旧竹林院のライトアップイベント。超広角の15mmでカラフルに染まる庭の様子をリフレクションとともに写し込んだ。複雑な色が破綻することなく描き分けられている
キヤノン EOS R5 Mark II/RF15-35mm F2.8 L IS USM/15mm/絞り優先AE(F2.8、1秒、-0.3EV)/ISO 800/WB:オート 5本の指を高く掲げて手を合わせる。キヤノンの「EOS R5 Mark II」は、結果を見て思わずハイタッチをしたくなるような、感動的な撮影体験ができるカメラに仕上がっている。EOS R5を超える存在として進化を遂げた次世代機の魅力と愛用するRFレンズを、写真家としても精力的に活動する湘南乃風 SHOCK EYEさんにインタビューで語ってもらった。(聞き手:福島晃/デジタルカメラマガジン編集長)
SHOCK EYE
神奈川県生まれ。RED RICE、若旦那、HAN-KUNと共に「湘南乃風」を結成。ヒット曲「純恋歌」「睡蓮花」は幅広い世代で歌い継がれている。プロデューサーとしても、ハロー!プロジェクト、WEST.、YouTuberのフィッシャーズなどへの楽曲提供を行う。近年では、インスタグラム上で会員限定のコンテンツ「Shrinegram」を運営するなど、音楽以外でも幅広い活動を行っている。著書に『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている運気アップの習慣』(共に講談社)『SHOCK EYEの強運思考』(ダイヤモンド社)『待ち受けにしたくなる』(講談社)がある。2025年1月に写真展「写力-シャリキ-」を博多阪急にて開催した。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年2月号』より転載・加筆したものです。
発売日:2024年8月30日
キヤノンオンラインショップ参考価格(税込):65万4,500円(ボディ)、80万8,500円(RF24-105L IS USM レンズキット)
●SPECIFICATION
イメージセンサー:約4,500万画素(裏面照射積層型)
画像処理エンジン:DIGIC X & DIGIC Accelerator
常用感度:ISO 100~51200
最高シャッター速度:1/32,000秒(電子)、1/8,000秒(メカ)
最高連写速度:約30コマ/秒(電子)、約12コマ/秒(メカ)
手ブレ補正:周辺協調制御&5軸対応、中央8.5段、周辺7.5段
動画記録:8K/60p 他
ファインダー(倍率):0.5型・約576万ドット(約0.76倍)
外形寸法(W×H×D):約138.5×101.2×93.5mm
質量(バッテリー・カード含む):約746g 最新のテクノロジーによる緻密な描写で日本の伝統と風景の美意識を伝えたい
——もともとEOS R5を導入されたきっかけはどこにあったのでしょうか?
最近は風景写真を撮っていますが、カメラを購入したきっかけは長男が生まれたタイミングで、子どもや日常を撮るためでした。当時はEOS 5D Mark IIを使っていたのですが、その頃からEOSの色みや画作りが好きだったので、風景を撮るにあたり高画素のEOS R5を導入しました。持ち出しやすいサイズなのに約4,500万画素というのが気に入っています。
ライトアップされた幻想的な和傘で彩られた壺阪寺の大仏。EOS特有の温かみのある画作りで、カラフルな和傘の色が浮かび上がり、優しい印象に仕上がった
キヤノン EOS R5 Mark II/RF24-70mm F2.8 L IS USM/70mm/絞り優先AE(F16、6秒、±0EV)/ISO 100/WB:オート ——その次世代版であるEOS R5 Mark IIを使って、どう進化を感じましたか?
まず、操作系では電源スイッチが右側に移動したことですね。チャンスがあったらすぐに電源をオンにして撮影体勢に入れるのが便利です。同じR5シリーズなので、操作感は良い意味で大きく変わらないのですが、久しぶりにEOS R5を触り直すと、メニュー周りを含め細かくブラッシュアップされていることに気付きます。
EOS R5では左側にあった電源スイッチがEOS R5 Mark IIでは右側に移動しているので、撮影がスムーズに開始できる ——風景写真では新しいノイズ低減機能も役に立ったのではないでしょうか?
