特別企画

ポートレート写真家・清田大介さんの評価は? クリエイター向けノートPC「Prestige 14」

スタジオでのテザー撮影で威力を発揮! パワフル&軽量スリムな4KノートPC

Prestige-14-A11SC-010JP

今夏、MSIはクリエイター向けのノートPC「Prestige」のラインアップに「Prestige 14 A11」計5モデルを追加した。

各機共通のスペックは、CPUにインテルの「Core i7-1185G7」(3.0GHz / Turbo 4.8GHz / 4コア8スレッド)を採用したことと、ディスクリートGPUとして「NVIDIA GeForce GTX 16 シリーズ(いずれもMax-Q デザイン)」を採用すること。

液晶ディスプレイについては、サイズは14型で共通だが、色域(sRGBまたはAdobe RGB)と解像度(4KまたはFHD)がモデルによって異なる。

これら3モデルの中から、ここではMSI Store限定の「Prestige-14-A11SC-010JP」を紹介していきたい。

MSIのノートPCではお馴染みとなった軽量・薄型ボディに、Adobe RGB、4Kネイティブ対応の液晶ディスプレイ(CalMAN認証済み)を搭載。メモリは32GBを搭載し、OSはWindows 10 Proを採用したパフォーマンス重視のモデルである。ストレージはM.2 NVMeの512GBもしくは1TB。

この「Prestige-14-A11SC-010JP」を写真家の清田大介氏に試用してもらい、その感想を語っていただいた。

WEB制作会社「DreamPixels」代表。写真家。APA(公益社団法人 日本広告写真家協会)正会員。『清田写真スタジオ』経営。国内外のコンテスト受賞多数。商業撮影、雑誌寄稿、セミナー開催。東京カメラ部10選2020。NiSi Official Advisor.

撮影:清田大介(モデル:まぷさん)
EOS 5D Mark IV / EF24-70mm F2.8L II USM / 38mm / マニュアル露出(1/125秒・F8.0) / ISO 100
撮影:清田大介(モデル:アオイミヅキ)
EOS 5D Mark IV / EF85mm F1.8 USM / 85mm / マニュアル露出(1/125秒・F9.0) / ISO 100
撮影:清田大介(モデル:柊里杏)
EOS 5D Mark IV / Tamron 35-150mm F/2.8-4.0 Di VC OSD / 128mm / マニュアル露出(1/125秒・F9.0) / ISO 125

清田氏といえば、「清田写真スタジオ」の経営者という写真家の顔だけでなく、Web制作会社「DreamPixels」の代表としてWebデザインの業務も手掛けている。必然、PCへの造詣も深く、シビアで的確な指摘がいただけるだろう。


◇   ◇   ◇

——まずはPCの使用環境を教えていただけますか。

デスクトップ2台、ノートPC1台という布陣です。デスクトップは1台が5年ほど前に購入してWindows 7から10にアップグレードしたもの、もう1つは今年購入したばかりのWindows 10マシンです。ノートPCはやはり5年ほど前に購入したMacBook Proを使用してます。

——仕事の中でどのようなアプリケーションを使用されていますか?写真家としての作業と、Webデザイナーとしての作業があると思いますが。

アプリケーションを共有している部分もあるのですが、Webデザインの方はほとんどがDreamWeaverとMicrosoft Officeですね。今はコーディングとプログラミングが主体で、新たにデザインを起こすことはあまり無いのですが、たまに紙物のデザインや自分の写真をデザインする時にPhotoshopを使用します。

写真の場合は作業的にもう少し重くて、Lightroomが半分、Photoshopが半分といった感じです。あとは動画用のAfter Effectsですね。動画は主に他の班が主体でやっているため、現状はそちらに流す形になっていますが、自分もやってみたくはあるのでインストールはしてあります。

——ノートPCとデスクトップPCの使い分けはどのようにされていますか?

