トピック

いま買うべきカメラとRFレンズ——ルーク・オザワ

ヒコーキの撮影に欠かせない「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」

APS-CモデルのEOS R7と組み合わせることで800mm相当を実現。羽田空港から離陸する国際線のエンジンブラストを迫力いっぱいに捉えた
キヤノン EOS R7/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/500mm(800mm相当)/絞り優先AE(F7、1/500秒、-0.3EV)/ISO 1000/WB:オート

ラインアップが多彩なEOS RシリーズとRFレンズ。各ジャンルのプロフェッショナルがいま推したいカメラとレンズを徹底解説! 飛行機、スナップ、ポートレートの3シーンでおすすめの機材を紹介する。第1回はルーク・オザワさんが航空機を撮影するならまず導入すべきレンズをセレクトする。

ルーク・オザワ

1959年、東京都生まれ。1973年から羽田でヒコーキを撮り始めて50年以上。風景とヒコーキを絡めた絵作りには定評があり、手掛けたカレンダーはANAをはじめ350作を越える

※本企画は『デジタルカメラマガジン2024年5月号』より転載・加筆したものです。

撮影地が限られる空港でバリエーションが広がる

ヒコーキ撮影のためにRFレンズを1本おすすめするならば、間違いなくRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMになるだろう。

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
キヤノンオンラインショップ参考価格:41万5,800円(税込)

100mmから超望遠域の500mmまでを1本でカバーできる5倍ズーム。EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMに比べて200g軽量化され、撮影時の負担も軽減できる。UDレンズやスーパーUDレンズが採用され、望遠端に至るまで高い解像力を発揮する

旅客機の撮影地は空港とその周辺がほとんどだが、基本的に撮影ポイントが限定されるのでズーム倍率が撮影結果に直結する。その点で、100-500mmは旅客機撮影で必要な画角の大半を1本でカバーできてしまう。旅客機が遠い位置でも、500mmを使えば迫力が出せるし、機種や行き先によって異なる離陸のタイミングに合わせてズーミングすれば、構図の調整も容易だ。

また、離着陸が少ない地方空港などは1日に撮影できる回数が限られるが、このレンズがあれば、一度のチャンスで広角側と望遠側で異なる構図で撮影できて、バリエーションが大きく広がる。

緑が美しい夏の熊本空港。離陸する飛行機と背景にある特徴的な稜線を持つ2つの山を入れるために186mmに画角を調整した。構図の柔軟性がズームレンズの魅力だ
キヤノン EOS R3/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/186mm/絞り優先AE(F5.6、1/1,600秒、-0.3EV)/ISO 400/WB:オート

フィルター径は77mmと、最初の1本として選ぶ人が多いRF24-105mm F4 L IS USMと共通。ヒコーキ撮影で多用するPLフィルターを2本のレンズで使い回せることもメリットだ。望遠端の開放F7.1という数値を見て、暗いと感じる人がいるかもしれないが、最近のEOS Rシステムは高感度に強いし、開放F値によってAF性能が変わらないので、その心配は杞憂だ。

画質はRFレンズらしくシャープで繊細。その繊細さは、フルサイズ機の1.6倍(クロップ)を用いても損なわれないので、800mm相当の構図まで1本で対応できる。何でも撮れてしまう万能な超望遠ズームなので、ヒコーキ撮影を始めるために導入してまず後悔することがない1本だ。

ズーミングで印象を大きく変える

下の2枚は同じ位置から撮影したもの。広角側では積雲全体を捉えることで風景的に描き、望遠側では雲を抜けようとする勇ましい印象を捉えた。一度のチャンスで振り幅の違う写真が撮れることがこのレンズ最大の魅力。

176mm
刻々と変化する積雲の状態に合わせてズーミングして、画面いっぱいの積雲にヒコーキを点景として配置。雄大な空の旅のスケール感を描いた
キヤノン EOS R6 Mark II/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/176mm/絞り優先AE(F8、1/2,000秒、-0.7EV)/ISO 400/WB:オート
450mm
望遠側の450mmで切り取ると、厚い雲を抜けようとするヒコーキの雄姿を表現できる
キヤノン EOS R6 Mark II/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/450mm/絞り優先AE(F8、1/1,600秒、-0.3EV)/ISO 400/WB:オート

クロップ機能を使うと最大で800mm相当まで狙える

カメラに搭載されている1.6倍クロップ機能を併用すると、フルサイズ機でも800mm相当の画角で撮影可能。ズーム倍率が高いRF100-500mmの長所をさらに強化できる。100mmで旅客機全体が収まるポジションからの撮影でも、1.6倍(クロップ)で800mm相当にすればノーズやコックピットをクローズアップできるほどだ。

100mm
500mm
800mm/1.6倍(クロップ)

ヒコーキ撮影でおすすめしたいカメラは個性が異なる3モデル

カメラは複数台を使い分けているが、1台選ぶなら旅客機対応の被写体検出AFが搭載されているEOS R6 Mark IIだろう。

EOS R6 Mark II
キヤノンオンラインショップ参考価格:39万6,000円(税込)

望遠効果と価格を重要視する人はクロップ効果や小型化の恩恵が得られるAPS-C機のEOS R7も良い。

EOS R7
キヤノンオンラインショップ参考価格:20万3,500円(税込)

夜間撮影が多いなら、EOS R6 Mark II以上に高感度性能が高いEOS R3が最有力。被写体検出AFこそ旅客機に対応していないが、AFフレームを視線入力で選択できる。

EOS R3
キヤノンオンラインショップ参考価格:79万2,000円(税込)
おぼろ月に斜めから飛び込んで来るヒコーキ。ズーミングで重なりを調整しながら捉えた1枚だ。この暗さでもAFが機能する。ISO 51200でも画質が破綻しないEOS R3の強みが出せた写真だ
キヤノン EOS R3/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/400mm/絞り優先AE(F6.4、1/500秒、-0.3EV)/ISO 51200/WB:オート

トラッキングAFを活用する

EOS R3、R6 Mark II、R7共に、サーボAF中に画面全域で被写体をトラッキングできる機能が搭載されている。ゾーン系のAFフレームに設定しておいて一度ヒコーキにピントを合わせたら、AFフレームから外れた後も追尾を続けてくれる。

サーボAF中の全域トラッキングを「する」に設定しておけば、一度捉えた被写体を追尾してくれる
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