トピック

「RF135mm F1.8 L IS USM」のボケ味で奏でる輝きポートレート

極上の描写力にRAW現像を加えてより美しい作品に

大口径135mmのレンズは大きなボケや圧縮効果を生み出しやすく、ポートレートの撮影に最適と言われる人気の焦点距離です。その定番レンズがRFのラインアップにも新たに加わりました。

そこで、フォトグラファーのMizükiさんに“輝きポートレート”をテーマに、RF135mmを携えて街中のイルミネーションを捉えていただきました。

その際立つ描写力と共に、Lightroom Classicを使用してさらに優れたポートレート作品に昇華させるための現像テクニックも合わせて紹介していただきます。(編集部)

Mizüki

元々いろいろな所へ出掛けるのが好きで、思い出をきれいに残せるようにと写真の世界へ。日本の四季に魅力を感じ、ポートレートと四季の風景を合わせた写真を発信したくなり、2019年12月からInstagramを運用し始め、今では約10万人のフォロワーを持つ。

※本企画は「デジタルカメラマガジン2023年2月号」より抜粋・再構成したものになります。

RF135mm F1.8 L IS USMはキレ味のある解像感と美しいボケ味の両立、70cmの最短撮影距離など、まさにポートレートレンズと呼ぶにふさわしい性能を有している。ボディ内手ブレ補正搭載カメラとの組み合わせによる協調8.0段の手ブレ補正も強力で、ISO感度を抑えながらもブレのない撮影をできる頼もしさがある。

キヤノン RF135mm F1.8 L IS USM
レンズ構成:12群17枚
最小絞り:F22
絞り羽根枚数:9枚
最短撮影距離:0.7m
最大撮影倍率:0.26倍
フィルター径:82mm
最大径×全長:約89.2×130.3mm
質量:約935g

発売日/価格:2023年1月26日/オープン
※キヤノンオンラインショップ参考価格:33万8,800円

高い解像度と柔らかいボケで人物を引き立てる

135mmは中望遠域なので、開放絞りでは被写界深度がとても浅く、体を少し斜めに向けるだけで、反対側の瞳がぼけるほどだ。それでも、開放絞りから抜群の解像感を発揮してくれるこのレンズは、ついつい開放でシャッターを切りたくなってしまう。

そんな衝動を抑えつつ、ここではF2とほんの少しだけ絞り、左目全体がしっかりと解像するように調整した。ピント面の解像感による立体感と柔らかく美しいボケ味は被写体を際立ててくれ、ポートレートを撮影する上でとても魅力的だ。

瞳に映るキャッチライトやまつ毛の立体感をも表現できることによって、きらきらと輝く華やかな印象のポートレートを撮影することができた。

EOS R6 Mark Ⅱ/RF135mm F1.8 L IS USM/絞り優先AE(F2、1/50秒、±0EV)/ISO 800/WB:オート

現像テクニック:明瞭度を調整して、ボケを柔らかく仕上げる

美しい解像感を、背景のボケをふんわりさせることでさらに強調していく。

外観の項目の明瞭度をマイナスに下げていくと光のボケの輪郭がふわっとにじんでいくのが分かるだろう。明瞭度を下げ過ぎてしまうと解像感が失われるので-20程度にした。このとき、テクスチャを+5とわずかに上げることで、ピント面はにじまずにディテールを保つことができる。

背景に光のボケがあるようなシーンで使えるテクニックだ。

「基本補正」の外観の項目で明瞭度を-20程度下げる。そうすることできれいなボケ味にふんわりとした印象が加わった。

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BEFORE(左)、AFTER(右)

さらにテクスチャを少しだけ上げる。明瞭度を下げたことで弱まってしまった解像感を取り戻すためだ。

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BEFORE(左)、AFTER(右)

きらめく玉ボケで人物を彩る

135mmによる圧縮効果とF1.8の明るさによって、バストアップの距離感でも大きな玉ボケを作り出し、光の玉に包まれたようなポートレートを撮影できる。中でもRF135mmの玉ボケは大きく美しく、そして滑らかである。

さらに強力な手ブレ補正のおかげで1/50秒でも手ブレは起こらず、ISO感度をそれほど上げずに撮影できるのも大きな魅力だ。

今回は大きな玉ボケを生かすために開放絞りで撮影しているが、絞りを調整して玉ボケの大きさをコントロールして撮影するのも良いだろう。

EOS R6 Mark Ⅱ/RF135mm F1.8 L IS USM/絞り優先AE(F1.8、1/50秒、±0EV)/ISO 400/WB:オート

現像テクニック:シャドウ部に青みを加え、玉ボケの黄色を際立たせる

夜景でのポートレートは電飾の光の色が単色のため、影に当たる光も同系色となり、画面全体に色のコントラストによる立体感が生まれにくい。

そこで、カラーグレーディングを使って、玉ボケの黄色の補色である青色をシャドウ部にわずかに加えていく。これによって玉ボケと同系色になっていた影の部分が青みを帯びたことで引き立て役となり、黄色と青色のコントラストが生まれ立体感を演出できる。

彩度を上げ過ぎると違和感が出るので20程度を目安にすると良い。

玉ボケの黄色の補色である青色をシャドウ部にプラスする。暗部と玉ボケが分離されたことで玉ボケより際立った。

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BEFORE(左)、AFTER(右)

高い近接性能で瞳を印象的に描く

最短撮影距離が70cmとかなり被写体に近寄って撮影できるので、瞳の中に映り込んだイルミネーションを狙った。

開放絞りだと被写界深度が浅過ぎるので、少し絞ってF2.8とし、瞳全体にピントを合わせるように設定した。

カメラの新機能である瞳検出での[右目優先]も利用すると失敗がない。それでもピント面の前後はなだらかにぼけていくので、主題である瞳を強調してくれた。また、絞ったことによってシャッター速度が遅くなってしまうが、こうしたシーンでも強力な手ブレ補正が役に立ってくれる。

EOS R6 Mark Ⅱ/RF135mm F1.8 L IS USM/絞り優先AE(F2.8、1/50秒、±0EV)/ISO 1250/WB:オート

今回使用したEOS R6 Mark Ⅱでは「瞳検出」メニューで瞳トラッキングで検出できる目を「右目優先」「左目優先」「自動」から選択できるようになった。

現像テクニック:人物マスクオプションを、使用して瞳の映り込みを強調

瞳の中に映り込むイルミネーションを現像によってより印象的に整えていく。

ここで使用するのは新しく追加された人物マスクオプションの「虹彩と瞳孔」の選択だ。AIによって自動的に選択してくれるので、手間が掛からないのがうれしい。

選択したら、明瞭度の値を+90程度と大きく上げていく。ここでは大胆に上げても問題ない。明瞭度を上げることで、イルミネーションの映り込みと瞳孔の明暗差が大きくなり、さらに強調することができた。

人物マスクオプションで「虹彩と瞳孔」を選択すると、AIにより瞳を自動的に選択してくれる。

瞳孔が選択されマスクがかかっている状態。

明瞭度を90程度上げる。ここでは大胆に上げても問題ない。

明瞭度を大きく上げたことでイルミネーションの映り込みと瞳孔の明暗差が大きくなり、瞳の映り込みがよりくっきりした。

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BEFORE(左)、AFTER(右)

制作協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社