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鉄道写真必携! 青空を背景に撮るための「H&Y REVORING Swiftシステム」

※本企画はムック『超・鉄道風景 撮影ガイド』より転載・加筆したものです。

鉄道風景の表現幅を広げる画期的なフィルターシステム

美しい景色の中を列車が走る鉄道風景や、逆光を利用したり、流し撮りをするなど、イメージカットを撮る場合、フィルターはさまざまな表現を可能にしてくれるので欠かせないアイテムだ。ただし、鉄道写真は時間との勝負である。気象条件など現場の状況を考慮した上で、列車の時間に合わせて撮影場所を急きょ変更したり撮り方を変えたりする場面も多い。

そんなときこそH&YのREVORING Swiftシステムが役に立つのだ。ベースとなるREVORINGはレンズ径がある程度異なっていても共用でき、ブリッジ以下はマグネット式なので着脱が簡単で、フィルターを重ねる場合もワンタッチ。一刻を争う鉄道写真にとっては大変重宝するシステムだ。

山﨑友也さんの愛用システム

【ベース】 67-82mm REVORING Swift マグネティック可変式アダプター
【ブリッジ】 (RD100)Swiftマグネティックドロップインフィルターラック
【ドロップインフィルター】 100mm K-SeriesドロップインCPLフィルター
【ホルダー】 Swift マグネティック 100mmフィルターホルダー
【ハーフNDフィルター】 100x150mm K-SeriesソフトGND16
【NDフィルター】 100x100mm K-Series ND16フィルター

REVORING Swiftシステムの装着手順

STEP①ベースとなる可変式アダプターを装着

アダプターの側面を両指で挟むように持ち、右手の指は時計方向に、左手の指は反時計方向にリングを回し、ブレードの径を小さくする。そのままの状態でブレードの溝がある方をレンズの溝に合わせたら、あとは手を離すだけ。

STEP②フィルターラック付きのブリッジを装着

今回はブリッジとしてドロップインフィルターラックを使用する。装着はいたって簡単。ベースとなる可変式アダプターの上にくっつけるだけ。マグネットでピタリと簡単かつ強力に装着できる。

STEP③ホルダーにアクセサリーを装着

アクセサリーとなる100mmフィルターホルダーのレンズ側に凹んでいる部分が左右に2カ所あるので、そこをブリッジの凸状の部分と合わせて装着する。ここがきちんと合っていないと脱落の原因にもなるので注意しよう。

GNDで空の階調を美しく描く

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キヤノン EOS R5/RF15-35mm F2.8 L IS USM/35mm/マニュアル露出(F11、1/500秒)/ISO 200/WB:太陽光/多摩都市モノレール 甲州街道~柴崎体育館

太陽を逆光で狙い、その輪郭と光芒を表現したければ、露出をアンダー目にして絞って撮ると良い。しかし、空は青く写せるが、そこに写るそのほかの被写体は当然黒くつぶれてしまう。そこでハーフGNDの登場だ。このソフトGND16は画面の一部のみの減光が可能で、なだらかなグラデーションがついているので描写に違和感がなく使いやすい。おかげで空のトーンを生かしつつ、モノレールもつぶれることなく撮影できた。

マグネットで瞬時に取り付けが可能

GNDとCPLで富士山をよりくっきりと

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キヤノン EOS R5/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/300mm/マニュアル露出(F5.6、1/800秒)/ISO 800/WB:太陽光/南武線 南多摩~府中本町

空の色がまだ薄く、ソフトGNDだけだと青空が不自然に濃くなってしまう。そこでCPLフィルターを使用して光の拡散を抑えつつ、富士山の輪郭を強調して空の青さも加える。しかしCPLフィルターの効果はこの場所からだと富士山の左側に偏って出てしまうので、青空を均一な濃度に近づけるため、ソフトGNDの効果が画面右側に強くなるよう斜めに使用する。ホルダーやブリッジはベースとマグネットで重なっているため、フィルターの向きを変えることも簡単だ。

ブリッジのフィルターラックにドロップインを入れるだけなので瞬時に着脱が可能

さらにNDをプラスしてスローシャッター表現

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キヤノン EOS R5/RF15-35mm F2.8 L IS USM/22mm/マニュアル露出(F4、1/8秒)/ISO 200/WB:太陽光/八高線 小宮~拝島

列車の躍動感や臨場感を出すためには、あえてスローシャッターで列車をぶらすという手法も効果的だ。ただこの撮影地は逆光のため、空が白飛びしないようソフトGNDを使用する。加えて水面の反射を抑えて川底を見せ、写真に立体感を表すためにCPLフィルターをドロップイン。さらにスローシャッターが使用できるようNDフィルターを加えて減光する。このシステムは角型フィルターがマグネット式なので簡単に重ねられ、平面性も高いので重ねても画質も損ねない。

ハーフNDの上から重ねて付けるだけなのですぐに減光効果も加えられる
山﨑友也

1970年広島生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。鉄道写真専門のフォトライブラリー「レイルマンフォトオフィス」代表。独自の視点から鉄道写真を多彩に表現し、出版や広告など幅広い分野で活動中。