特別企画
南の島で「STYLUS TG-3 Tough」の実力をチェック!
オリンパスの防水・耐衝撃デジカメ最上位モデル 機能と使い勝手を紹介
Reported by水咲奈々(2014/7/11 08:00)
今回の主役「OLYMPUS STYLUS TG-3 Tough」(以下TG-3)は、オリンパスの防水・耐衝撃デジカメの中で、最上位機種に位置付けられています。
水深15mの防水性能を始め、細かい砂の侵入も許さない防塵性能、アウトドアシーンで多少手荒に扱っても問題のない2.1mの耐衝撃性能など、ワイルドなシチュエーションに耐えられる頼もしい仕様となっています。
そして何よりも、広角端F2の明るい高性能レンズを搭載。水中で泳ぎまわる魚を捉えたいときや、夜間など暗い条件で満足の行く撮影が可能です。
撮像素子は1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサー。画像処理エンジンは、オリンパスのレンズ交換式カメラ「OLYMPUS OM-D E-M1」にも搭載されている「TruePic VII」。有効画素数は1,600万画素と、前モデルTG-2の1,200万画素よりもアップしました。
焦点距離は35mm判換算で25-100mm相当。光学ズーム比は4倍。デジタルズームも4倍と、TG-2からの変更はありません。
被写体に最短で1cmまで近付けるのはTG-2と同じですが、TG-3ではさらにマクロ機能が強化されています。
ピントをずらしながら撮影した画像を合成して、被写体の前から後ろまで被写界深度内に収める「深度合成モード」や、ピントを最大30コマまでずらして記録できる「フォーカスブラケットモード」など、マクロ撮影に便利な機能を搭載。マクロ撮影にかつてないほどこだわった機種となりました。
感度はISO100〜6400。3型の背面モニターはTG-2と同じサイズですが、TFTカラー液晶になりました。
流行のWi-Fi機能ももちろん内蔵されています。また、TG-2に続いて搭載されたGPS機能の位置精度はさらに向上しました。
コンパクトデジカメとしては珍しく、システムとして豊富なオプションが用意されているのもTG-3の魅力です。
マクロ撮影時に不自然な影を消してくれる「LEDライトガイドLG-1」をはじめ、レンズの明るさを維持したまま使用できる「フィッシュアイコンバーターFCON-T01」「テレコンバーターTCON-T01」、40.5mm径のフィルターを取り付けられる「コンバーターアダプターCLA-T01」など、撮影の幅を広げてくれるアクセサリーが充実しています。
では、TG-3の特徴を順に紹介しましょう。
外観
見ての通りシャープな直線で構成され、メタリックな質感で大人が格好良く持てるデザインです。
サイズは111.5×65.9×31.2mmと、飛び抜けてコンパクトなわけではありません。しかし、しっかりと握れるボディの厚みは、スポーツカメラでは実は結構重要。不安定な足元や揺れる水中で、安心感が高まります。
その点、TG-2では無いに等しかったグリップ部が、TG-3では指を掛けやすい形に大きく盛り上がっています。小さいながらも嬉しい、大きな進化でした。
開口部のダブルロック
本体内に水や砂が入らないよう、端子カバーはすべてダブルロックになっています。シングルロックだと水流を受けたり何かにぶつけた拍子にカバーが開いてしまう危険性もあるので、安心して遊びに集中できるこのダブルロックシステムは、とてもありがたいです。
実際に、グアムでシュノーケルした海は膝くらいの水位の遠浅だったので、ふとした拍子に障害物にカメラが当たるようなアクシデントもありましたが、弾みでカバーが開いてしまうようなことは一度もありませんでした。
記録メディアとバッテリー
本機で使用できるメディアはSDXC/SDHC/SDカード(UHS-I対応)とEye-Fiカードです。内蔵メモリも36MBほどあります。
筆者は64GBのSDXCカード(UHS-I)を使用しましたが、書き込み速度にストレスを感じることもなく、5日間の旅行中はその1枚で事足りました。