デスクトップPCは主軸としてオールラウンドに使用してます。納品するデータはデスクトップで作成してます。ディスプレイもキャリブレーションした状態を保持しています。

ノートPCはわりと限定的な使い方でして、広告の仕事などでスタジオでクライアント様の前で撮影する際に、テザー撮影しながらノートPCでプレビューを見て打ち合せしつつ撮影するといった使い方が主な用途になります。

あとは地方のセミナーやプレゼン、打ち合わせの際に資料を共有するような使い方です。資料の作成などはデスクトップでやってしまいますね。出先で作業するケースもあるのでアプリケーションは一通りインストールしていますが、頻度だけで言うならテザー撮影で用いることが一番多いですね。

——テザー撮影はどのような環境でおこなってますか?

カメラはEOS R5をメインで使用しています。アプリケーションはEOS Utilityを使用していますが、DPP(Digital Photo Professional)も併用しています。以前はEOS Utilityでプレビューのみ表示させ、セレクトしていただく場合には、macOSのFinderで一覧表示しながらという形を取っていましたが、最近になってDPPを使ってみたら表示が凄くスムーズになったのでこれは良いなと。以後はずっとこの形で撮っています。

あともう1つ大きなメリットがありまして、EOS Utility+DPPだとポートレートモードの色再現性が凄く良いんです。他社のソフトだと不思議と色が合わないんですね。特にEOS R5のカメラプロファイルが無いようなソフトだと色の違いが顕著に出てしまい、結構なストレスになっていたんです。現場でクライアントがプレビューを見てOKを出した色と、カメラのモニタで見た色とで差が無いので、いちいちファインダを覗いてもらう必要が無いですし、何より後で揉めることがない(笑)しかも無料で使えますしね。

——PCを選ぶ際に気を付けていることはありますか?

やはり処理速度ですね。ユーザ側の工夫ではどうにもならないので、基本スペックが高いものを選んでいます。Lightroomから書き出しつつ、Photoshopも立ち上げるなど並列作業することが多いですから、それに耐え得る性能は欲しいですね。あとストレージはもうSSDでないと耐えられません。

——それではご試用いただいた、Prestige-14-A11SC-010JPの感想を伺いたいと思います。

実際、今までの環境にもさほど不満は感じていなかったんです。ただ、新しい製品を使ってみて、初めて足りなかったものに気が付いたといった感じですね。一番しみじみと思ったのが、Windowsって便利だなーということですね(笑)macOSがどうこうという話ではなく、単純に自分の経験の面でWindowsの方が慣れているので。トラブルが発生した場合にも経験からある程度は対応できますから。ノートとデスクトップで操作を統一できるメリットもあります。

あと、Windowsは何かにつけてリファレンスが多いですから、困った時にざっと検索すれば何かしらの情報に当たるのが便利です。その他だと、先ほど少しお話した色だとか、重さとか細かなところで発見はありましたね。

——色のお話が出たので液晶ディスプレイからお聞きしたいと思います。表示性能にはいたく感心されていましたが?

私の作品はわりと色がシビアなものが多くて、ノートPCのディスプレイだと再現できないことが多々あったんです。それがこのノートPCだと、パッと見てデスクトップPCでの表示に近い発色が出来ていました。傾向としては、ハイライトにマゼンタ、シャドーにブルーやグリーンを薄っすらと乗せていることが多いのですが、これが白か黒になってしまう。今使用しているノートPCもなるべく良いものをという理由で選んだのですが、彩度というか輝度が足りない印象ですね。実際にノートPCを並べて比べる機会ってそうそう無いじゃないですか。5年間でのデバイスの進歩を見せつけられました。

4K(3,840×2,160)のノングレア液晶モニターを搭載。色域はAdobe RGB相当

——解像度は4Kですが、普段のお仕事で4Kは必要でしょうか?

