特別企画
旅×カメラ:OLYMPUS STYLUS 1
“究極のプレミアムコンパクト”と行くフランス
Reported by上田晃司(2013/12/11 08:00)
年末年始、旅行を考えている方も多いだろう。これを機に、新しいカメラを買う人に検討して欲しい製品がある。11月29日発売の新製品「OLYMPUS STYLUS 1」だ。
今回、パリに行く機会があったので、発売前のSTYLUS 1を持って出かけてみた。旅程は、パリからルーアン、オンフルール、モンサンミッシェル、そしてパリ市内に戻るという8日間。
STYLUS 1だけを持ってスナップしたり、デジタル一眼レフやミラーレスのサブ機として使ったりと、いろいろなシーンで使用してみた。旅カメラとしてのSTYLUS 1の実力をご紹介していこう。
小さなボディに1/1.7型センサーと明るい高倍率レンズを搭載
STYLUS 1は、いわゆる高級コンパクトデジカメが良く採用する1/1.7型の裏面照射型のCMOSセンサーに、ズーム全域F2.8の光学10.7倍ズームレンズを組み合わせたカメラだ。
レンズの焦点距離は35mm判換算で28-300mm相当。広角から望遠までカバーしており、オールマイティーに撮影をこなすことができる。レンズ交換なしで、様々な画角に対応できるのは、装備をなるべく軽くしたい旅のカメラとして重要なことだろう。
繰り返しになるが注目すべき点は、レンズの開放F値がズーム全域でF2.8と明るいことだ。光学10倍のコンパクトデジタルカメラは多く存在するが、一般的にレンズが暗い。特に望遠端はF5.6前後の暗いレンズが多く、使い勝手が悪かった。
F5.6から2段明るくなることで、望遠側の使いやすさは大幅に向上する。撮影感度を抑えられるのと同時に、1/1.7型センサーであってもある程度大きなボケを得られるのが、このレンズの魅力のひとつだろう。
このレンズは、高倍率ながら逆光にも強い。独自のZEROコーティングによるもので、夜景で街灯などを入れても、気になるフレアやゴーストはほとんど発生しなかった。
スーパーマクロを使えば、レンズ先端より最短で5cmまで被写体に寄ることが可能。また、レンズシフト式の手ブレ補正も搭載しているので、望遠時でも安定した撮影ができる。1/4秒くらいであれば手持ちで十分撮影することが可能だった。
こうした広角から望遠、マクロに至るまでカバーできる点はコンパクトデジタルカメラの魅力の一つ。さらにズーム全域F2.8という明るさのため、旅カメラとしてはとても使いやすかった。
画素数は有効1,200万画素と抑えてあり、扱いやすい印象。レンズのクオリティも高く、色収差、歪曲収差で気になることはなかった。また、ピント位置は極めてシャープで、ディテールまでしっかりと表現。階調もコンパクトデジタルカメラとしては豊かで、ハイライトからシャドウ部分まで再現できている。コンパクトデジタルカメラとは思えないほどの高画質だ。
感度はISO12800まで対応している。ISO100から撮り比べてみたが、ISO800まではノイズなどはほとんど気にならないレベル。ISO1600から多少のノイズとざらつきが確認できるが問題なく使用できる。
ISO3200になるとざらつきはISO1600よりも増すが、大きなプリントなどにしない限り常用レベルだろう。ISO6400になるとさすがにノイズが目立ち始めカラーシフトも見られる。ISO12800になるとマゼンタに大きくシフトしており、全体的にノイジーな印象だ。個人の許容量にもよるが、ISO3200までが常用と考えておくとよいだろう。
OM-D譲りのスタイリング
ボディの形状はOM-D E-M5に似ており、カメラらしいスタイリングがかなり格好いい。外形寸法は116.2×87×56.5mm。E-M5に比べると一回りくらい小さく、E-M5のミニチュアのようだ。
電源をオフにするとレンズが収納でき、コンパクトに持ち歩けるのも魅力だ。STYLUS 1だけで旅をするならば、カメラバッグも必要なく、首からぶら下げるか、簡単なソフトケースに入れてバッグなどに忍ばせても良いだろう。キャップのつけ外しが必要ない、自動開閉式のレンズキャップも便利だと感じた。
