特別企画

写真ユーザーは迷ったらコレ!な本格モニター「EIZO ColorEdge CS2400S」

ケーブル1本で全てが繋がる快感

EIZO従来モデルを使用中の筆者が、最新モデル「CS2400S」を自宅に近い環境で試してみた

在宅ワーク主体となって久しいサラリーマンの筆者。それ以前は週に5日出社していたが、会社(=インプレス)の方針により出社は必要時のみ、オフィス自体もミーティングスペース主体に改装され、社員各自の固定席はなくなった。いわゆるフリーアドレスというやつである。

そのタイミングで自宅に導入したのが、2019年に登場した「ColorEdge CS2410」(5万円台のsRGBモデル)だった。筆者の仕事はデジカメ Watch=Web媒体の記事制作であり、凝ったRAW現像や、写真プリントを制作する機会も少ない。であれば当面sRGBで十分と判断し、5万円台でColorEdgeブランドのお墨付きが得られることに飛びついた。

しかし2023年になり登場したのが、今回取り上げる「ColorEdge CS2400S」だ。こちらはさらにAdobe RGB対応、USB Type-Cのワンケーブル接続が可能で約10万円という、より本格的かつ現代的なパッケージングが魅力的。本気でプリントをやりたくなっても平気そう。

なんだこれメチャクチャ羨ましいなと、思わず口をすぼませながらニュース記事を書いていた筆者(自宅のCS2410に向かって)。それはさておき、これから良質なPCモニターの導入を検討する人に向けて、つとめて冷静に、この特徴を解説していく。

ColorEdgeの弟分「CS」シリーズとは

EIZOモニターの中でもカラーマネージメントに対応しているのが「ColorEdge」シリーズ。写真をはじめとするクリエイティブ用途に向けた性能・機能が充実している。

さらにColorEdgeの中にも「CG」と「CS」の2ラインがあり、上級ラインのCGシリーズは、色調整(ハードウェアキャリブレーション)用の測色センサーをベゼル部分に搭載。筆者が3年前に購入した「CS2410」も、今回取り上げる「CS2400S」も、後者のCSシリーズに属し、測色センサーは外付けとなる。

なおCS2400Sは、時代に応じて同梱ケーブルを変更しながら7年間販売してきた定番機種「CS2420(-Z)」のフルモデルチェンジであり、これだけでも良きタイミングという感じがしてくる。

CS2400Sの映像入力端子。CS2410やCS2420-ZにはないUSB Type-C端子が最新モデルの証

24.1型1,920×1,200ドットって、どうなの?

CS2400Sが採用する1,920×1,200ドットは、アスペクト比が16:10。いわゆるワイドの16:9に比べて縦が少し広い。筆者が使っている13インチMacBook Airの内蔵ディスプレイも同じく16:10なので、16:9のモニター(職場のフリーアドレス席に設置されている)ではわずかに縦が狭く感じる時もあり、これは馴染みやすかった。

外部モニターのサイズは、なんとなく27型が主流なのかなと思っていたけれど、置き場所を選ばないので24.1型も根強い人気だと聞く。筆者は前述の通り、同じEIZOの24.1型モニターを使っているが、普段は80×80cmのテーブルに載せた状態で、左右にスピーカー(冒頭の写真と同じもの)を置いてピッタリなサイズ感だ。

箱を開けてみると、発泡スチロールの緩衝材が脱プラスチック推進のため紙製になっていた

シンプルで質感高いデザイン

正面
側面
背面

設置した外観を眺めると、ColorEdgeの中では手頃なモデルだが、デザインテイストは最新の上位機種と同じ。手で触っても跡の残りにくい表面仕上げで、質感的な満足度も高い。ノングレアパネル&マット仕上げの額縁のため、指紋や小傷が目立たず、ふと作業が行き詰まった時に掃除(現実逃避)をしたくなることも減って仕事に集中できそうだ。