高解像度での撮影依頼が増えているので、解像感があるに越したことはないですね。現場でピントチェックができるという意味でも4Kがあると便利です。商品撮影などは、ある程度大きなモニタでチェックしながらでないと気が付かない汚れだとか埃があったり、ポートレートでもまつ毛の上に塵が付いていたりなど目視でも気が付かないけどモニタだと確認できるケースって多いんです。

——色域についてはいかがでしょうか? 本機はAdobe RGB相当となってますが。

私の環境はAdobe RGBで統一しているので、Adobe RGBクラスは必須ですね。繰り返しになってしまいますが、自分が意図した色がほぼそのまま出ているので嬉しかったです。クライアント様にプレゼンする時も全然印象が違いますし。実際、試用している時にもクライアントの方に「このノートは映りが良いね」と言われました。色々な撮影現場でノートPCを見てらっしゃる方なので、自分だけの感想じゃないんだなーと実感しましたね。

——先ほどのお話だとノートPCに中長期的なストレージ用途は求めていないように思いましたが、容量はそれほど必要ないですか?

そうですね。ノートPCに長期間データを保存することは無く、デスクトップなりクラウドなりに移動するので、一時的にプールできる容量があれば事足ります。

——ちなみに1回の撮影でどのくらいの容量が必要になりますか?

通常のスタジオ撮影だと1回あたり60GBくらいでしょうか。1TBあれば2、3現場で続けて撮影する場合でも対応できるでしょう。ただ、ブライダルなどのイベント撮影ではひたすらシャッターを切ることになるので、128GBのメディアもあっという間に埋まってしまいます。あとは長期の撮影などもありますので、そうしたケースだとクラウドへの退避なり、外部ストレージなりの対策が必要になるでしょうね。

——重要視されている処理性能はどうでしたか?

LightroomとPhotoshopを試してみたのですが、高解像度のデータでもストレスなく使えました。拡大・縮小でのブランクは無いし、表示の際にノイズなど表示の異常も出ませんでした。キビキビ動いてくれて気持ち良かったです。

テザー撮影での転送も速いですしね。プレビューはほぼリアルタイムで、撮るとポッと表示される。私よりもディレクターの方が喜んでいましたよ。撮影現場だと色々な方がプレビューをチェックするんですね。メイクの方だと、髪の際やほつれ、リップのラインなどでしょうか。なので、プレビューや拡大・縮小でモタついているとどうしてもテンポが悪くなってしまう。サクサク動いてくれるノートPCは重宝しますね。

——キーボードやタッチパッドなどの操作系はいかがでしょう。

キーボードはタイプ感は特に不満はありませんでした。DELETEキーの位置にあれ? と思ったくらいですね。液晶モニターを開くだけで傾斜が付いたりタッチパッドが横に長いのも良いですね。ブラシなどで長いストロークが必要な時がありますが、指を戻さずにズッーと動かせて便利です。

液晶モニターを開くとキーボード部が自動的に傾斜する

——デザイン面で気付かれたことはありますか。

私は徒歩での移動が多いので、軽いのは大歓迎です。重さってジワジワとダメージを受けますから。薄型なのもバッグに仕舞いやすくて嬉しいです。見栄えについてはシンプルでクセが無いですね。スタジオでの撮影が多いので、落ち着いたデザインなのも好印象です。

あと、これは操作感になるのかもしれませんが、ディスプレイが水平まで倒せるのが面白いなと。私は打ち合せが多い方なので使う機会は多いと思います。

——外部インターフェースに過不足はありますか?

Wi-Fi6、Thunderbolt Type-C、USB3.2 Gen1 Type-A、HDMIと一通り揃っていますし、大抵の用は足りると思います。個人的にはUSBがあと1ポートあると安心できるのですが、その辺りは薄さとトレードオフなのかもしれませんね。

側面のインターフェイス。Thunderbolt Type-C(USB PD対応)×2
左からヘッドホン出力(Hi-Res対応)/ マイク入力×1、microSDスロット、USB 3.2 Gen1 Type-A×1

——ありがとうございました。それでは最後に総評をいただければ。

液晶ディスプレイの品質、処理性能、デザインとも自分のツボに嵌っているので、タイミングがもう少し早ければ(デスクトップPCを購入する前ならば)即購入したかもしれません。この製品ではなくとも15インチ液晶モデルを物色していたんじゃないかな。今後WindowsノートPCを購入する機会があればMSIは必ずチェックすると思います。それくらい使い勝手の良いノートPCでした。

制作協力:MSI

榊信康