電池は予備を含め2本持っていったが、一度も予備を使うことはなかった。電池の保ちは非常によい印象だ。電池保ちのよいカメラは旅カメラには最適だろう。
(2014年4月24日)バッテリーBLS-5がE-P5と共用できるとの情報を記述していましたが、実際には対応していません。お詫びして訂正いたします。
操作感についても述べておこう。筆者の場合、ムービー録画ボタンと電源ボタンを慣れるまで何度か押し間違えて押すことはあったが、その他に不満はない。
上面右手側にあるサブダイヤルや、ハイブリッドコントロールリングのクリック感も心地よく操作感はよい。ハイブリッドコントロールリングのクリックは、オフにすることもできる。
左手側のレンズ脇にあるサイドズームレバーでは、ズーミングの速さも調整可能だ。ムービー撮影のとき使いやすい。グリップのホールド感はしっかりしており、望遠で撮影する際も安定した撮影ができた。
Fnボタンにはさまざまな機能を割り当てられる。よく使う機能を割り当てておけば、ワンタッチで呼び出しが可能。突然のシャッターチャンスに有利なのはもちろん、撮影時間が限られた旅行においても有効に使いたい。
可動式の液晶モニターも旅行で便利だった。様々なポジションやアングルで撮影でき、特に料理を撮影するの便利。また、EVFは予想以上に見やすく、望遠側で撮影する際に役だった。日中の明るい日差しの中でも多用することだろう。
使いこなしたいアートフィルター。Wi-Fi連携も搭載
STYLUS 1には、OM-DやPEN譲りのアートフィルターが用意されている。フランス滞在中は曇りや雨の日が多かったが、アートフィルターを使うことでダイナミックな効果を与えたり、アーティスティックな写真に仕上げることができた。
また、フォトストーリーも面白い。数枚の写真を組み合わせて、ストーリーのある組写真に仕上げる機能だ。レイアウトやアートフィルター、効果、ファインフレームなどを組み合わせていろいろな楽しみ方ができる。旅の思い出に、ちょっとおしゃれな写真を簡単に撮影できるのでオススメだ。
流行のWi-Fi機能も搭載。スマホ用のアプリ「OLYMPUS Image Share」を使うことで、スマホに撮影した画像を送ったり、カメラをリモート撮影が行なえる。
旅行中、撮影した画像をSNSにアップできるのは、普段からSNSを利用している人にはうれしい機能だろう。またリモート撮影なら、スマホをリモコンにして記念写真や集合写真が撮れる。これも旅行向けの機能といえるだろう。
さらにスマホが記録したGPSデータを撮影画像に加える機能もある。GPSデータを追加すれば、どこで撮影したか地図で分かるようになる。思い出を残したい旅行での撮影には、うってつけの機能だ。
まとめ
今回、フランスをSTYLUS 1と旅してみたが、「万能で使いやすい」というのが感想だ。メインカメラとしては広角から望遠まで幅広くカバーでき、開放F2.8の明るさを活かした高速シャッターやボケ表現が可能。機動力も高く、旅を存分に楽しめると感じた。
もちろん、レンズ交換式カメラのサブカメラとしても頼りがいがある。ホテルの周りのちょっとした散歩、観光地での記念撮影、料理など、レンズ交換式カメラを持ち出すほどではない、あるいは持ち出すのがはばかられるようなシーンで使い勝手が非常によい。高感度性能も優れており、夜景や暗い室内でもお世話になった。
総合的に見て、旅に向いたデジタルカメラなのは間違いない。また、高級コンパクトとしては守備範囲が広く使い勝手の良さやスタイリングにも文句はない。オリンパスがこのカメラを「究極のプレミアムコンパクト」と喧伝するのも、わかるような気がした。年始年末の旅行の際、STYLUS 1も候補にしてみるのもよいのではないだろうか。メインカメラとしても、サブカメラとしても役立つはずだ。
協力:オリンパスイメージング株式会社