さらに背面を見ると、ケーブルをまとめるパーツがスタンド一体型になっておりスマート。後ろ姿もシェイプされ凜としている。

背面のケーブルホルダー。従来のスタンドは、台座部分に別パーツを取り付けていた
手前が新モデル「CS2400S」。奥の旧モデル「CS2420」より一見してスリムな印象を与える造形

また感激したのは、スタンドの操作感が大幅に向上していた点だ。高さを調節する時、一定の力が掛かったところで急にズルッと動くのではなく、より小さな力でヌルリと動きはじめる。これも実用性とユーザー体験の質を高めている。なんとも羨ましい。

高さの調整幅が大きく、手前に傾けることもできる。マウス/キーボードを外付けにすれば、ノートパソコンのような姿勢で見ることもできそう

買いやすさが高まる製品保証

EIZOは本機について「全品出荷時調整」「無輝点保証」もアピールしている。その昔、高価な液晶デバイスを買ったら、怖いもの見たさで輝点を探してしまった経験はないだろうか。当時は「輝点発見=絶望」の一本道だったと思うが、今はこんなにドット数が増えたのに、購入から6か月間は「無輝点保証」が適用され、無償でパネルを交換してくれるという。なるべく買い物で“賭け”に出たくない物価高の昨今、購入へのハードルが低くなる施策だと思う。

※無輝点保証の詳細(輝点の定義)についてはコチラ↓
https://www.eizo.co.jp/support/warranty/zerobp/

またCS2400Sには、出荷時に行われる調整のレポートが同梱されるようになった。これまでは上位機CGシリーズだけに同梱されていたものだから、いかにもプロ用の高級品を買ったゾという気分にさせてくれる。

工場の様子(EIZO提供)
出荷時の調整工程。自動化されている
ずらりと並ぶCS2400S
CS2400Sは、梱包箱にシールを貼り付けず、ロゴを直接印字しているという。これも環境対応のため

高品質な表示画質を維持する「ハードウェアキャリブレーション」

ハードウェアキャリブレーション中。ちょっとスマホを見ている間に完了していたぐらい、所要時間は短かった

せっかくの上質なモニターも、正しい色で使わなければ意味がない。経年変化による表示のズレを補正する作業がハードウェアキャリブレーションだ。

本機でキャリブレーションを行う手順としては、別売の測色センサーを用意し、ColorEdge用の無償ソフト「ColorNavigator 7」からキャリブレーションを実行。あとはソフトがモニター側に設定を書き込んでくれる。今回はEIZOの「EX4」センサーを使ってみたが、作業はセットアップ含め数分という感じだった。

測色センサー「EX4」を画面の指示通りにセット。モニター側面のUSB Type-A端子に繋いだ

EIZOでは、200時間の使用につき1回のキャリブレーションを推奨。ColorNavigator 7には、次回の調整時期がきたらお知らせしてくれる機能が備わっている。お知らせを受け取ったら、都度センサーをぶら下げて再キャリブレーションを行う。これでColorEdgeが長きにわたり本領を発揮し続けられるわけだ。

別売の「遮光フードCH2400」は、天井や窓から環境光が入ってしまう場合に活躍。着脱はマグネット式で、位置合わせも簡単だった
電源のオンオフや表示モードの切替、OSDの操作はタッチ式ボタンで

どうせ買うなら、良いものを最初から

在宅ワーク用の外部モニターが欲しい時、デジタルカメラで写真作品づくりに取り組む人であれば、カメラと同様に信頼できる性能があり、それを長く維持できるものを選んだほうがよいだろう。どんなにお気に入りの絵作りのカメラ、ヌケの良いレンズで撮っても、モニターがイマイチでは感動のチャンスを逃している。もしかしたら、手元のモニターがイマイチであることにすら気づいていないかもしれない。

例えばSNSで、いつも一人だけ色のズレた写真をアップしている人がいたとしよう(例えばの話ですよ)。その人がカメラや写真について語ったところで、説得力があるだろうか。正しく色を表示できるモニターを常に好ましい状態で維持しておくことは、物理メディアを介さないデジタル写真における他者との唯一の共通言語となる。

