが5つもあるなど、操作性面の配慮もある。泣きどころは、大きさと重さ、そして実売価格の高さといえる。
まとめ
映像表現のおもしろさをいちばんに考えるなら、光学60倍ズームを搭載したFZ70は無視できない。EVFの性能などはおおいに不満だし、機能面でも物足りないが、1,200mm相当の超望遠撮影が手持ちで楽しめ、しかも広角が20mm相当の広さというのは痛快だ。
お手ごろ価格で画質も重視するならFZ200が候補となる。1/2.3型センサーなので限界は高くないものの、600mm相当でF2.8のスペックは、野鳥などの撮影には強い味方となるだろう。バリアングル液晶モニターの便利さも魅力だ。
十分に予算があって、かつ画質と操作性の両方を手に入れたいならFZ1000をおすすめする。センサーサイズが大きい分、画質面では余裕があるし、ボケにこだわったレンズも見どころだ。動画ファンにはレンズ一体型初となる4K動画の搭載も大きな魅力。GH4では予算的に苦しい人には要チェックの1台だ。
比較表
製品名 | FZ1000 | FZ200 | FZ70 |
---|---|---|---|
撮像素子サイズ | 1型 | 1/2.3型 | |
有効画素数 | 2,010万 | 1,210万 | 1,610万 |
最高感度 | ISO25600 | ISO6400 | ISO3200 |
レンズ | 25-400mm相当 F2.8-4 | 25-600mm相当 F2.8 | 20-1,200mm相当 F2.8-5.9 |
ズーム倍率 | 16倍 | 24倍 | 60倍 |
マニュアルズーム | ○ | ― | |
最短撮影距離(広角端) | 3cm | 1cm | 1cm |
最短撮影距離(望遠端) | 1m | 1m | 1.5m |
記録媒体 | SDXC/SDHC/SDメモリーカード | ||
連写性能(AF追従) | 約7コマ/秒 | 約5.5コマ/秒 | 約5コマ/秒 |
連写性能(ピント固定) | 約12コマ/秒 | 約9コマ/秒 | |
内蔵EVF | 0.39型 約236万ドット | 0.2型 約131万ドット相当 | 0.2型 約20.2万ドット相当 |
液晶モニター | 3型約92万ドット | 3型約46万ドット | |
液晶モニター可動 | フリーアングル | 固定 | |
内蔵ストロボ | ○ | ||
HD動画 | 最高1,920×1,080/60p | 最高1,920×1,080/60i | |
4K動画 | 3,840×2,160/30p | ― | |
Wi-Fi | ○ | ― | |
幅 | 136.8mm | 125.2mm | 130.2mm |
高さ | 98.5mm | 86.6mm | 97.0mm |
奥行き | 130.7mm | 110.2mm | 118.2mm |
質量 | 約831g | 約588g | 約606g |
※レンズの焦点距離は35mm判換算値
※最短撮影距離はマクロモード時
※質量はバッテリー、メモリーカード含む