糸崎公朗写真展「反-反写真」(TAP Gallery)


芸術の分野には「反芸術」という言葉がありますが、私は同じ流れの中で「反写真」とも言える表現をこれまで追求してきました。
私はいわゆる「普通の写真」を伝統的で古い表現と見なし、それに対する「反写真」として作品展開をしてきたつもりでした。
それが、視点移動のコラージュである「ツギラマ」や、プリントを立体構成した「フォトモ」など、私が独特に追求してきた写真表現なのです。

しかしある時ふと、自分自身が「写真とは何か?」をろくに知らないまま、闇雲にそれに反抗しているに過ぎないことに気付きました。
実は私は「写真が分からない」のであり、もっと言えば「写真が嫌い」なのであって、だから独自の「反写真」を追求してきました。
そしてそのような思考の矛盾と、認識の不徹底さについて、あらためて気付いたのでした。

私はこれまで目を背けていた「写真とは何か?」という問いに、あらためて向き合うことにしました。
しかし「写真とは何か?」をただ考えているだけでは意味がありません。
そこで私は「学ぶは真似ぶ」の言葉に倣い、多くの写真家たちが撮影する「モノクロスナップ」を、真似て撮ってみることにしたのです。
分からないままにとにかく模倣して撮り続けると、だんだん「写真の分からなさ」の深みが理解できるような気がしてきて、撮る行為にのめり込むようになりました。

そして、この自分にとっての「新しい写真」を、「反写真」をさらに反転させた「反-反写真」と名付けることにしました。
「反-反写真」とは360°回って普通の「写真」に戻っているのですが、認識や思考の「迂回」がそこには含まれています。
そもそも、過去を直截に否定する「反芸術」や「反写真」の思考そのものが、20世紀の遺物でありました。
ですから「反-反写真」のような迂回こそが、21世紀の現代に相応しい「写真とは何か?」という問いかけではないかと思うのです。

デジタルによるモノクロ写真約20点。(写真展情報より)

 ギャラリートーク「写真とは何か? とは何か?」を4月6日の18時30分から開催する。ゲストは山方伸氏。

  • 名称:糸崎公朗写真展「反-反写真」
  • 会場:TAP Gallery
  • 住所:東京都江東区三好3-2-8
  • 開催日:2012年4月3日~2011年4月15日
  • 時間:13時~19時
  • 休館:月曜




(本誌:武石修)

2012/3/19 21:34