バッテリーの保ちは、一日中ちょこちょこと撮影することを前提とすると2日に一度充電すれば十分でしょう。公式の撮影可能枚数は約380枚とありますが、陸上ではこの枚数よりも多く撮れるくらいの余裕を感じました。
ですが、シュノーケリングなどで水中でカメラを起動させっぱなしでいると、思っているよりもバッテリーの減りを早く感じると思います。午前と午後で2ダイブするようなときは、換えのバッテリーをひとつ持っていると安心かも知れません。
また、本機はUSB充電ができるので、ノートPCなどを持ち歩いている方はそちらからも充電ができます。
F2スタートのレンズ
筆者イチオシの本機の装備は、F2の明るい高性能レンズです。
ハードな条件の中で撮影ができる防水・耐衝撃デジカメといっても、生み出される画がなんとなく撮れているだけの記録写真では意味がありません。そのときの感動を呼び起こせるようなクリアな解像感とリアルな質感を描き出せる高性能なレンズを本機は搭載しています。
ご存知の通り、明るいレンズを装備しているということは、暗い所でも低いISO感度でブレのない写真が撮れることを意味します。
水中はもちろん、海にぷかぷかと浮かんでいるような状態では、どんなに踏ん張っても、自分も被写体も揺れてしまいます。こんなとき、シャッター速度が稼げる明るいレンズは大変有利です。
また、旅先には大きなカメラは持って行かず、小さいカメラ1台で済ませたいという方も多いでしょう。そのような場合でも、夜の観光でシャッター速度を稼げるF2のレンズが活躍します。
フィッシュアイコンバーター & テレコンバーター
本機に装着できるコンバーターは「フィッシュアイコンバーターFCON-T01」と、「テレコンバーターTCON-T01」があります。
フィッシュアイコンバーターは0.74倍、テレコンバーターは1.7倍にそれぞれ焦点距離を変換し、搭載レンズではまかなえない画角を実現します。
どちらもレンズの明るさは維持されますので、明るいF2レンズの恩恵を受けながら撮影を楽しめるのが大きなメリットです。もちろん防水仕様なので、水中や海辺での利用も可能です。
LEDライトガイドLG-1
どうしてこんなに!? というくらいマクロに特化しているのが本機の特徴でもあります。マクロ好きな筆者としては嬉しい機能が満載です。
TG-2でもスーパーマクロモードで最短1cmまで被写体に近付いてミクロの世界を楽しむことができましたが、TG-3ではそのマクロ機能は飛躍的に進化しました。
まず、マクロ撮影を楽しむために手に入れて欲しいのは「LEDライトガイドLG-1」です。
レンズの周りを囲むこのリングライトを使用することによって、被写体に近付けるが故に写りこんでしまうカメラや手の陰を消すことができます。
また、机などに置かれた薄くて小さな被写体であれば、被写体をLG-1とレンズ部の間のくぼみに置いて撮影することも可能です。
顕微鏡モード・顕微鏡コントロールモード
マクロ撮影モードのひとつ「顕微鏡モード」を使用すれば、被写体に1cmまで近付いて撮影することができます。
その上で光学ズームや超解像ズーム、デジタルズームが使用できるので、まるで顕微鏡を覗いているかのような拡大写真がTG-3で撮れます。
花や昆虫などを撮るのも面白いですが、コインや自分のマニキュアを塗った手などを撮影しても面白かったです。
細かいピントの調節は「顕微鏡コントロールモード」を使用すると便利です。
このモードを使うと、最大で44.4倍まで拡大できるので、細かい砂や雪の結晶なども確認しながら撮影できます。
深度合成モード
深度合成モードとは、その名の通り手前から奥まで徐々にピントをずらして撮影した画像を合成して、被写界深度の深い画像を作成する撮影モードです。
シャッターを押し込むと連写が始まり、複数回シャッターが切れます。その性質上、動きのある被写体ではなく静物の撮影に向いています。
顕微鏡モードで被写体に近寄って撮りたいけど、ピントが浅すぎるとつまらない画になってしまうような、前後に特徴のある被写体の撮影で使用すると特に楽しめる撮影モードです。
