特別企画

旅×カメラ:OLYMPUS STYLUS 1(国内旅行編)

日帰りドライブでわかった“プレミアムコンパクト”の魅力

オリンパスのコンパクトデジタルカメラとしてフラッグシップモデルにあたるOLYMPUS STYLUS 1

何日間にもおよぶ長期の旅もいいが、今回はカメラを持ってふらっと近郊へのドライブ。目的地は日帰り可能圏内の伊豆半島だ。

とは言っても伊豆半島海岸線に沿って1周するとなると、どこにも停まらずに走るだけなら可能かもしれないが、ある程度寄り途をしながらの旅となるので、ドライブコースは余裕を持って天城から東伊豆を廻って帰って来るというルートを設定した。

旅のお供はコンパクトながら35mm判換算で焦点距離28-300mm相当の画角を持つ「OLYMPUS STYLUS 1」である。ズーム全域F2.8の10.7倍ズームレンズと、1/1.7型有効1,200万画素CMOSセンサーを組み合わせたカメラだ。オールマイティな活躍を期待して、今回の旅に持ち出した。

STYLUS 1 F2.8 1/50 ±0EV ISO200 WB:オート 9mm(42mm相当)

※こちらもどうぞ→海外編(旅×カメラ:OLYMPUS STYLUS 1

浄蓮の滝

まず最初に目指したのは伊豆半島のちょうど真ん中あたりに位置する有名な観光地「浄蓮の滝」である。

東名高速道路で沼津インターチェンジまで行き、そこからは一般道と伊豆中央道、修善寺道路などを経由して伊豆半島中央部を南下していく。

狩野川沿いを走る下田街道は思ったより交通量もなく、山の木々の緑が目にも鮮やかで走っていて気持ちのいいルートだ。

今回は一人ではなく妻も連れて来ていたので、彼女のリクエストで「東京ラスク伊豆ファクトリー」に寄って行くことにする。

「東京ラスク」は都内のあちこちにも店舗があるが、ここ「伊豆ファクトリー」でしか売っていない限定品があるとかで、まだ早い時間で空いている駐車場に車を停め、店内へと入って行くと甘い香りが出迎えてくれた。

東京ラスク伊豆ファクトリー。アートフィルター「リーニュクレール」を使用。STYLUS 1 F3.5 1/640 +0.3EV ISO100 WB:オート 6mm(28mm相当)

ファクトリーというだけあって、商品が並べられた店内の奥にはガラスで仕切られた加工場があり、ガラス越しにラスクを作っている様子を見ることができる。

ラスクの製造工程。STYLUS 1 F2.8 1/80 +0.3EV ISO100 WB:オート 17.8mm(84mm相当)

コーヒーなどの飲み物も無料サービスも行なわれており、併設されたテーブル席で休むこともできる。買い物をしながらちょっと休むのにもお勧めのスポットである。

この日はバジルと、伊豆限定商品のわさびのラスクを購入。入口付近で売っていた筍なども安かったが、あまりに量が多く食べ切れないと判断し諦めた。

お土産に購入したわさびラスク。STYLUS 1 F2.8 1/160 +0.3EV ISO800 WB:オート 9mm(42mm相当)

浄蓮の滝はここから車で10分ほどの距離。さすがに観光地だけあって駐車場には観光バスが何台も停まっていて、滝へと降りる細い階段も人の波が続いていた。

滝壺に一番近い場所では皆が記念写真を撮るので順番待ち状態。なので自分はちょっと離れたところから写真を撮ったのだが、こういう時もズームレンジが広いSTYLUS 1は便利だった。

浄蓮の滝。NDフィルターをオンにして撮影。三脚使用。STYLUS 1 F8 1/3 ±0EV ISO100 WB:オート 12mm(57mm相当)

本体サイズについて

OM-Dに良く似たデザインでかつ、とてもコンパクト。普段持ち歩いたり、今回のような旅で使うには嵩張らないため気軽でいい。

ボディは小さいがグリップがあるので持ちやすく、ダイヤルやボタンなどの操作部は大きめ。操作性も良好なカメラである。

最大の特徴は35mm判換算で28-300mm、ズーム全域でF2.8という明るいレンズをこの小さな筺体に内蔵したことで、最大望遠にしてもそれほどレンズが伸びないのもポイントが高い。

