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剛性が高く赤道儀を使った天の川の撮影にも対応できるスリック「プロ 700 DX-IV」

石巻の東日本大震災からの復興を願って設置された白い鹿のオブジェ。その視線の先には、静かに広がる星空がある。人々の祈りと、夜空の美しさが交差する。石巻市観光課およびReborn-Art Festivalの協力のもと、許可を得て撮影した
ソニー α7R V/シグマ 28mm F1.4 DG HSM|Art/28mm/マニュアル露出/WB:オート
星空(F2.8、90秒、ISO 2500)
地上(F2.8、15秒、ISO 6400)

私は、日本各地を訪れながら、星空と風景を組み合わせた星空風景写真の撮影を行っている。星の位置自体は、日本国内では緯度による違いこそあれ、大きく変わることはない。しかし、前景として写す風景が変われば、星空が描く物語はまったく異なるものになる。そのため、「どこで撮るか」が星空風景写真において極めて重要であり、全国を旅する動機にもなっている。

HARLOCK

1981年福岡県生まれ。空間デザイナーとして働く傍ら、「物語の一ページのような星空」をテーマに日本各地を巡り星空を撮影している。ミウラ×東京カメラ部「未来に残したい星空フォトコンテスト」最優秀賞。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年8月号』より転載・加筆したものです。

暗闇でも直感的に操作できる信頼性の高さが魅力

星が見える場所は当然ながら周囲が暗く、長時間露光による撮影が求められる。さらに星の動きを補正するため、赤道儀を用いた追尾撮影の機会も多い。こうした撮影環境ではわずかなブレも作品のクオリティーに影響するため、機材をしっかりと支える安定した三脚の存在が不可欠だ。

私が使用しているのは、スリックの「プロ 700 DX-IV」。このモデルは、スリック伝統の25°の開脚設計により優れた安定性を誇り、海辺や山岳地など足場の悪い場所でも安心して設置できる。また、撮影地が全国に広がるため携帯性も重要だが、高い剛性と持ち運びやすさを両立しており、旅先での使用にも適している。

プロ 700 DX-IV
発売日:2025年4月11日
実勢価格:4万3,000円前後(税込)

●SPECIFICATION
全高:1,920mm
エレベーター下げ全高:1,540mm
地上最低高:395mm
エレベータースライド幅:380mm
縮長:760mm
パイプ形状・径/段数:30.2mm/3段
質量:3,385g
三脚の装備機能:Wナット
エレベーターの種類:分割センターポール式
最大搭載質量:7kg(脚最大荷重:18kg)
脚ロック方式:レバー式脚ロック
エレベーター下部ネジ:反転式EV
水準器の種類:3軸水準器
カメラ台のサイズ:57×76mm
雲台分離可:分離可
※標準の3ウェイ雲台を装備した状態の仕様です

さらに特筆すべきは操作性だ。暗闇での撮影ではライトをつけずに機材を扱うことも多いが、700 DX-IVのレバーロック式の脚固定機構は直感的かつ確実に操作でき、撮影リズムを損なわない。現場での操作性の高さこそが、信頼できる道具の証しと言える。

星空を、風景とともに作品として残す。そのために必要な安定感、携帯性、操作性のバランスを高次元に兼ね備えたプロ 700 DX-IVは、星空風景写真に理想的な1本として、自信を持って推奨できるモデルだ。

プロ 700 DX-IV 3つの特徴

POINT 1|三脚が安定する開脚角度25°

開脚ストッパーを引き出すことでハイ、ミドル、ローの3段階で開脚角度を調整できる。標準の角度は25°で、スリックは伝統的にこの角度を採用している。広いスタンスでしっかり地面を捉えるため、安定感が非常に高い

POINT 2|スムーズで確実に止められる

レバー式はワンタッチで簡単に固定できるのが魅力だ。脚を固定するハウジング部分に金属を採用して固定力を強化。A.M.Tパイプを使用することで固く締めてもパイプがゆがむことがない

POINT 3|剛性の高いA.M.Tパイプを採用

剛性の高いA.M.T(アルミ・マグネシウム・チタン)パイプを採用。チタンを配合することで高い剛性を保ちつつ、軽量化がはかれる。700 DX-IVでは0.8mmの薄さを実現。脚部の質量が2.4kgと驚異の軽さだ

星空撮影に最適な組み合わせ機材

CHOICE 1|保持力が高くブレに強い自由雲台

SBH-255 DM
実勢価格:1万7,000円前後(税込)

優れた保持力と高い安定性を誇り、赤道儀での追尾撮影によるカメラの傾きをしっかりと支えてくれる自由雲台。細かなブレを抑えることで、長時間露光が求められるシーンでも、安心して構図に集中できる信頼性の高い雲台だ

CHOICE 2|ポータブル赤道儀の定番モデル

ケンコー スカイメモS
実勢価格:3万6,000円前後(税込)

ケンコー スカイメモSは、直感的に扱えるシンプルな操作性を備えつつ、高精度な追尾性能を発揮する頼もしい一台。寒冷地や強風下といった過酷な環境下でも安定して星を追い続け、星空風景写真における確かな相棒となってくれる

CHOICE 3|高い精度で調整できる微動雲台

SMH-250
実勢価格:1万2,000円前後(税込)

方位および高度の微調整を高精度かつスムーズに行える設計が魅力。赤道儀の極軸合わせを確実に行えるため、撮影の精度向上に大きく貢献する。直感的な操作性により、セッティングの時間を短縮できる点も実践的だ

作品例

奈良県宇陀市にたたずむ又兵衛桜と天の川を1枚の写真に収めた。幹周はおよそ3m、高さ13mを誇る見事な枝垂れ桜で、樹齢300年とも言われる。静かに咲き誇るその姿には、時を超えて受け継がれる生命の力にロマンを感じる
ソニー α7R V/シグマ 28mm F1.4 DG HSM|Art/28mm/マニュアル露出/WB:オート
星空(F2.8、90秒、ISO 2500)
地上(F2.8、15秒、ISO 6400)
曽爾高原で撮影。一面に広がる緑の草原と、夏の夜空に凛と立ち昇る天の川が織りなす光景を、階段を少し登った高所から俯瞰の構図で捉えた。足場が限られる場所でも、三脚の安定性のおかげで構図決めから撮影までスムーズだ
ソニー α7R V/FE 14mm F1.8 GM/14mm/マニュアル露出/WB:オート
星空(F3.5、120秒、ISO 2000)
地上(F2、10秒、ISO 8000)
HARLOCK