ニューラルネットワークノイズ低減ですね。最近は寺社のライトアップイベントに行くことが多いのですが、光量が少ないシチュエーションで撮ることになります。三脚が使えない場所も多く、ISO感度を上げざるを得ないこともありますが、EOS R5 Mark IIはもともとの高感度耐性が高い上に、ニューラルネットワークノイズ低減もかけられるので、ディテールをしっかりと残せるのがうれしいです。
ニューラルネットワークノイズ低減
ディープラーニング技術に基づくノイズ除去が可能で、通常の高感度撮影時のノイズ低減機能に比べてディテールを維持しながらノイズが除去される。下の写真は岐阜県の東光寺で許可を得て撮影したセルフショットだが、傘の質感を維持しながらノイズが消えている。
キヤノン EOS R5 Mark II/RF135mm F1.8 L IS USM/135mm/絞り優先AE(F1.8、1/25秒、-0.7EV)/ISO 1600/WB:オート/ニューラルネットワークノイズ低減(標準) 和傘の質感を損なうことなく、傘の表面や背景のボケに乗ったノイズが消えている ——SHOCK EYEさんはレンズ選びも含めて画質へのこだわりを感じます。
ありがたいことに展示で大きくプリントさせていただく機会が多いので、どうしても画素数や画作りに納得がいくものを使いたいんです。RFレンズもいろいろ試して大三元ズームに落ち着きました。
SHOCK EYEが風景写真でおすすめするRFレンズ4本
RF15-35mm F2.8 L IS USM
風景撮影のベストレンズと言えるお気に入りの1本で使用頻度が高い。超広角域であっても周辺まで繊細に描写され、太陽を入れて絞ると鋭い光条が描ける RF24-70mm F2.8 L IS USM
常用している大口径標準ズーム。24mmスタートなのでレンズ交換があまりできないシチュエーションでも、広角から望遠寄りの画まで幅広く表現可能。描写も繊細でクリアだ RF70-200mm F2.8 L IS USM
絞ると望遠らしいシャープで圧縮感のある風景が撮影可能。一方で開放絞りのボケをうまく利用することで、まったく異なるアプローチも狙えて、表現意欲を刺激する。小さく収納しやすいサイズも魅力 RF135mm F1.8 L IS USM
圧縮効果と豊かなボケが写真に独特の空気感を与える単焦点レンズ。その描写力によって、写真は平面のデータでしかないが、紛れもなく空間を切り取っているのだと実感させてくれる 琵琶湖のほとりにある山王鳥居に、雲間から一瞬差し込んだ太陽の光を光条として捉えてアクセントにした。逆光で明暗差のある条件だが、豊富な階調で立体的に描写された
キヤノン EOS R5 Mark II/RF15-35mm F2.8 L IS USM/15mm/絞り優先AE(F20、1/160秒、±0EV)/ISO 100/WB:オート ハート型の正寿院の窓からは、四季ごとに彩りの違う景色が見られる。RF70-200mm F2.8 L IS USMの開放絞りで切り取ると、カラフルなボケが窓の向こうに描かれた
キヤノン EOS R5 Mark II/RF70-200mm F2.8 L IS USM/147mm/絞り優先AE(F2.8、1/13秒、±0EV)/ISO 100/WB:オート 参道に流れる独特の空気をRF135mm F1.8 L IS USMの圧縮効果とボケで写真に閉じ込めた。緑のボリュームがちょうど良いF値を探ってシャッターを切ると、対比的に鳥居の朱色が際立った
キヤノン EOS R5 Mark II/RF135mm F1.8 L IS USM/135mm/絞り優先AE(F2.8、1/80秒、±0EV)/ISO 100/WB:オート ——画素という点では新機能のカメラ内アップスケーリングは試されましたか?
本当はもっと寄りで撮りたいけれど、超望遠レンズを持っていないときに、クロップしても十分な画素数を維持できるのが良いですね。一般的なソフトを使うより自然な感じで画像が生成されるので、積極的に使えそうです。SNSに投稿するには縦位置が良いけれど、後々写真展で展示したいから横位置も押さえたいといった状況でも、この機能で画素数を稼げば、横位置で撮った後で縦位置に切り出せるでしょうし、使い手のアイデア1つで表現の幅が広がるなと感じています。
自然が作り上げた月と、人の手で作られた東京タワーを組み合わせるというテーマで撮影。理想的な構図にトリミングするために、カメラ内アップスケーリングを活用している
キヤノン EOS R5 Mark II/RF70-200mm F2.8 L IS USM/200mm/絞り優先AE(F6.3、1/2秒、±0EV)/ISO 320/WB:オート/カメラ内アップスケーリング カメラ内アップスケーリング
画素数を元の4倍となる約1億7,900万画素へとアップスケーリングする機能。1枚の写真から撮影後に処理できるのでさまざまなシーンで使える。上の東京タワーの写真に適用すると、鉄骨が精細に描写された。
ディテールまで自然に再現された状態で高解像度画像が生成される ——野鳥など動体撮影のクロップに重宝している人も多いみたいです。
動体といえば、僕も今回、ハグロトンボという体長5~6cmしかない小さなトンボを撮ったんです。動体撮影の技術が僕にはないのですが、EOS R5 Mark IIは素早く動く小さな被写体にAFが追従してくれて驚きました。
神様トンボとも呼ばれるハグロトンボが、2匹連なって飛んでいた。2匹が向き合い、ハート型に羽が広がる瞬間が撮れたのは、EOS R5 Mark IIのAFと連写性能のたまものだ
キヤノン EOS R5 Mark II/RF70-200mm F2.8 L IS USM/200mm/絞り優先AE(F2.8、1/800秒、-0.3EV)/ISO 800/WB:オート ——200mmのF2.8で被写界深度も浅いし、カメラにとっても、かなり難しい状況だと思います。
本当に撮れて良かったです。EOS R5 Mark IIはAFや連写面での進化も多く、風景撮影がメインの僕では能力を持て余すのではと心配な部分もありました。でも、実際には写真でも音楽でも、持て余すかもというレベルの道具を使うことで、それに見合う技術を身に付けようという意欲が湧いてくるものです。自身を高めるために、道具が教えてくれることもある。EOS R5 Mark IIもそんな道具だと思います。
参道を彩る紅葉のグラデーションと、日光東照宮に参拝に訪ねてきた人々のにぎやかな様子をRF70-200mm F2.8 L IS USMの望遠端を使い、程よい圧縮感で切り取った
キヤノン EOS R5 Mark II/RF70-200mm F2.8 L IS USM/200mm/絞り優先AE(F2.8、1/15秒、±0EV)/ISO 400/WB:オート 関宿城から利根川大花火大会を撮影。広角寄りの画角であえて前景に人を入れることで、大輪の花火を見上げるスケール感を引き出した
キヤノン EOS R5 Mark II/RF24-70mm F2.8 L IS USM/30mm/マニュアル露出(F14、8.6秒)/ISO 100/WB:オート