筆者は日常使うプライベートカメラとして、同社のSTYLUS XZ-2というカメラを愛用している。当初、XZ-2のレンズに比べて明るさの落ちるこのカメラにはあまり興味がなかった(XZ-2レンズは28-112mm相当F1.8-2.5)。

しかしいざ使ってみると、XZ-2にはない300mmまでの望遠域が活躍。これ1台でマクロから望遠までなんでも撮れるというオールマイティさが魅力だ。

カメラバッグではなく、普段使ってるバッグにポンと放り込んで出掛けられる気軽さがいい。

本格的な撮影旅行であれば交換レンズなど沢山の機材を覚悟して持って行くのだが、今回のように「旅も楽しみたい」でも「写真もちょっと撮りたい」という時には最適なカメラの一つではないだろうか。

旧天城トンネル

伊豆には何度も訪れているが、何故か行ったことがなかったのがこの「旧天城トンネル」。

せっかくなので行ってみようと国道脇の駐車場に車を停め、旧道を歩いてトンネルを目指したのだが、思ったよりも距離があった。

実は旧道の途中や、なんとトンネルのすぐ手前にも車を停める場所があったのだが、時すでに遅し。片道30分以上、往復で1時間以上歩くという、ちょっとした山道散策となった。

山の裾野にはヤマザクラが。STYLUS 1 F2.8 1/500 ±0EV ISO200 WB:オート 64.3mm(300mm相当)

この日は時折小雨のぱらつく生憎の天気だったが、それでも大雨にはならなかったのが幸い。木々に囲まれ少しひんやりとした旧道は鳥のさえずりがうるさいほどで、よい森林浴にはなったのかもしれない。

自分たち以外にも歩いてトンネルへと向かう人が何人かいたが、僕らはカメラを手にスナップ写真を撮ったりしながらゆっくりとトンネルへと向かった。

初めて見た天城トンネルは思っていた以上に風情があった。少し雨が降ったおかげで濡れた石の質感がとてもいい。

旧天城トンネルの入口。STYLUS 1 F2.8 1/80 ±0EV ISO200 WB:オート 13.2mm(62mm相当)
正式名称は「天城山隧道」。アートフィルター「トイフォト」を使用。STYLUS 1 F2.8 1/200 ±0EV ISO400 WB:オート 42.5mm(200mm相当)
トンネルの長さは455.5m。内部はちょっとひんやりしている。STYLUS 1 F2.8 1/15 ±0EV ISO1600 WB:オート 64.3mm(300mm相当)
車に戻る途中で撮った写真。橋の上に生えた苔に水滴が。スーパーマクロモード使用。STYLUS 1 F2.8 1/160 ±0EV ISO100 WB:オート 9mm(42mm相当)

トンネル内を歩いて反対側まで行ったのち、再び国道沿いの駐車場まで戻ると時間的にはちょうどお昼の時間だったので、さらに国道を南下し、河津のループ橋を通って河津七滝へ。

滝のそばにある食堂で以前、大先輩の写真家に勧められたわさび丼を注文。

みかけはちょっとシンプルすぎて地味だが、やはりわさびが美味しい。ご飯の量がかなりあったのですが完食でした。

名物のわさび丼は大人の猫まんまといった感じ。STYLUS 1 F2.8 1/30 ±0EV ISO200 WB:オート 6mm(28mm相当)
土産もの屋の店先には焼だんごが。STYLUS 1 F2.8 1/200 ±0EV ISO320 WB:オート 46.7mm(220mm相当)
せっかくなので七滝の一つの出会滝へ。ここは水がとても綺麗だった。NDフィルターオン。手持ち撮影。STYLUS 1 F2.8 0.5秒 ±0EV ISO100 WB:晴天 8.1mm(38mm相当)

手ブレ補正機構について

手ブレ補正機構はレンズシフト方式だが、使ってみた感想は割と強力。

出会滝の写真では広角側とはいえ、手持ちで1/2秒の低速シャッターを切ってみたのだが、上手く補正されていた。

さすがに望遠側となるともっと速いシャッタースピードにしないと厳しいと思うが、換算で300mmの望遠になるカメラなので強力な手ブレ補正機能はありがたい。

画質について

最近のオリンパスらしくニュートラルで自然な感じで悪くない。ともすれば地味目な発色だが、OM-DやPENシリーズと同じように彩度など細かい設定ができるので、自分が好きな絵になるように調整することも可能だ。