例えばユリやハイビスカスのような前後の奥行きがある花や、質感をリアルに再現するために近付いて撮影したい料理などの被写体を撮影すると面白かったです。
フォーカスブラケットモード
TG-3には4つのマクロの撮影モードがあります。最後にご紹介するのは、1回のシャッターでピント位置をずらした画像を連写で撮影する「フォーカスブラケットモード」です。
ほんの少しのピントのずれで、イメージのがらりと違う写真になるのがマクロ撮影。ですので、この考えはなるほど、面白いと思いました。
ピント位置をずらした画像を最大で30コマまで撮影することができますが、30コマもあると見直すのも大変なので(笑)、通常は10コマの連写設定で十分です。連写中は自分も被写体も動いてはいけないので、被写体は動きがない物のほうがいいでしょう。
構図は同じでもピントの位置を変えた写真が欲しいとき、奥行きがある被写体でピントの位置に迷いが出たときなどに使用すると面白い撮影モードです。
フォーカスブラケットで撮影した下の作例では、花の先端から奥の枝葉までピントの位置がずれて撮影されています。
Wi-Fi機能
最新モデルだけあり、TG-3にはWi-Fi機能が内蔵されています。
スマートフォン用のアプリ「OI.Share」を使用すると、カメラからスマホへの写真転送はもちろん、転送した写真をアートフィルターで加工できたり、リモコン代わりに離れた場所からTG-3を操作できます。
カメラとの接続設定はQRコードを使った簡単なもの。数分で完了します。
Wi-Fiの接続設定には自分のスマホと接続する「プライベート接続」の他に、友達のスマホに画像を送るときに便利な「ワンタイム接続」という設定もあって、旅先で気軽に画像のシェアができる手厚さに嬉しくなりました。
もちろん水中でも
今回シュノーケリングしたのはグアムの北部にある「ココ・パーム・ガーデン・ビーチ」でした。このビーチは時間帯にもよりますがかなりの遠浅で、立ったまま顔を水中に浸けるだけで大きな魚を沢山見ることができました。
肝心のTG-3の水中性能はといえば……申し分ありませんでした。
シーンモードの「水中スナップ」、「水中ワイド1」、「水中ワイド2」、「水中マクロ」の4つの撮影モードを切り替えて使いましたが、切り替えるのにわざわざ顔を上げることはしないので操作はすべて水中です。
見た目では小さいかと思っていた4方向ボタンと操作ダイヤルですが、爪が引っかかりやすいようにフチが盛り上がっていたり、適度なテンションがあったりと、水中での操作にストレスを感じることはありませんでした。
また、とても浅い所での撮影なので、ホワイトバランスが水中になるシーンモードでの撮影に少し不安を感じていたのですが、見た目に近いクリアな色合いを出してくれました。画質についても、帰国してPCの大きな画面で見ても魚の目やウロコがくっきりと描かれていて、もう一度潜りに行きたい気分にさせてくれました。
今回は大柄な魚が群れになっているシチュエーションが多かったので、水中の景観を写すのに向いている「水中ワイド1」とピントが固定される「水中ワイド2」を多用しました。
「水中ワイド1」は内蔵ストロボが発光するので、魚の体をウロコのひとつひとつまでクリアーに写し止めたいときに使用し、「水中ワイド2」は浅瀬を利用して水中から水面を見上げるような構図のときに使用しました。
シュノーケリングの最中だと、撮影設定ついてあれこれ考えたくないものです(せっかくきれいな水中にいるので)。モードを変えるだけで、さまざまなシーンに対応してくれるのはありがたかったです。
まとめ
防塵・防滴のタフカメラだと、画質や操作性は普通のコンパクトデジカメに劣るのでは……なんて思われている方もいるかも知れませんが、TG-3に関しては陸上でも水中でも気軽にクリアな画が得られる機種だと思って頂いて大丈夫です。
さらにマクロ撮影が好きな方には、もう、オススメするしかないカメラです!
この夏の旅のお供に、一眼レフを持ち出すのを躊躇している方は、TG-3のようなスポーツカメラを選択してみてはいかがでしょうか。
協力:オリンパスイメージング株式会社