最初は高価に感じても、満足感ある高品質なものを長く使えるのが、本当のエコでありコスパではないだろうか。カメラや写真を楽しむ趣味人であればこの感覚、理解してもらえると信じている。

体験すると戻れない…USB Type-C接続の利便性

このケーブル1本で全てが繋がる、もう戻れない便利さ

このモニター、最新モデルゆえの最大の魅力がUSB Type-C接続だ。いま筆者宅では、MacBook AirにCS2410を接続するために3本のケーブルが這っている。これをアップルの「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」で束ねて、MacBook AirのUSB Type-Cポートに繋いでいる。

3本のケーブルの内訳はこうだ。
・HDMIケーブル(映像)
・USBケーブル(モニター制御/USBハブ)
・USB PDアダプタ−(MacBook Airに給電)

これが卓上に出ているのは中々に大げさで、アダプター自体もケーブル3本で結構な重さになる。何かの拍子にモノを引っかけそうで怖くてたまらないし、アダプターや端子の負担も大きそうで、断線しないかとヒヤヒヤしている(アダプターが断線して買い直したら、アップル純正品で税込9,380円ナリ)。

そこへいくと本機は、細くて軽いUSB Type-Cケーブル1本を差し込むだけで上記のケーブル3本分の仕事をしてくれる。最高にスマートで、これを体感してしまうと昔には戻りたくなくなる。USB PD給電は最大70Wだから、MacBook Airは余裕。MacBook Proのハイスペックモデルでも、高負荷時を除けば充電しながら使えるそうだ。これは心強い。

側面にUSBハブ搭載。ドッキングステーション的な操作性

側面のUSBハブ。USB 5Gbps:Type-A×2、USB 2.0:Type-A×2の構成

このワンケーブルで使える機能の中にはUSBハブもある。モニター左側面にUSB Type-A端子が4つ備わっており、筆者はここにUSBスピーカーとUSBカードリーダーを接続。持ち帰ったMacBook AirをUSB Type-Cケーブル1本でCS2400Sと繋げば、それらにもイッパツで繋がるという寸法だ。

本機ではスピーカーとカードリーダーを繋いでもUSBが2口余ることになるが、そこにはWebカメラを外付けするなり、お気に入りのキーボードやトラックボールを繋いだり、最近流行りの左手コントローラー(写真/映像編集用のもの)を繋いでもいいだろう。何にせよ、帰宅したらケーブル1本で全部が繋がるのだ。遠い昔、パソコンショップの店頭でアップルPowerBook Duoの「Duo Dock」に憧れたのを思い出す。

今からだったら、こっちを買いたい気分

というわけでEIZO ColorEdgeの新顔「CS2400S」の全体像をお伝えしてきた。筆者自身はColorEdge最安の「CS2410」を使っており、ここで挙げたとおり不満というほどのこともないが、「USB Type-C対応」「操作感の向上したスタンド」による機能性と、「Adobe RGBカバー率99%」「10bit対応」の画質面から、羨ましいなあと感じている。これで10万円だったら、今から選ぶならCS2400Sが欲しいなあ、というのが偽らざる気持ちだ。

ただこれも、5万円台のCS2410を快適に使ってきた経験があるからこそ、10万円という金額も割とスンナリ受け入れられているのかもしれない。

これから本格的な作品制作に取り組みたい、プリントもやってみたい、まずは環境を揃えたいと考える皆さま、EIZOが“クリエイター向けスタンダードモデル”と位置付けるこの「ColorEdge CS2400S」にまず投資してみるというのは、とてもアリなチョイスだと思いますよ。

追伸:EIZOからフォトユーザーの皆さまに向けて、以下の動画が公開されています。

本気になりたい、すべてのクリエイターへ。ColorEdge CS2400S

状況・製品撮影:曽根原昇
制作協力:EIZO株式会社

本誌:鈴木誠