高感度に関してはこれも個人によって許容範囲は変わると思うが、厳し目にいうとISO800ぐらまでは問題なく、ISO1600を超えるとシーンによってはノイズが目立ってくる。筆者はISOオートの範囲を100〜1600に設定し、特別な場面を除いてはほとんどこのISOオートで撮影していた。開放F値がズーム全域でF2.8と明るく、さらに手ブレ補正機構も利用できるので、極端な高感度が必要になるシーンは多くない。

逆光にもそれほど弱いという印象はない。が、焦点距離によっては少し滲んだような描写になることがあった。ズーム全域でF2.8、しかも高倍率ズームであることを考えると、致し方がないだろう。むしろ驚くべき性能といって良い。

大室山

食後はさらに河津の町まで南下。もっと早い時期ならば満開の河津桜が見事だったと思うのだが、花が終わりすでに青々とした葉を茂らせた川沿いの桜を横目に見ながら、ここからは東伊豆を北上する。

ずっと山間の道を走ってきたので海が見える道はまた新鮮である。

目指す先は伊東市にある大室山。何故かここも今まで行ってなかったところだ。

道路案内に従って135号線を左に折れ、しばらくすると可愛らしい円錐形の山が姿を現した。

大室山の噴火口。STYLUS 1 F3.5 1/250秒 ±0EV ISO100 WB:オート 6mm(28mm相当)

リフトがあるのでそれに乗って山頂を目指したがこの日は気温が低く寒い。見るとリフト乗った他の人たちもジャケットの前を閉め皆寒そうにしていた。

それでも山頂からは伊豆のパノラマが見渡せた。

天気が良ければもっと良かったに違いないがこればかりはどうしようもない。

噴火口の中はアーチェリー場になっていて、的に向かって矢を射る人たちの姿が見えた。

噴火口の中にあるアーチェリー場。アートフィルター「ジオラマ」を使用。STYLUS 1 F2.8 1/250秒 ±0EV ISO100 WB:オート 42.5mm(200mm相当)
山の上から麓を見下ろす。アートフィルター「ジオラマ」を使用。STYLUS 1 F3.5 1/160秒 ±0EV ISO100 WB:オート 14.5mm(68mm相当)

EVF & 液晶モニターについて

このカメラの特徴のひとつが、EVFを内蔵しているということである。

XZ-2やPENシリーズにはオプションで外付けのEVFが用意されているが、EVF自体のサイズが大きいので、付けっ放しにしているとせっかくのコンパクトさがスポイルされてしまうし、付けたり外したりも面倒だ。STYLUS 1のような内蔵型はとても嬉しい。

実際、背面液晶モニターだと見えづらい場面や、望遠、マクロ撮影などでしっかり構図を決めたい場合などは、やはりファインダーを覗いての撮影の方が、カメラをしっかりホールディングできて安定して撮影できる。

表示品質も悪くない。表示の遅延や見え方なども悪くなく、すでにミラーレス機でEVFを使っている人なら、特に違和感なく使うことができるだろう。

EVFを内蔵。EVFは144万ドット。ミラーレス機のOM-D E-M5と同等のスペックだ

液晶モニターはタッチ機能付きの3型約104万ドットのチルト式。ローアングルなどの使い勝手が良い。

タッチAFもいまや多くのカメラに搭載されているが、自分がピントを合わせたいところにタッチするだけでフォーカスポイントを設定できるのはとても便利だ。

液晶モニターは3型104万ドット。タッチパネル式で上下方向のチルトが可能

EVFと液晶モニターの表示切り替えもアイセンサーがついているため、ファインダーを覗くだけで切り替わる。一々ボタンなどを押す手間がなく素早く撮影に集中できる。

伊豆シャボテン公園

寒いので早々にリフトで山を降り、目の前にある伊豆シャボテン公園へ。温泉に入るカピバラで有名なところだ。

時間が遅かったこともあり、入場料金はトワイライト料金ということで半額。

早速カピバラのところへ向かおうと思ったら、クジャクに道をふさがれた。園内には沢山のクジャクが放し飼いになっていて、訪れた時は何故か雄たちが雌に求愛の真っ最中。

綺麗だけどクジャクってけっこう大きいので近くに寄ると怖い。

道をふさぐクジャク。STYLUS 1 F2.8 1/100秒 +0.3EV ISO160 WB:オート 12mm(57mm相当)
300mmでアップを狙ってみた。STYLUS 1 F2.8 1/125秒 +0.3EV ISO400 WB:オート 64.3mm(300mm相当)

