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Panasonic LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.

LUMIX S1R/S5・SIGMA fpに装着した各サイズ感も

パナソニックは2月18日、LUMIX SシリーズなどのLマウントミラーレスカメラに対応する望遠ズームレンズ「LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.」の具体的な発売時期および価格を発表した。これにあわせて実機を手にする機会を得たので、取り回しに関する印象も交えながら外観をお伝えしていきたい。

外観

本レンズの外形寸法は約148×84mmで、重量は約790gだ。LUMIX S5に装着すると、トータルでの重量は約1.5kgとなる。LUMIX S5単体の重量は約714g(本体、バッテリー、SDメモリーカード1枚含む)のため、レンズ側のほうが僅かに重さはあるものの、バランス感は良好だという印象をもった。

LUMIX S5に装着した状態。付属フードは円筒形で比較的深めのつくり

フードを外した状態。ピントリングおよびズームリングは、ともに重すぎない印象で、幅広のラバーも手伝ってストレスのない操作感が得られた。ズームリングからスイッチ類がならぶ鏡筒マウント側あたりでボディとの重量がバランスする。望遠端まで繰り出しても、大きくホールドバランスが崩れることもなかった。動画撮影などでリグを組んだ際にも使い勝手が良さそうだ。

スイッチ類はマウント側・鏡筒左側面に集中している。上からフォーカスリミッター、AF/MF切り替え、光学式手ブレ補正機構のオン・オフ、70mm側で鏡筒を固定できるロック機構と、ごくシンプルな構成だ。

ズーミングでのバランス

鏡筒はズーム操作で伸縮するタイプ。ホコリが舞う場面や雨天などでの使用だと、インナーズームの方が精神衛生上は良いのは当然だけれども、F値の設定をみても本レンズのコンセプトは、あくまでも300mmに届く焦点距離レンジを手軽に扱えるようにしたい、というところにあるのは明らか。シーリング処理も施されていて防塵・防滴・耐低温構造を採用している点をふまえても、積極的に持ち出して使って欲しいというメッセージが感じられる。

70mm
100mm
135mm
200mm
300mm

レンズの位置づけ

LUMIX Sシリーズレンズには、2種類のラインが存在する。ひとつは「Certified by LEICA」認証を受けたS PROライン。企画・設計開発・製造に至るまで、ライカカメラ社の品質基準をクリアした製品群だ。もうひとつは、Sライン。光学性能へのコダワリはもちろん、機動性やユーザビリティ、遊び心に配慮した製品群となっている。軽量かつ20mmはじまりという一風変わったアプローチが特徴の「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」も、このラインに属している。

本レンズの位置づけは、後者Sラインに属する製品となっている。開放F値もズーミングによりF4.5〜F5.6と変化する。しかし、その一方で最大撮影倍率は300mm時で0.5倍となっており、ハーフマクロとして使用できるほか、長焦点距離ズームレンズながら広角端で54cm、望遠端で74cmと比較的寄れることなど、Sラインらしい使い勝手に配慮した特徴を備えた1本に仕上げられている。

[2021.2.19修正]記事初出時に最大撮影倍率をズーム全域で0.5倍と記載していましたが、正しくは300mm時の誤りでした。お詫びして訂正いたします。

LUMIX S1R・SIGMA fpとのバランス

LUMIX S1RとSIGMA fpに装着した際のバランスも確かめてみた。

LUMIX S5でもボディバランスは良好だったが、LUMIX S1Rでは、ボディサイズがひとまわり大きくなることもあって、レンズ自体がより小柄に感じられる。ホールド感は、ボディ側でしっかり保持して支えるイメージになる。

いっぽう、SIGMA fpでは想定していたとおり、レンズにボディがついている感が強くなる。レンズ自体の太さもあるため、平面上に置いた際はボディ側が浮いてしまうほど。ただ、ライトバズーカこと「SIGMA100-400mm F5-6.3 DG DN OS|Contemporary」のようなものものしさがない分、スナップなどで同機の望遠域を楽しみたいというニーズには合致しそうに思う。何よりもレンズ自体が軽く短めなこともあり、取り回しはすこぶる良くなる。

実写から

本レンズの描写については、後日長期使用視点からのレポートをお伝えする予定だが、ボケ味などについて、いくつかピックアップしてお伝えしたい。

ズーム中間の140mm前後の描写をみた。ピント位置は手前側のランプ。絞りは開放に設定。ここではF5.4となった。F5.4というとちょっと暗いのでは、などと考えていたものの、ボケの柔らかさ、程よい圧縮効果で立体感のある描写が得られた。LUMIX S5のセンサー性能もあり、この程度の光源であればまったく破綻は見られない。あえて球面レンズのみで構成したというコダワリも、ボケの柔らかさにつながっているのだと感じる。

LUMIX S5 / LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.(142mm) / 絞り優先AE(F5.4・1/160秒・-1.0EV) / ISO 1250

望遠端300mmで撮影。雨の中で滴をまとわせるジャスミン。本レンズは11枚の絞り羽根を組み込んで、円形絞りを実現している。それもあってかF7.1まで絞りこんでも、綺麗な円形の玉ボケが得られている。中でも注目したいのが滴のフチにフリンジなどの収差が見られないこと。このクラスの望遠レンズで、ここまでの描写が得られるのは驚異的だと感じる。拡大画像はオリジナルのため、少々データ量は大きいけれども、ぜひ観察してみてほしい。

LUMIX S5 / LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.(300mm) / 絞り優先AE(F7.1・1/160秒・+1.0EV) / ISO 6400

広角端70mmをチェックした。開放から2段絞ってのF5.6としているが、ほぼパンフォーカス。ニゴリのないクリアな描写が得られた。ハイライト部からシャドー部にかけての描き分けも良く、ボートの退色具合も目で見たイメージに近い再現だ。

LUMIX S5 / LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.(71mm) / 絞り優先AE(F5.6・1/250秒・-0.7EV) / ISO 100

本誌:宮澤孝周