特別企画

FUJIFILM X-H2Sとフィギュアスケート。氷上を舞台に画質/AF/連写性能をチェック

羽生結弦さんの「プロローグ」でAPS-C機最高レベルの実力を試す

富士フイルムのフラッグシップ機「FUJIFILM X-H2S」(以下X-H2S)とXシリーズ用の望遠レンズ「XF200mmF2 R LM OIS WR」をスポーツの現場で試す機会があったので、APS-Cセンサーでスポーツ撮影はどこまで可能なのか追求していく。今回は羽生結弦さんがプロになって初めて開催したアイスショー「プロローグ」に伺い、暗闇でのAF挙動や連写機能について体験してきたのでお話していきたい。

FUJIFILM X-H2Sは7月14日に発売された富士フイルムXシリーズのフラッグシップ機。2,616万画素の裏面照射積層型センサーを採用。最速約40コマ/秒のブラックアウトフリー連写やフリッカー軽減、被写体検知AFを搭載しており、スポーツ撮影などの動体ものの撮影に特化しているモデル。

XF200mmF2 R LM OIS WRは2018年10月に発売した大口径望遠レンズ。35mm判換算で305mm相当の焦点距離となり、付属の「XF1.4X TC F2 WR」と組み合わせることで427mm F2.8相当での撮影が可能となる。APS-Cサイズのイメージセンサーに特化した設計とはいえ、300mm相当の焦点距離で開放F2の明るさは、少しでもISO感度を低くし、シャッタースピードを速くしたい屋内スポーツの現場では大きなメリット。

今回は撮影エリアから被写体までの距離が遠かったため「XF1.4X TC F2 WR」を取り付けた427mm F2.8相当での撮影に挑む。

会場が暗くなり、羽生結弦さんが登場。暗所な為、ファインダー内では微かに被写体を認識できるレベルだが、トラッキングAFはしっかりと羽生結弦さんの胴体をキャッチしており、ずっと追い続けていた。

FUJIFILM X-H2S XF200mmF2 R LM OIS WR+XF1.4X TC F2 WR(F2.8・1/1,000秒)ISO 6400

撮影の設定はマニュアル露出。シャッター方式は電子シャッター。他社同様に電子シャッターを選択することでシャッター音を消すことができ、静かな環境でも気にせずシャッターを切れるのはとても良い。AFは「AF-C」(コンティニュアスAF)。フォーカスモードは「トラッキング」で瞳優先を選択。アイスショーはスポットライトや定常光を多用しており、シャッター速度やISO感度を各演目ごとに変えてゆく。

FUJIFILM X-H2S XF200mmF2 R LM OIS WR+XF1.4X TC F2 WR(F2.8・1/1,600秒)ISO 12800

露出のばらつきを確認した為、フリッカー軽減モードを使用。明るさの周期をカメラ側が検知するため連写速度が下がるとしているが、撮影していて違和感を感じることはなく、リズムよく撮影できた。しかしフリッカー低減モードをオンにするとブラックフリー連写が無効になってしまうので注意が必要。

FUJIFILM X-H2S XF200mmF2 R LM OIS WR+XF1.4X TC F2 WR(F2.8・1/800秒)ISO 12800

逃せないシーンが数多く発生するスポーツの現場では、約40コマ/秒の高速連写と事前記録ができるプリ撮影ESはものすごく便利で、0.01秒前の表情の方が良かったなと思った時なども振り返ることができる。着氷のシーンも難なく抑えることができた。

FUJIFILM X-H2S XF200mmF2 R LM OIS WR+XF1.4X TC F2 WR(F2.8・1/1,600秒)ISO 12800

AFトラッキングがとても優秀。一眼レフの際は親指AFを使いつつ、自分で測距点を移動するという作業があったが、トラッキング機能を使うことで、そういう言ったことは不要になった。AFはカメラに任せて撮影する側はフレーミングに集中できるようになったのは大きなメリット。

FUJIFILM X-H2S XF200mmF2 R LM OIS WR+XF1.4X TC F2 WR(F2.8・1/1,250秒)ISO 6400

高感度耐性はAPS-C機としてみると優秀で、ノイズリダクションを入れてISO 6400ほどで使っても実用的レベルのノイズ感。ISO 12800になると等倍で顔などを確認した際にディティールが弱く・潰れて見えることがあるのでケースバイケースで上限を使い分けると良いだろう。

FUJIFILM X-H2S XF200mmF2 R LM OIS WR+XF1.4X TC F2 WR(F2.8・1/1,000秒)ISO 6400

いい意味で撮影前と撮影後で考えが変わったカメラのひとつ。屋内での舞台でここまで高いポテンシャルを出せるとなると屋外での評価は非常に気になるところ。

バッテリーグリップを外せばスマートになるので、普段使いのスナップ撮影や旅行に持って行くにも億劫にならないサイズ感。そして本気で撮影に挑みたい時にも応えてくれるマルチプレイヤー的な存在のカメラだと感じた良い機会だった。

プロローグとは、プロスケーターの羽生結弦さんが自身のスケート人生を感じてもらう為に自身で企画して開催したアイスショー。タイトル「プロローグ」は、今回のアイスショーが、その物語の“プロローグ”となるようにという思いが込められている。

氷上に乗るのは羽生結弦さんひとり。2012年から数年ほどスポーツカメラマンとしてフィギュアスケートを撮影していた著者だが、スケーター1人で開催されるアイスショーの経験は初めて。

2018年平昌オリンピックのフリー演技「SEIMEI」を含む全8曲の演目が披露されて、演目の間にはスケートを始めた頃の映像や東日本大震災を経て葛藤していたシーンなどが流れて、涙ぐむファンも。

羽生結弦さんのスケート人生が濃縮されたあっという間の1時間30分だった。今後も注目していきたい。

本誌:佐藤拓