前に来た時は冬だったので温泉に入っているカピバラたちを見ることができたが、今回行ってみると温泉の湯は抜かれていてカピバラたちは暖かいライトのあるところで身を寄せ合っていた。

身を寄せ合うカピバラたち。STYLUS 1 F3.2 1/80秒 +0.3EV ISO800 WB:オート 64.3mm(300mm相当)

閉園まであまり時間が無いので急ぎ足で園内を廻る。メインはやっぱりサボテン。ここのシャボテン温室には巨大なものや不思議な形をしたものなど世界中のサボテンが展示されていて、サボテン専門の売店も併設されている。

シャボテン温室の中のサボテン。「フォトストーリー」を使用。STYLUS 1 F2.8 1/50秒 ±0EV ISO200 WB:オート
開花中のサボテンを真上から。アスペクト比1:1で撮影。STYLUS 1 F2.8 1/160秒 ±0EV ISO800 WB:オート 9mm(42mm相当)

この日も寒かったせいか残念ながらハシビロコウには会えず、閉園時間となったのでこちらもシャボテン公園を出て帰路に。

海岸線の国道は交通量も多く、雨が降り出したこともあってちょっと渋滞。

家に着くのが遅い時間になりそうだったので熱海で夕食を食べてから帰ることに。

天候には恵まれなかったが、日常を離れ自然豊かな伊豆のドライブは久々のリフレッシュタイムとなった。

操作性について

このカメラにはレンズの周りにコントロールリング、軍艦部にサブダイヤルがあり、露出のコントロールやMF時のフォーカシングを行なえる。ユーザーの好みに合わせてさまざまな機能を呼び出せるようになっているので便利である。

自動開閉式レンズキャップはXZ-2でも使っているが、一度使うともう普通のレンズキャップは使えないというほど便利である。

電源OFF(左)と電源ON(右)。レンズキャップが外れないので、外れたレンズキャップを管理する必要がない

特にスナップ撮影や旅などで、被写体を見つけて撮影する場合などはキャップを外す手間がない分、さっとカメラを構え電源オンですぐに撮影できる速写性が魅力だ。

Wi-Fi機能について

流行のWi-Fi機能も内蔵されている。STYLUS 1ではカメラに表示されたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取るだけで設定が可能。専用アプリのOI.Shareを使えば画像の転送やSNSへのアップロードも簡単に行なえる。

画像再生画面でシェアボタンをタッチすれば、あらかじめ転送したい画像の予約をしておけるのも便利だ。旅先で撮った写真も一旦予約しておいて、食事や休憩など落ち着いた時間にまとめてスマートフォンに転送できる。

OI.Share。取り込んだ写真にアートフィルターを施す機能もある

また、今回の旅では使わなかったが、離れたところからスマートフォンの画面を見ながら行なえるリモート撮影も心強い。マクロ撮影などで撮影ポジションが確保できない場合や、記念撮影のセルフショットなどで便利。最近流行りの上方向180度の跳ね上げ式モニターと違い、手元で画像を確認しながら撮れるからだ。

出会った美しい風景を広角で、近づけないものは300mmの望遠で、小さなものはスーパーマクロで撮影。さらにアートフィルターやフォトフレームで写真をちょっとアレンジし、Wi-Fi機能を使ってSNSに投稿したりと、この小さなカメラは決して旅の邪魔をせず、旅先で見たさまざまな場面で撮影者の期待に応えてくれる。

ゴールデンウィーク、どこか旅に行く人は、このオールマイティなSTYLUS 1を鞄に入れて出かけることをお勧めする。

協力:オリンパスイメージング株式会社

川口正志

(かわぐちまさし)1963年生まれ。CMスタジオ、TV局スチールを経てフリー。国内外問わず、人の生活や暮らしの写真を撮る事をライフワークとしていて、95年から東南アジア、ラオスの写真を撮り続けている。ブログFacebookTwitter

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